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最適なAWS監視ツールとは?ツールの選び方やAmazon CloudWatchとZabbix、Mackerelの違いを解説

この記事は約13分で読めます。

AWSの利用が拡大する中、システムの可用性とパフォーマンスを最大限に引き出すために、適切な監視ツール選びが不可欠です。

本記事では、AWS監視ツールの重要性と、代表的なツールであるAmazon CloudWatch、Zabbix、Mackerelの特徴を比較解説します。また、主要ツール以外のツールについても解説します。

AWS監視ツールとは

AWS監視ツールは、AWS環境内で稼働するリソースやアプリケーションの状態を監視するツールです。パフォーマンスやセキュリティ、コスト効率を最適化できます。

AWSがマネージドサービスとして提供する監視ツールが、Amazon CloudWatchです。コンソール内で操作でき、多くのAWSリソースを監視可能なため、Amazon CloudWatchで監視を行う企業が多いです。

しかし、次のような環境を監視する場合は、他社が提供する監視ツールを活用しましょう。

  • マルチクラウド環境を監視したい
  • より高度な収集や分析がしたい
  • 豊富な監視テンプレートを活用したり、柔軟にカスタマイズしたい

用途に合わせたツールを選ぶことで、監視業務の効率化が可能になります。

AWS監視ツールを利用するメリット

AWS監視ツールを利用することで、システムのパフォーマンスと信頼性を向上させ、運用コストを削減しつつ、迅速な問題解決が可能になります。ここからは、AWS監視ツールを導入するメリットを詳しく解説します。

障害発生の迅速な検知

AWS監視ツールは、システム内で発生する問題をリアルタイムで検知し、アラートを発信することで、迅速な障害対応を可能にします。

異常検知機能により、潜在的な障害やセキュリティ脅威を早期に察知できるため、ダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスへの影響を軽減することができます。障害の早期発見は、AWSで信頼性の高いサービス提供をするうえで不可欠な要素です。

システムパフォーマンスの最適化

AWS監視ツールを使用することで、システムのパフォーマンスを継続的に監視し、ボトルネックやリソースの過不足を特定できます。これにより、必要なリソースを適切に配分し、アプリケーションの効率を最大化することが可能です。

システムの安定性向上

監視ツールは、AWS環境全体の安定性を向上させるために重要です。定期的なヘルスチェックやリソースの健全性の監視を通じて、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。

また、異常が検出された際には、自動で修復を試みる機能を備えたツールもあり、システム全体の稼働率を高めることが可能です。

コスト削減

AWS監視ツールは、コスト削減にも効果的です。リソースの利用状況を詳細に把握することで、無駄なリソースの使用を避け、効率的な運用が可能になります。

また、使用状況に応じてリソースを自動スケーリングする機能を利用すれば、過剰な支出を抑えることができ、コストパフォーマンスの向上に寄与します。

運用効率の向上

AWS監視ツールを活用することで、システム運用の効率が向上します。自動化された監視とアラート機能により、管理者の手動作業が減少し、コア業務に集中できるようになります。

さらに、統合されたダッシュボードにより、複数のリソースやサービスを一元的に管理できるため、運用全体の効率が大幅に向上します。

主要な監視ツール3つを比較

Amazon CloudWatchMackerelZabbix
種類AWSのマネージドサービスSaaSサービスオープンソースサービス
強みAWSサービスをほぼ網羅した監視サービス設定が容易シンプルなUI高い可用性豊富な実績・信頼性カスタマイズ性が高いコミュニティが活発無料
注意点AWS以外の環境には不向き他のSaaSとの連携が難しい導入・運用が複雑設定に手間がかかる
料金体系従量課金従量課金無料
導入難易度簡単比較的簡単難しい

AWSのAmazon CloudWatchは、AWSに特化した監視ツールで、リアルタイムモニタリングとアラート機能が特に優れています。AWSリソースとの統合がスムーズで、設定も簡単ですが、マルチクラウド環境には不向きなツールです。

Mackerelは、クラウドアプリケーションの監視に強みがあります。シンプルなUIで使いやすく、環境やシステムに合わせた柔軟な設定が可能な点も魅力です。Amazon CloudWatchに比べると柔軟性はありますが、コストが高くなるケースが多い点がデメリットと言えるでしょう。

Zabbixは、オープンソースの監視ツールで、オンプレミスやクラウド環境の複雑なネットワークにも対応可能です。カスタマイズ性が高く、大規模な環境でも柔軟に運用できる点が特徴です。

AWSを監視するツールのタイプ

AWSの監視ツールには、オンプレミス型、SaaS型、オープンソース型、統合監視ツールなど、さまざまなタイプが存在します。

SaaS型の監視ツール

SaaS型の監視ツールは、クラウドベースで提供されており、インターネットを介してアクセスして利用可能なサービスです。

SaaS型のツールには、以下の特徴があります。

  • 初期設定が簡単
  • スケーラビリティに優れている
  • 必要なリソースをすぐに拡張できる
  • アップデートやメンテナンスが自動で行われる

これらの特徴により、ユーザーは運用負荷を大幅に軽減できます。特に、リモートワークやグローバル展開する企業にとって、どこからでもアクセスできる柔軟性が利点です。一方で、サブスクリプションの月額料金が発生する点には注意が必要です。

オンプレミス型の監視ツール

オンプレミス型の監視ツールは、企業内に設置されたサーバー上で動作するツールで、クラウドリソースとオンプレミス環境を一元的に監視できることが特徴です。

オンプレミス型ツールを使用することで、以下のメリットがあります。

  • カスタマイズ性が高く自社の要件に合わせた詳細な設定が可能
  • インターネット接続がなくても運用可能

特に、セキュリティやデータ保護が厳重に求められる環境での利用に適しており、外部からの脅威に対する耐性が高い点がメリットです。しかし、初期導入や保守にコストや手間がかかる点がデメリットです。

オープンソース型の監視ツール

オープンソース型の監視ツールは、無料でAWS環境を監視できるソフトウェアであり、カスタマイズ性と拡張性が高い点が特徴です。

ユーザーコミュニティによる活発な開発とサポートが行われており、豊富なプラグインやアドオンが提供されています。これにより、特定のニーズに応じた独自の監視システムを構築することが可能です。

ただし、導入時は、設定や運用においては専門的な知識が求められます。また、サポートがコミュニティベースであるため、トラブルシューティングに時間がかかる場合があります。オープンソース型は、AWS監視業務の専門知識があり、コストを抑えながらシステムを構築したい企業に適しています。

SaaS型のAWS監視ツール

SaaS型のAWS監視ツールは、手軽に導入でき、多様な機能を提供することで、システムの安定稼働をサポートします。

ここからは、代表的なSaaS型AWS監視ツールであるMackerel、Site24x7、srest、Datadog、Dynatraceのそれぞれのツールについて詳しく解説します。

Mackerel

Mackerelは、「株式会社はてな」が提供する日本製の監視ツールです。無料のフリープランと有料のスタンダードプランの2つのプランがあります。

フリープランでも、基本的なメトリクスの取得やグラフ表示、APIの取得が可能で、トラブル時のサポートも受けられます。有料のスタンダードプランを契約すると、下記の機能が利用できるようになります。

  • 企業独自にカスタマイズできるダッシュボード機能
  • AWS・Azure・Google Cloudのマルチクラウド管理が可能
  • 外形監視が可能

サーバー1台からの導入も可能で、初めて導入する企業には、2週間の無料トライアルが用意されています。日本製のツールで導入実績も豊富にあり、サポートも充実している点が魅力です。

Site24x7

「Site24x7」は、5分で監視を始められる導入しやすさを売りにしているゾーホージャパン株式会社が提供する監視ツールです。

AWSの監視だけでなく、下記の監視にも対応しています。

  • Webサイト監視
  • サーバー監視
  • アプリケーション性能監視
  • ログ監視
  • クラウド監視

AWSなどのクラウド環境だけでなく、オンプレミス環境などさまざまなシステムの監視を行いたい場合に向いているツールです。

監視数の上限数に応じて、5つのプランが用意されています。上限数こそありますが、全てのプランで全てのサービスが利用できる点が魅力です。クレジットカード登録が不要なため、請求書払いの企業に特におすすめです。

srest

srest(スレスト)は、株式会社メタップスホールディングスが提供する監視ツールです。AWS横断監視ツールで、企業で導入すると下記が可能になります。

  • サービスレベル目標を達成しているかリアルタイムで監視
  • AWSコストをリアルタイムで把握
  • ログデータを元にしたタスク管理
  • アラート通知の設定

利用料金は、企業ごと・利用環境によって異なるため問い合わせが必要になりますが、導入前に、無料トライアルでデモ版の利用も可能です。

Datadog

Datadogは、アプリケーションの性能監視に特化したSaaS型の監視ツールです。AWS上のアプリケーションの監視に必要な、インフラ監視、ログ管理を統合・自動化して環境全体を一元管理し、リアルタイムで表示してくれます。

機能や用途に合わせて3つのプランが提供されています。無料のフリープランでは、最大5ホストのメトリクスを1日保存可能です。有料のProEnterpriseプランでは、メトリクスを15ヶ月間保存可能で、750種類以上のメトリクスを取得できます。Enterpriseのみ機械学習に基づいてアラーム設定が可能です。

Dynatrace

Dynatraceは、AIを活用したフルスタックの監視・セキュリティツールです。AWSなどのクラウド環境から従来型のシステムまで、幅広いシステムを対象に、パフォーマンス監視、セキュリティ監視、そしてビジネス分析を統合的に提供しています。Dynatraceは、月額の固定金額はなく、使用した分だけ発生する従量課金制を採用しています。

オンプレミス型のAWS監視ツール

クラウド環境が普及する一方で、オンプレミス環境でのシステム運用も依然として多く見られます。オンプレミス環境の監視には、オンプレミス型の監視ツールが適しています。代表的なオンプレミス型監視ツールを3つ紹介します。

パトロールクラリス

パトロールクラリスは、株式会社コムスクエアが開発した、エージェントレス型のサーバ・ネットワーク統合監視ソフトウェアです。国内で長年にわたって監視ツールを開発・運用しており、特に大規模なデータセンターやITインフラ運用を行う企業が利用しています。

パトロールクラリスは、企業の自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用するタイプです。自社サーバーで運用するため、監視項目やアラートなどを細かくカスタマイズできます。

X-MON

X-MONは、株式会社エクストランスが提供するソフトウェアインストール型のツールです。AWSなどのクラウド環境だけでなく、物理サーバーやネットワーク機器の監視も可能です。

ハードウェアの死活状態、HTTPやSMTPなどのサービス状態、CPUやメモリなどのリソース状態、トラフィックなどを監視できます。

機器のレンタルサービスや90日間の製品体験が用意されているため、導入を検討されている企業は、まずは無料で使用してみましょう。専門知識がない企業向けの導入サポートも充実しています。

OpManager

障害対応を迅速化したい組織や企業が多く導入し、国内実績3,100件を超えるツールが、「OpManager」です。AWS環境のEC2やVPCのサーバー、ネットワークの監視が可能なネットワーク監視ツールです。

  • 10,000以上のテンプレートがあり、自社にあった監視環境を簡単に作成可能
  • プログラミング不要・マウス操作で監視環境を構築可能
  • 豊富な監視機能を搭載
  • デバイス数に応じたわかりやすい料金体系

これらが、OpManagerの特徴です。1年ごとに契約する年間ライセンスと無期限の通常ライセンスが用意されています。

オープンソースのAWS監視ツール

オープンソースの監視ツールは、その柔軟性とコストパフォーマンスの高さから、多くの組織で採用されています。代表的なオープンソースの監視ツールの特徴を解説します。

Zabbix

Zabbixは、世界中で300,000台以上利用されている完全無料の監視ツールです。オープンソースの統合監視ツールとして広く利用されており、AWS環境の監視にも適しています。

Zabbixを活用することで、AWS上の様々なリソース(EC2インスタンス、RDS、S3バケットなど)を一元的に監視し、システムの安定稼働を確保することができます。

AWSだけでなく、下記のようなあらゆる対象が監視可能です。

  • ネットワーク監視
  • サーバー監視
  • クラウド監視

オープンソースのため、複雑な問題が発生した場合、解決に時間がかかる可能性があります。また、初期設定の導入サポート等も無いため、導入のハードルは比較的高いと言えるでしょう。

Nagios

Nagiosは、AWSで構築した環境など、システムやネットワークの稼働状況を監視するオープンソースソフトウェアです。

サーバーのダウンタイムやネットワーク障害などを早期に検出し、管理者にアラートを送信することで、システムの安定稼働ができます。プラグインの利用により、監視対象や監視項目を自由に拡張できる柔軟性が特徴です。

AWS監視ツールを選ぶ際のポイント

AWS環境は多岐にわたるリソースが存在するため、それらを適切に監視し、問題が発生した際には迅速に対応できるツールを選ぶことが不可欠です。3つの選定時に特に注目すべきポイントを紹介します。

AWS監視対象の範囲は最適か

AWS監視ツールを選ぶ際に最も重要なポイントの一つは、ツールが監視できる範囲が自社のAWS環境に適しているかどうかです。

例えば、リアルタイムのパフォーマンスモニタリングが必要な場合や、セキュリティコンプライアンスに関する詳細なログ分析が求められる場合には、対応する機能を持つツールを選ぶべきです。

AWSには、EC2、S3、RDSデータベース、Lambdaなど、非常に多様なリソースが含まれます。選択するツールが自社で利用するリソースをすべてカバーできるかを確認することが重要です。

コストは最適か

AWS監視ツールを選択する際は、コストも重要な比較ポイントです。無料ツールや安価なツールが必ずしも最適とは限りません。必要な機能が不足している場合、追加のツールを導入せざるを得ず、結果的にコストが増加することもあります。

また、ツールの価格は、以下のようなさまざまな要素で構成されています。

  • 基本料金
  • 利用量に応じた追加費用
  • カスタマイズ費用
  • サポートオプション費用

初期費用が発生するか、ランニングコストはどのくらいかかるのかを、複数ツールで見積もり、比較したうえで選定しましょう。

無料利用期間があるか

AWS監視ツールを選ぶ際に、無料利用期間の有無は重要なポイントです。無料利用期間が提供されている場合、実際の運用環境でツールを試用し、その性能や操作性を確認できます。

文字や動画のツール解説を見て問題ないと判断しても、実際に自社システムに導入すると不具合が出たり、設定ができなかったり、といったトラブルが発生するケースが多いです。無料利用期間で、ツールが自社の要件を満たしているか、または使い勝手が良いかどうかを見極めましょう。

まとめ

本記事では、AWS監視ツールの重要性と、代表的なツールであるAmazon CloudWatch、Zabbix、Mackerelをはじめとして、多くのツールの特徴を比較検討しました。

最適なツールの選定には、監視対象の規模や複雑さ、既存のインフラ環境、予算など、様々な要素を考慮する必要があります。監視ツールの導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

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