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Google I/O基調講演レポート

【速報】Google I/O 2025 基調講演レポート

2025年5月21~22日(日本時間)に開催中の「Google I/O 2025」は、Googleの最新技術とイノベーションを披露する年に1回の開発者向けのイベントです。米国カリフォルニアで開催され、世界中の開発者が現地およびオンラインで参加しています。

このレポートでは、基調講演の主要な内容をまとめます。

講演の幕開け

講演はエネルギッシュな音楽とビデオで始まりました。「僕たちは夢見る者の病にかかってる」「それが今、君を突き動かしている。あきらめないで。生きる理由がある。」といった歌詞で、聴講者のAIがもたらす無限の可能性への期待を高めます。

次にGoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏が温かい挨拶を述べ、Googleでは、例年Google I/Oの直前はサービスのリリース発表を控えていますが、今年は3月のランダムな火曜日に最先端モデルをリリースするなど、迅速な展開を進めていると説明。

これまで以上に早く製品をリリースしており、昨年のGoogle I/O以来、12以上のモデルと研究のブレークスルーを発表、20以上の主要なAI製品や機能をリリースされています。

「最高のモデルをできるだけ早く皆さんの手に届けたい」とし、AIの進化がGoogleの製品戦略を根本から変えていると強調しました。

Gemini 2.5 Proの進化

本講演時点で、Gemini 2.5 Proは、様々なAIモデルの性能を客観的に比較・評価するオンラインプラットフォームで「AIリーダーボード」の全カテゴリーでトップを独占。多くのベンチマークで最先端を誇ります。ELOスコアは初代Gemini Proから300ポイント以上向上し、多くのベンチマークで最先端を走ります。

コーディングも急速に進化し、Web開発におけるAIモデルの機能を評価および紹介するために設計されたオープンソースプラットフォーム「WebDev Arena」でも1位を獲得、前バージョン比142ポイント向上。次世代AIコードエディタ「Cursor」では毎分数十万行のコードを生成しており、「Gemini 2.5 Proはトップのコーディングプラットフォームでも愛されてる」と語られました。

また、Gemini 2.5 Proはゲーム「ポケットモンスター 青」をクリアする快挙を達成。8つのバッジを獲得し、ビクトリーロードを進み、チャンピオンに挑戦する前に戦う強力なトレーナーの集団であるエリートフォーと、チャンピオンを倒しました。サンダー・ピチャイ氏は、「これで人工ポケモン知能に一歩近づいたね」と笑顔を見せました。

7世代目のTPU「Ironwood」を発表

Geminiの進化は、世界最先端のインフラに支えられています。講演では、7世代目のTPU「Ironwood」が発表されました。

思考と推論を大規模に処理する初の設計となり、前世代の10倍の性能、1パーツあたり42.5 EFLOPS(exaFLOPS:エクサフロップス)の計算能力を持ち、2025年後半、Google Cloudの顧客向けに提供開始予定です。

この強力なインフラのおかげでモデルを劇的に迅速に提供できるようになったとし、「性能は格段に上がり、価格は大幅に下がってる。価格と性能のトレードオフは厳しいけど、僕たちは常に最高のモデルを最も効果的な価格で提供してきた。その結果、誰もがどこでもより多くの知能を利用できるんだ。」と語られました。

Gemini 2.5 Flashのアップデートを発表、Proは6月下旬リリース予定

次に、2024年にノーベル化学賞も受賞したGoogle DeepMindのCEO、デミス・ハサビス氏が登壇。Gemini 2.5 Proを「世界最高の基盤モデル」と称した上で、アップデートされたGemini 2.5 Flashを発表しました。

本日発表されたGemini 2.5 Flashは、推論、コード、ロングコンテキストの主要ベンチマークでほぼ全てが改善。AIリーダーボードでは2.5 Proに次ぐ2位。2025年6月初旬に一般提供され、Proもすぐ後に続く予定です。「今皆さんのフィードバックで最終調整中だけど、Google AI Studio、Vertex AI、Geminiアプリで今すぐプレビューを試せるよ」と語られました。

推論、コード、ロングコンテキストでほぼ全てのベンチマークが改善。テキスト・トゥ・スピーチは2つの声でマルチスピーカーサポートを備え、24以上の言語で自然な会話を実現。ささやき声への切り替えも可能で、表現力を強化しています。

AIを使ったサイバー攻撃などを対象とした、セキュリティ強化

次に、AIを使ったサイバー攻撃の一種である「間接プロンプト・インジェクション攻撃」をはじめとするセキュリティ脅威に対する保護を強化したと発表。「Gemini 2.5はこれまでで最も安全なモデルだ」と語りました。

「Google Beam」の発表と、研究プロジェクト「Project Astra」

続いて、目の前に本人がいるかのような体験ができるWeb会議システム「Project Starline」から生まれた、新しいAIファーストのビデオ通信プラットフォーム「Google Beam」が紹介されました。

Google Beamは6つのカメラとAIを活用し、リアルタイムで没入感のある3Dビデオ体験を提供します。これにより、Web会議を行う際、PC画面という窓の奥に同僚がいるかのような、はるかに自然で没入感のある会話体験ができると言います。

Google Beamデバイスは、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ社(HPE)と協力して2025年後半に早期顧客向けに提供される予定だと語られました。

また、Google DeepMindの初期研究プロジェクトである、Googleの次世代AIエージェント「Project Astra」に関する発表もありました。Project AstraはGemini Liveに統合され、カメラとスクリーン共有で実世界の対話を可能に。ジョブインタビュー練習やマラソントレーニングなど多様な用途に対応します。

高度なAIエージェント「Project Mariner」、2025年夏に一般提供予定

Project Marinerは、ウェブやソフトウェアを操作し、最大10のタスクを同時処理できるAIエージェントです。「Teach and Repeat」という機能では、タスクを一度見せると、類似タスクの計画を学習します。

Project Marinerは、Gemini API経由で開発者に提供され、AIエージェント連携プロトコル(MCP)で他のサービスと連携し、ChromeやGeminiアプリに機能導入。

Project Marinerはウェブ操作のAIエージェントで、マルチタスク(最大10タスク)と「Teach and Repeat」機能を搭載。Gemini API経由で開発者に提供され、Automation Anywhere(オートメーション・エニウェア)社やUiPath社などの信頼できるテスターがすでに利用を始め、今年の夏に広く提供される予定だと語られました。

Google検索の進化

AI Overviewsの拡大

Googleは、「世界の情報を整理し、普遍的にアクセス可能、かつ有用なものにすることを推進する」という使命があるとし、「私たちの使命を最も体現している製品はGoogle検索です」と言います。

Googleの検索結果ページのトップに、AIが調べた結果を表示する機能「AI Overviews(AIによる概要)」は、月間15億人以上、200以上の国で利用されていています。また、Googleの画像検索機能「Google レンズ」は年間1000億回以上の視覚検索を記録し、前年比65%成長しています。

米国にて、「AIモード」が提供開始

また、本基調講演の当日から、米国では検索画面に新しいタブ「AIモード」が表示、提供開始されています。AIモードはより高度な推論により、従来の検索の2~3倍の長さの、より長く複雑なクエリを尋ねることができる新しい検索体験です。

検索履歴やGmailを基にカスタマイズ提案を提供される「パーソナルコンテキスト」が、2025年夏にAIモードで利用可能になる予定です。

Geminiアプリの新機能

Geminiアプリは、個人に合わせた積極的で強力なAIアシスタントを目指し、以下の新機能を発表しました。

Gemini Live45言語、150カ国以上で利用可能な対話型AI。カメラやスクリーン共有を活用し、カレンダーやメモアプリGoogle Keepと連携可能。無料でAndroid/iOSに展開。
ディープリサーチとCanvasファイルアップロードやGoogleドライブ/Gmailとの連携で、複雑なリサーチをサポート。Googleが提供する描画アプリCanvasは、レポートをウェブページやポッドキャストに変換。
画像とビデオ生成Imagen 4モデルで高品質な画像生成、Veo 3モデルで音声付きビデオ生成を実現。たとえば、音楽フェスティバルのポスターやリアルな対話シーンを生成。
Chrome統合ウェブ閲覧中にページのコンテキストを理解するGeminiをChromeに導入(米国で展開開始)。
新しいAIのサブスクリプションプラン「Google AI Proプラン」と「Google AI Ultraプラン」を発表。Google AI Ultraプランは、最高のレート制限と新機能への早期アクセスを提供。

Android XRスマートグラス

ヘッドセットやメガネなど新しいフォームファクターでAI体験を拡張する「Android XRスマートグラス」についても紹介がありました。

Samsung Project MoohanGoogle Mapsやライブ野球などが楽しめるMLBアプリなどで活用されている、没入型体験を提供するヘッドセット。2025年後半に発売予定。
XRメガネ軽量で全日装着可能なメガネ。カメラやマイクでGeminiが世界を理解し、リアルタイム翻訳やナビゲーションを提供。
韓国発のアイウェアブランドGENTLE MONSTERや、米国のアイウェアブランドWarby Parkerと提携し、スタイリッシュなデザインを実現。

クリエイター向けAIツールの強化・提供開始

クリエイター向けにAIツールについても、機能拡充と新発表がありました。

まず、動画生成のVeo 3、画像生成のImagen 4、生成AIモデルのGeminiを統合したAI映画製作ツール「Flow」が、講演当日にローンチされました。Flowではキャラクターやシーンを一貫して生成し、カメラ制御をカスタマイズ可能です。

また、最近リリースされた音楽生成AI「Lyria 2」では、プログレードのオーディオが生成可能です。メロディアスで、ソロや合唱のボーカルがあり、表現力豊かな音楽が作成可能、企業、YouTubeクリエイター、ミュージシャン向けに利用可能です。

社会課題への取り組み

最後に、GoogleはAIを駆使し、社会課題の解決にも貢献していると紹介されました。

例えば、マルチスペクトル衛星画像とAIを組み合わせた衛星コンステレーションの構築。270平方フィートの小さな火災を検出し、12時間ごとの更新を20分ごとに短縮するほぼリアルタイムの洞察を実現しています。

最初の衛星はすでに軌道に乗っており、災害時の迅速な対応を可能にします。2024年、甚大な被害をもたらした大型ハリケーンHelene(ヘレン)が米国に上陸した際には、ドローン配送サービスのWing社がAIを活用して、スーパーマーケット大手のWalmartや赤十字と協力し、ドローンで食料や医薬品をノースカロライナのシェルターに届け、リアルタイムのニーズに応えました。

さらに、ブラウザ用AIエージェントProject Marinerは、ブラウザ操作を変革し、ユーザーの代わりにタスクを効率化。NotebookLMのマインドマップは学習体験を革新し、生成メディアは創造の境界を広げています。

これらの技術は、災害対策から自動運転車企業Waymo社まで、生活を向上させる「ゲームチェンジャー」です。「Googleは、技術の魔法で社会をインスパイアし、前進させる使命を担っています」と語られました。

まとめ

Googleは、この講演でAIが検索、クリエイティブ、社会課題解決をどう変えるかを示しました。

AIモードやGeminiアプリは、ユーザーの質問にインテリジェントに応え、タスクを効率化。Android XRは新しいデバイスでAIを身近にし、FlowやLyria 2はクリエイターの可能性を広げます。

Googleが今後、「世界の情報を整理し、普遍的にアクセス可能で有用にする」という使命をどう推し進めるのか楽しみですね。

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