
Google Agentspace 効率的な構成設定ガイド
Google Agentspaceとは?
Google Agentspaceは、Google Cloudが提供するAIPlatformであり、企業がAIを活用したアプリケーションを迅速に構築・デプロイするための統合プラットフォームです。このプラットフォームは、AIエージェントの作成、ナレッジグラフの構築、予測入力の最適化など、多岐にわたる機能を備えています。
システム運用においてGoogle Agentspaceを導入することは、日々の問い合わせ対応の自動化、障害発生時の情報収集の迅速化、SREプラクティスにおける予知保全や自動修復機能の強化など、様々な面で大きなメリットをもたらします。これにより、エンジニアはより戦略的な業務に集中できるようになり、運用コストの削減とサービス品質の向上が期待できます。
Google Agentspaceの構成設定概要

Google Agentspaceは、その用途に応じて詳細な設定が可能です。AI Applicationsの管理コンソールでは、構成タブより以下の主要な設定を通じて、Google Agentspaceの挙動をきめ細かくコントロールできます。
- 予測入力
- 検索UI
- 管理
- アシスタント
- ナレッジグラフ
- 機能管理
これらの設定は、AIアプリケーションのパフォーマンス、ユーザーエクスペリエンス、そして運用における実用性を最大化するために不可欠です。
予測入力の設定
予測入力は、ユーザーがテキストを入力する際に、その意図を予測して適切なサジェストを提供することで、入力の手間を省き、より迅速な情報アクセスを可能にする機能です。システム運用におけるナレッジベースやFAQシステムなどで特に有効です。
予測入力の設定項目は以下の通りです。
設定項目 | 説明 |
---|---|
Maximum number of suggestions | ユーザーへの最大サジェスト数を設定します。多くしすぎると選択肢が多くなりすぎるため、適切な数を設定することが重要です。 |
Minimum length to trigger | 予測入力をトリガーするために必要な最小文字数を設定します。短い文字数でトリガーすると、意図しないサジェストが増える可能性があります。 |
Matching order | 予測入力の候補をどの順序で表示するかを決定します。関連性の高い順や辞書順など、アプリケーションの用途に合わせて調整します。 |
予測入力を有効にする | 予測入力機能のオン/オフを切り替えます。特定の条件(例:データがあるときのみ)で有効にすることも可能です。 |

これらの設定を適切に行うことで、ユーザーは必要な情報に効率的にたどり着けるようになります。
検索UIの設定
検索UIの設定は、Google Agentspaceを利用したウェブアプリケーションやウィジェットにおいて、ユーザーがどのように情報を検索し、結果を表示するかを制御します。利用するライセンスティアに応じて、設定できる項目が異なります。
検索UIに関する主な設定は以下の通りです。
設定項目 | 説明 |
---|---|
構成するライセンスティア | 使用するライセンスティアを選択します。選択したティアによって、利用可能な構成オプションが変わります。 |
予測入力の候補を表示 | ウィジェットで予測入力を利用し、その候補を表示するかどうかを制御します。 |
フィードバックを有効にする | ユーザーが検索結果に対してフィードバックを送信できるようにします。これにより、AIアプリケーションの精度向上に役立つ貴重な情報を収集できます。 |
ユーザーイベントの収集を有効にする | ウィジェットとウェブアプリがユーザーイベントを収集することを許可します。これは、検索結果の向上とパーソナライズを目的としています。 |
ユーザー検索を有効にする | ウィジェットとウェブアプリにユーザー検索のエントリーポイントを表示します。これにより、ユーザーは直接検索機能を利用できるようになります。 |
外観とブランディングのオプション | ロゴ画像や固定されたリンク(ショートカット)など、検索UIの見た目をカスタマイズするための設定です。企業のブランディングに合わせて、視覚的な要素を調整できます。 |
データ表示オプション | 検索結果の表示方法や、どのデータストアから情報を取得するかなど、データに関する表示設定を調整します。 |

これらの設定を調整することで、特にエンドユーザーにとって使いやすく、かつ企業ブランドに合致した検索体験を提供できます。
管理(Management)の設定
「管理」タブでは、Google Agentspaceアプリケーション全体のアクセス制御や基本的な動作に関する設定を行います。これにより、誰がどのような操作を行えるかを定義し、セキュリティと運用の整合性を保つことが可能になります。
管理に関する主な設定項目は以下の通りです。
- 実行する処理:
このコントロールがトリガーされた際に実行するアクションを定義します。- 設定名: コントロールを識別するための名前を設定します。この名前は、コントロールIDの生成にも使われます。
- コントロールタイプ: 実行するアクションの種類を選択します。
- 条件の設定:
このコントロールがトリガーされるための条件を定義します。条件が設定されていない場合、コントロールは常に有効となります。例えば、「特定のキーワードが入力された場合」や「ある期間」など、詳細なトリガー条件を設定できます。 - 操作:
「実行する処理」で定義したアクションを、具体的にどこに実行するかを設定します。例えば、どのデータストアにアクションを起こすかなどををここで指定します。 - 追加設定:
コントロールの作成をすぐに適応するかを設定します。

適切な管理設定は、Google Agentspaceをセキュアかつ効率的に運用するために不可欠です。
アシスタント機能の設定
アシスタント機能は、AIがユーザーの質問に答えたり、タスクを支援したりするための根幹となる設定です。運用チームの社内向けチャットボットや、顧客サポートエージェントなどに応用できます。
アシスタント機能の主な設定項目は以下の通りです。
設定項目 | 説明 |
---|---|
スタイルとフォーマットに関する指示 | AIの応答スタイルやフォーマットを定義します。これにより、AIがより人間らしく、または特定のブランドガイドラインに沿ったコミュニケーションをとれるようになります。 |
ウェブグラウンディングを有効にする | AIがウェブ検索結果に基づいて回答を生成できるようにします。Google SearchまたはEnterprise Web Searchを選択でき、最新かつ広範な情報に基づいた回答が可能になります。 |
禁止フレーズ | AIが特定のフレーズを使用したり、特定の話題に触れることを制限します。これにより、不適切な応答や機密情報の漏洩を防ぐことができます。 |
エージェント | エージェントと連携し、より高度な会話フローやタスク実行能力をアシスタントに付与します。 |

これらの設定により、AIアシスタントの精度と安全性を高め、実用的なAIアプリケーションを構築できます。
ナレッジグラフの活用
ナレッジグラフは、内部および外部のデータソースから構造化された知識を統合し、検索結果の関連性を向上させるための強力なツールです。システム運用においては、ログデータ、構成情報、インシデント履歴などをナレッジグラフとして統合することで、迅速な問題解決に貢献します。
ナレッジグラフには、以下の設定があります。
設定項目 | 説明 |
---|---|
Google Cloud ナレッジグラフを有効にする | Google Cloudが提供するパブリックなナレッジグラフを利用し、検索結果の範囲を広げ、追加の分析情報で関連性を向上させます。 |
非公開のナレッジグラフを有効にする | 組織の内部データを利用して、検索結果の精度を高めます。エンティティ解決やパーソナライズされた検索など、より組織に特化した情報アクセスが可能になります。この機能は、組織の個人データを活用するため、データの再生が完了するまでに最大24時間ほどかかる場合があります。 |

非公開ナレッジグラフの活用は、社内システムの複雑な依存関係や、特定の運用手順に関するナレッジをAIに学習させる上で非常に重要です。
機能管理での詳細設定
機能管理では、エンドユーザーが利用できるGoogle Agentspaceの様々な機能を細かくコントロールできます。これにより、開発中の機能のON/OFFや、特定のユーザーグループへの機能提供などを柔軟に管理できます。
機能管理の主な設定項目は以下の通りです。
設定項目 | 説明 |
---|---|
エージェントギャラリーを有効にする | ウェブアプリにエージェントギャラリーのエントリーポイントを表示し、ユーザーが利用可能なエージェントを発見しやすくします。 |
ノーコードエージェントビルダーを有効にする | エンドユーザーがコードを記述することなくエージェントを構築できるようにします。これにより、非技術者でもAIエージェントを作成・カスタマイズできます。 |
プロンプトギャラリーを有効にする | ウェブアプリにプロンプトギャラリーのエントリーポイントを表示し、ユーザーが既存のプロンプトを参照・利用できるようにします。 |
モデルセレクタを有効にする | エンドユーザーがウェブアプリで使用するGeminiモデルを選択できるようにします。これにより、ユーザーは用途に応じて最適なモデルを選択できます。 |
Notebook LMを有効にする | エンドユーザーがウェブアプリでNotebook LMを使用できるようにします。これは、インタラクティブな方法でモデルを操作し、実験するためのツールです。 |

これらの機能を適切に管理することで、AIアプリケーションの利用促進と、開発・運用の効率化を図ることができます。
Google Agentspace導入のメリット
Google Agentspaceをシステム運用に導入することで、以下のような具体的なメリットが期待できます。
- 運用自動化の推進: AIエージェントが定型的な問い合わせ対応や情報検索を自動化し、運用チームの負荷を軽減します。
- 迅速な課題解決: ナレッジグラフやアシスタント機能により、障害発生時の原因特定や解決策の検索が迅速化されます。
- ナレッジの一元化と活用: 散在しがちな運用ナレッジをGoogle Agentspaceに集約し、AIを通じて効率的に活用できます。
これらのメリットは、日々の業務に追われるインフラエンジニアやSREにとって、まさに求めていた効率化と自動化への道筋となるでしょう。
まとめ
本記事では、Google Agentspaceの基本的な構成設定とその運用における活用方法について解説しました。予測入力の最適化から、検索UIのカスタマイズ、管理設定、アシスタント機能のカスタマイズ、ナレッジグラフの構築、そして詳細な機能管理まで、Google AgentspaceはAIを活用した効率的なシステム運用を実現するための強力なツールです。
システム運用にAIを導入することは、もはや遠い未来の話ではありません。まずは、予測入力やシンプルなアシスタント機能から導入を検討し、その効果を実感することが、AIを活用した運用自動化への第一歩となるはずです。