【AWS Summit Japan 2025】基調講演レポートスペシャルセッションビルダーのための AWS テクノロジー：その深化と進化

AWS Summit Japan 2025 とは？

AWS Summit Japan 2025とは、アマゾンウェブサービス（AWS）が主催する日本最大級のクラウドコンピューティングイベントです。2025年6月25日(水)と26日(木)の2日間、千葉県の幕張メッセで開催され、オンラインでのライブ配信も行われます。

このイベントは、AWSに関する最新技術やベストプラクティスの共有、情報交換を目的としており、クラウドを活用したイノベーションに興味のある全ての人を対象としています。

セッション情報

セッション名	スペシャルセッションビルダーのための AWS テクノロジー：その深化と進化
セッション概要	AWS のサービスは、Amazon のビジネス課題を起点に生まれ、インフラを支える革新的な技術の「深化」と、お客様からいただくご要望に基づくサービスの「進化」を続けてきました。このセッションでは、AWS がインフラ領域において重ねてきた技術革新を掘り下げ、なぜ「ビルダーが描く価値創造」をセキュアかつスピーディに実現できるのか、その背景を紐解きます。さらに、AWS を活用して変革を実現されてきたお客様のお取組みと、お客様の声から生まれた最新のサービスをご紹介します。
登壇者	夏野剛氏株式会社ドワンゴ代表取締役社長鈴木啓介氏株式会社NTTドコモネットワーク本部サービスマネジメント部　オペレーションシステム部門担当部長渡辺宏聡氏アマゾンジャパン合同会社オペレーション技術統括本部統括本部長高倉大樹氏ソニー・ホンダモビリティ株式会社ネットワークサービス開発部ゼネラルマネジャー山内晃氏アマゾンウェブサービスジャパン合同会社技術統括本部通信グループ本部長巨勢泰宏氏アマゾンウェブサービスジャパン合同会社常務執行役員技術統括本部長

セッション詳細

2025年6月26日（木）の基調講演ではAWSのテクノロジーの深化と進化をテーマとし、利用事例を交えながらAWSの取り組みが紹介されました。

AWSでは、ネットワークの可用性・拡張性・性能・セキュリティを高めるために、地球と月を6往復するほどの長さの光ファイバーを使用し、そのすべての通信を暗号化して独自のネットワークを構築しています。

セキュリティを最優先事項とし、MadPot、Sonaris、Mithraといったサービスが紹介されました。

続いて、サービスのAWSへの大規模移行を成功させたドワンゴの夏野氏が登壇し、「クラウドを活用したセキュリティの強化、AWSへの移行プロジェクトの加速について」というテーマで自社の取り組みについて語りました。

ニコニコでは数多くのサービスを提供しており、日本の国産サービスとしてのトラフィックでは最大であると語ります。

これまではオンプレで提供してきたサービスを、クラウドに移行するプロジェクトを3年前から開始し、2025年4月に完遂しました。2024年6月にサイバー攻撃を受け、オンプレにあるサーバが使えなくなるという事態になるも、影響のなかったAWSへ前倒しで移行することで復旧しました。

移行先としてAWSを採用した理由として、AWSの堅牢性・柔軟性・献身性・多様性があげられました。AWSに移行したことで、ニコニコ動画のサービスの制限が大幅に緩和され、サイバー攻撃を受けた3日後にニコニコ生放送（Re:仮）がリリースできました。
ドワンゴではKADOKAWAのフルクラウド化を目標に、ドワンゴにエンジニアを集中させて取り組むと語ります。

AWSでは、日々進化する脅威の対策として新サービスのAWS Security Incident Responseをリリースしました。

AWSが誕生した2003年当時は統合パッケージがテクノロジーの主流でした。統合パッケージは平均点には良いですが、個々のお客様には必ずしもベストではない問題がありました。そこでAWSはビルディングブロックでニーズに合わせることが理念となりました。

ビルディングブロックの1つとしてComputeがあります。
代表的なサービスとしてElastic Compute Cloud（EC2）があり、EC2は多くのサービスの裏側で動くコアサービスです。現在では1日平均2億ものインスタンスがデプロイされていると語ります。

AIモデルの大規模化により、1台のサーバーでは数百年かかるような処理があります。そこでクラスター化が重要となりますが、サーバ数が数千台通信の負担が大きくなり、分散処理のメリットを上回ることがあります。
その解決策の1つである単体サーバーの性能向上を目指すスケールアップの取り組みとしてAIに特化したAWS Trainium2がリリースされました。

AWS Trainium2をNeuronLinkで64基接続したUltraServersでスケールアウトを実現しています。

次のビルディングブロックはStorageです。
代表的なサービスはAmazon S3です。

S3は時代と主に進化し、多くの機能を持つため、複雑さを管理するためにマイクロサービスアーキテクチャで設計されています。

3つ目のビルディングブロックはDatabaseです。
DatabaseのビルディングブロックはAmazon RDSから始まり、クラウドネイティブなAmazon Auroraが登場しました。また、データの特性に応じた専用のデータベースも存在します。

これらのデータベースを活用してモバイルネットワークの革新に取り組むNTTドコモの鈴木氏が登壇しました。

モバイルネットワークでは120万台のネットワーク装置があり、安心安全なネットワークを提供するためにそれらデータを24時間365日監視し、ネットワークを運用しています。
取り組みの柱としてObservability, Automation, AI, Digital Twinを上げ、目的別データベースとして、ObservabilityにAmazon Timestream, AI, Digital TwinにAmazon Neptuneを活用した事例が紹介されました。