サーバー監視サービスの選び方とは?おすすめツール6選を徹底比較
サーバー監視サービスは、高い品質水準でシステムの安定稼働を確保しつつ、自社のリソースを確保する上で便利です。専門家による24時間365日の監視体制を利用することで、障害のリスクを最小限に抑え、コスト削減と業務効率の向上を実現できます。
サーバー監視サービスの選定時には、自社のニーズに合ったプロバイダーの選択やコストと投資対効果のバランスを考慮し、最適な監視体制を構築することが重要です。本記事では、サーバー監視サービスのメリットや導入手順、無料と有料サービスの比較、おすすめのサービスなどについて解説します。
サーバー監視サービスとは
サーバー監視サービスとは、サーバーの稼働状態やパフォーマンスをリアルタイムで監視し、異常が発生した際に通知やアラートを行うための専門サービスです。CPUやメモリ使用率、ディスク容量、ネットワークの帯域使用率など、サーバーに関連する重要なリソースの状態を継続的に監視することで、システムの安定稼働を支援します。
サーバー監視サービスが提供する主な機能には、リアルタイム監視、異常検知、アラート通知、パフォーマンスデータの収集・分析、障害発生時の支援などがあります。
プロバイダーによっては、監視の自動化やレポート生成、外部ツールとの連携機能も提供されており、管理者の負担を軽減し、運用効率を向上させることが可能です。
一般的に、サーバー監視サービスはオンプレミスだけでなく、クラウド環境や仮想サーバー、ハイブリッド環境で運用しているサーバーにも対応しており、企業のITインフラ全体の監視を包括的に実施できます。
サーバー監視サービスを利用するメリット
サーバー監視サービスを利用する主なメリットは、専門家による24時間365日体制の監視、コスト削減と効率化の実現、柔軟な拡張が可能なことが挙げられます。ここでは、3つのメリットについて解説します。
専門家による24時間365日体制の監視
サーバー監視サービスでは、セキュリティの専門家が24時間365日体制でシステムの状態を監視します。そのため、異常や障害の発生を迅速に検知し、リアルタイムに対応できるというメリットがあります。
プロの知識と経験を活用して問題の根本原因を速やかに特定し、最適な解決策を講じるため、万が一の事態が起こっても、ダウンタイムを抑制できます。専門家による継続的な監視は、自社で監視を行う場合と比較して、信頼性と安定性が向上する可能性が高いです。
コスト削減と効率化の実現
サーバー監視サービスの利用は、内部リソースの節約とコスト削減につながります。
自社で監視体制を構築するには、専任のスタッフの配置や監視ツールの導入、保守費用などが発生します。監視サービスを利用すると、委託先のサービスプロバイダーがスタッフや機器の準備・保守を行うため、初期投資や運用コストを削減できます。
また、サービスプロバイダーが提供する自動化機能や効率的な運用フローを活用することで、社内のITスタッフは本来の業務に集中できるようになり、生産性が向上します。
柔軟な拡張が可能
サーバー監視サービスは、企業の成長や変化に応じて、監視対象のサーバーやシステムを柔軟に拡張できるのも大きなメリットです。新たなサーバーやサービスを追加する際にも、既存の監視インフラを再構築する必要がなく、スムーズに拡張を行えます。
特にクラウド環境やハイブリッド環境に対応したサービスを利用すると、より動的なリソース管理が可能になり、ビジネスのニーズに合わせた迅速な対応を実現できます。
監視サービスの導入手順
実際に監視サービスを導入する際の手順は、次のとおりです。
- ニーズの明確化と要件定義
- サービスプロバイダーの選定
- サービスの導入と設定作業
- テストと運用開始
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
ニーズの明確化と要件定義
監視サービスを導入する際は、最初に自社のニーズを明確化し、要件を定義することが重要です。例えば、どのサーバーやシステムを監視対象とするか、どのようなパフォーマンス指標をモニタリングするか、障害発生時の対応レベルや通知方法の設定など、具体的な要件をリストアップします。
この段階で、サービスを通じて達成したい目標を明確にすることで、後のプロセスが円滑に進みます。設定する目標の例としては、ダウンタイムの削減、コスト削減、セキュリティ強化などが考えられます。
サービスプロバイダーの選定
次に、ニーズと要件に基づいて最適なサービスプロバイダーを選定します。提供されるサービスの範囲、価格、サポート体制、監視対象の柔軟性、導入の容易さ、セキュリティ対策などを比較・検討しましょう。
また、プロバイダーの信頼性や実績、過去の導入事例も併せて調査し、自社にとって最も適したプロバイダーを選ぶことが大切です。契約前に、試用期間やデモを通じてサービスの実際の機能を確認するのも効果的です。
サービスの導入と設定作業
サービスプロバイダーを決定した後は、サービスの導入と設定を開始します。
まず、サービスの利用に必要なソフトウェアやエージェントをインストールし、サーバーやシステムに必要な設定を行います。その後、監視する項目の設定やアラートのしきい値の設定など、事前に定義した要件に基づいて、システムの監視体制を構築しましょう。
導入作業には専門知識が必要な場面もあるため、必要に応じてサービスプロバイダーのサポートを受けながら進めることで、スムーズかつ正確に設定作業を行えます。
テストと運用開始
サービスの設定が完了したら、テストを実施し、監視が正しく機能するかを確認します。テストでは、意図した通りにアラートが発生するか、通知が適切に行われるか、データの収集や分析が正常に行われているかなどをチェックします。
テストを通じて設定を微調整しながら、運用開始の準備を万全に整えます。テストが成功し、全ての要件を満たしていることが確認できたら、正式に運用を開始し、定期的にモニタリングとメンテナンスを行います。
無料 vs 有料サービスを徹底比較
サーバー監視サービスには無料と有料のものがあり、どちらを選ぶべきかお悩みの方も多いでしょう。ここでは、無料サービスと有料サービスのメリット・デメリットを詳しく比較しました。
無料サービスのメリットとデメリット
無料サービスのメリットとデメリットは、次のとおりです。
メリット
無料の監視サービスは初期投資や運用コストがかからないため、小規模な企業や予算が限られている場合に最適です。オープンソースのツールを利用することで、コストを抑えながら基本的な監視機能を確保できます。
また、オープンソースはコードが公開されているため、企業のニーズに合わせて柔軟なカスタマイズが可能です。追加の機能を自由に設定できる点が魅力です。
加えて、オープンソースのツールにはユーザーコミュニティが用意されていることも多く、フォーラムやドキュメントを通じて情報共有やサポートを受けられます。
デメリット
無料サービスは有料サービスに比べて機能が制限されている場合が多く、特に、高度な監視や自動化機能は提供されないケースが多いです。さらに、公式サポートがないため、トラブル発生時には自力で解決する必要があります。
また、オープンソースの場合、脆弱性の発見によるセキュリティリスクが有料サービスに比べると高くなりがちです。
加えて、無料ツールはインストールや設定が複雑であり、適切に運用するには高度な技術スキルが求められます。外部の専門的なサポートを受けられない場合、管理者の負担が増大する可能性があります。
有料サービスのメリットとデメリット
有料サービスには、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
有料の監視サービスは、リアルタイム監視、アラート機能、レポート作成、予測分析、セキュリティ監視など、幅広い機能が提供されます。また、ベンダーによる24時間365日のサポートが付いているため、トラブルが発生した場合でも迅速に対応できます。
一般的な有料サービスは企業向けに設計されており、セキュリティ対策が強化されているのもメリットのひとつです。データの暗号化、アクセス制御、定期的なアップデートやパッチ提供など、セキュリティの観点からも安心して利用できます。
さらに、有料サービスはクラウド環境や大規模なシステムに対応できるスケーラビリティを備えており、企業規模の拡張に応じて容易にスケールアップが可能です。
デメリット
有料サービスは、ライセンス費用やサポート契約費用が発生するため、長期的には高額なコストがかかる場合があります。特に中小企業にとっては、初期投資が大きな負担になりがちです。
また、有料サービスを導入する場合、特定のベンダーに依存する形になるため、将来的にサービス変更やベンダー移行が必要な場合に柔軟性が失われるリスクがあります。
加えて、有料サービスは多くの機能を提供する一方で、自社の規模やニーズに対して不要な機能が含まれている場合があります。不要な機能が多いほど、無駄なコストが発生しやすくなります。
2024年おすすめサーバー監視サービス
サーバー監視サービスを選定する際は、自社が特に重視する要素に注目し、優先順位を設定することをおすすめします。ここでは、コストパフォーマンス、高信頼性、導入のしやすさの3つの観点から、2024年におすすめのサーバー監視サービスを紹介します。
コストパフォーマンスが高いサービス
コストパフォーマンスの高さからおすすめのサーバー監視サービスは、HinemosとMackerelです。
Hinemos
Hinemosは、日本発のオープンソースの統合運用管理ソフトウェアで、コストパフォーマンスに優れたサーバー監視ツールとして知られています。監視、パフォーマンス管理、ジョブ管理を一体化しており、物理環境だけでなく仮想化やクラウド環境の管理にも対応可能です。
オープンソース版は無料で利用でき、企業向けにはサブスクリプションサービスを通じて長期的なサポートと追加機能が提供されています。自動化機能により、運用コストを削減しつつ日々のオペレーションを効率化できるため、コストを抑えつつ監視を強化したい企業に適しています。
Mackerel
Mackerelは、簡単で使いやすいインターフェースを持つクラウドネイティブなサーバー監視サービスで、コストパフォーマンスに優れています。
サーバーにエージェントをインストールするだけで監視を開始でき、監視対象を「サービス」や「ロール」としてグループ化してリソース情報を視覚化できます。特に中小企業やクラウド環境を中心とした企業にとって、手軽に導入・運用できる点が魅力です。
オープンソースのプラグインで監視機能をカスタマイズでき、柔軟性を保ちながらコストを抑えられます。
高信頼性が求められる企業向けサービス
信頼性を重視する企業にとっては、次の2つのサービスがおすすめです。
LogicMonitor
LogicMonitorは、クラウドベースのパフォーマンス監視プラットフォームで、高信頼性が求められる大企業向けのサービスです。物理サーバー、仮想マシン、クラウドインフラ、ネットワーク機器など、幅広いITインフラを対象にリアルタイムなデータ収集と分析を実現します。
AI機能「Edwin AI」により、異常検知や根本原因の分析を自動化し、迅速な問題解決をサポートします。エージェントレスのため迅速な導入が可能で、3,000を超える統合機能を持ち、柔軟な運用が可能です。
System Answer G3
System Answer G3は、企業のITインフラ全体を包括的に監視できる性能監視ツールです。社内のネットワークやサーバー、データセンター、クラウド、仮想環境など、さまざまな監視対象に対応しています。
監視データは1分間隔で収集され、最大5年間非圧縮で保存されるため、短期的な問題の早期発見から中長期的な傾向分析まで幅広く対応可能です。異常が発生する前に予防策を講じるための情報を提供する点でも、信頼性の高い監視を求める企業に適しています。
導入のしやすさで選ぶサービス
導入のしやすさに重点を置くなら、srestやPATROLCLARICEが適しています。
srest(スレスト)
srestは、AWSに特化した横断監視ツールで、導入のしやすさが特徴です。複数のインフラ系サービスから発生するイベントログやAWSのコストを一元管理し、異常をリアルタイムで検知します。
AWSの各種サービスコストを可視化し、費用の増加を早期に検知する機能を持つため、コストの効率化も可能です。ダッシュボード機能により、クラウドインフラ全体の状態を一元的に監視し、運用コストの最適化と業務効率の向上を図ります。
AWS環境を利用している企業にとって、簡単に導入できる点が大きなメリットです。
PATROLCLARICE(パトロールクラリス)
PATROLCLARICEは、エージェントレス型のサーバー・ネットワーク統合監視ソフトウェアで、導入が容易な点が特徴です。無料で利用できる監視機能を多く備えており、死活監視やリソース監視、セキュリティ監視など60種類以上の監視機能を提供しています。
異常検知後の迅速な通知機能やアラート管理機能も充実しており、メールやSlackなど多彩な通知方法を設定可能です。特に中小企業や監視導入の手軽さを求める企業に向いています。
サービス選定時の注意点
サーバー監視サービスを選定する際は、自社のニーズに合ったサービスプロバイダーを選ぶとともに、コストとROIのバランスを考慮することが大切です。ここでは、押さえておきたい3つの注意点を解説します。
自社のニーズに合ったプロバイダーを選ぶ
サーバー監視サービスを選定する際は、自社のニーズに最も適したプロバイダーを選ぶことが重要です。自社が求める監視項目やカスタマイズ性、監視対象の範囲を明確にし、ニーズに合致するサービスを提供しているかどうかを見極めましょう。
例えば、AWS環境に特化した監視が必要であれば、srestのような特化型のサービスが適しています。一方で、物理サーバーやクラウドを含む包括的な監視が必要な場合は、LogicMonitorのような柔軟なツールが適しています。
選定時には、各プロバイダーの機能を比較した上で、自社に最適なものを選ぶことが求められます。
コストとROIのバランスを考慮する
サーバー監視サービスの選定時には、コストと投資対効果(ROI)のバランスを慎重に考慮する必要があります。
前述のように、無料の監視ツールは初期費用がかからない反面、運用に必要な技術力やサポート体制の整備が必要です。一方、有料サービスは高機能で信頼性が高い反面、ライセンス費用や保守費用が発生します。
導入・運用コストに対する監視効果を事前に評価し、サービスによってどの程度のコスト削減や運用効率の向上が見込めるかを検討することが大切です。短期的なコストだけでなく、中長期的な視点でのROIを見据え、自社にとって最もコストパフォーマンスの高い選択をすることが重要です。
サポート体制と信頼性を重視する
サーバー監視サービスを選ぶ際は、プロバイダーのサポート体制と信頼性も重要な判断基準になります。
24時間365日のサポート体制を提供するプロバイダーは、障害発生時に迅速な対応が期待でき、システムの安定稼働に大きく寄与します。また、サポートの種類(電話、メール、チャット)や対応速度、技術的なサポートの品質も確認しましょう。
さらに、過去の実績やユーザーからの評価も参考にし、信頼できるプロバイダーかどうかを見極めることも重要です。信頼性の高いサービスを選ぶことで、長期的に安定した監視体制を構築できます。
まとめ
サーバー監視サービスは、サーバーのパフォーマンスと稼働状態をリアルタイムで監視し、異常が発生した際に迅速な対応を可能にする専門的なサービスです。
サービスの選定時は、自社のニーズに合ったプロバイダーを選び、コストと投資対効果(ROI)のバランスを考慮しつつ、信頼性の高いサポート体制を重視することが重要です。
また、無料と有料のサービスの違いを理解し、自社に最も適したサービスを選ぶことで、効率的な運用とコストパフォーマンスの高い監視体制を両立できます。