サーバー向けセキュリティソフト8選を徹底比較!【初心者から上級者まで】
サーバーをサイバー攻撃から守り、重要な情報を安全に保護するためには、セキュリティソフトの導入が欠かせません。適切なセキュリティ対策を施すことで、サーバーの信頼性を維持し、攻撃によるダウンタイムや情報漏えいのリスクを最小限に抑えられます。
本記事では、サーバーにセキュリティソフトを導入する目的やその重要性、導入しない場合のリスク、代表的なセキュリティソフトの種類と特徴、選定ポイントまで詳しく解説します。サーバーのセキュリティ対策にお悩みの方やこれから導入を検討している方は、ぜひご一読ください。
サーバーにセキュリティソフトを導入する目的
サーバーにセキュリティソフトを導入する主な目的は、サイバー攻撃からの防御や情報漏えいの防止、最新のセキュリティアップデートなどが挙げられます。ここでは、3つの目的を詳しく解説します。
サイバー攻撃からの防御
セキュリティソフトは、サーバーに対するさまざまなサイバー攻撃からシステムを保護する役割を果たします。代表的な攻撃手法であるマルウェア、DDoS攻撃、不正アクセス、ランサムウェアなどの脅威に対して、リアルタイムで監視・防御する機能を備えています。
ファイアウォールや侵入検知・防止システム(IDS/IPS)と連携することで、外部からの不正なアクセスを遮断し、攻撃を未然に防ぐ役割を担います。
セキュリティソフトの導入により、サーバーの信頼性を維持し、攻撃によるダウンタイムやデータ損失のリスク軽減が可能です。
情報漏えいの防止
セキュリティソフトは、情報漏えいを防ぐ上でも重要な役割を果たします。
アクセス制御機能を活用することで、サーバー上の機密情報や顧客データへの不正なアクセスを未然に防ぎます。また、データ暗号化やファイル監視機能を通じて、重要な情報の不正コピーや改ざんをリアルタイムで検出することも可能です。
さらに、多くのセキュリティソフトには、データ損失防止(DLP)機能が組み込まれており、特定の条件に合致した情報の送信を制限・遮断して、内部からの情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。
定期的な脆弱性の検知と最新の対策へのアップデート
セキュリティソフトは、定期的な脆弱性スキャンを実施し、システム内のセキュリティホールや未適用のパッチを検出する機能も持っています。こまめなスキャンにより、脆弱性が攻撃者に悪用される前に対策を講じられるようになります。
また、セキュリティソフトは自動的に最新のウイルス定義や攻撃手法に関する情報をアップデートし、サーバーを最新の脅威から守ります。ゼロデイ攻撃など、新たな脅威にも迅速に対応し、常に高いセキュリティレベルを維持することが可能です。
セキュリティソフトを導入しないリスク
セキュリティソフトを導入しない場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。ここでは、3つの観点からセキュリティソフトを導入しないリスクについて解説します。
サイバー攻撃によるデータ損失
セキュリティソフトを導入しない場合、サーバーはマルウェア、ランサムウェア、不正アクセスなどのサイバー攻撃に対して無防備な状態となります。攻撃者はサーバー内のデータを破壊したり、盗み出したりすることが容易になり、重要なデータや顧客情報が失われるリスクが高まります。
特にランサムウェア攻撃を受けた場合、データが暗号化されて利用できなくなり、元に戻すために多額の身代金を要求されるケースも考えられます。
データ損失は事業継続に直接的な影響を与え、バックアップがない場合には復旧が困難となるため、サーバーセキュリティソフトの未導入は非常に危険です。
情報漏えいによる信用低下
セキュリティソフトが導入されていないと、サーバーへの不正アクセスを容易に許してしまい、顧客の個人情報や企業の機密情報が外部に流出するリスクが高まります。情報漏えいは企業の信用を大きく損なうだけでなく、顧客からの信頼を失う原因となります。
また、情報漏えいが発覚した場合、社会的なイメージダウンや報道による悪評が広がり、企業としての信用を著しく毀損します。さらに、個人情報保護法やGDPRなどの法令違反となる場合には、罰金や賠償責任が発生することもあり、経済的な損失も免れません。
サービス停止や金銭的被害
セキュリティソフトの未導入により、DDoS攻撃などでサーバーがダウンすると、サービスの提供が停止し、多くのユーザーに影響を与えます。
特にオンラインショップやクラウドサービスを提供する企業の場合、サービス停止によって膨大な売上損失が発生するだけでなく、長期的な顧客離れにつながるリスクがあります。
さらに、セキュリティインシデントの対応や復旧作業には多額の費用と時間がかかるため、金銭的な被害は大きくなります。サイバー攻撃の被害を受けた際の損失は、セキュリティソフトを導入するコストをはるかに上回ることが多いです。
代表的なセキュリティソフトの種類と特徴
代表的なセキュリティソフトとして、アンチウイルスソフトやファイアウォール、IDS/IPS、WAFなどが挙げられます。ここでは、4つのセキュリティソフトの種類と特徴について解説します。
アンチウイルスソフト
アンチウイルスソフトは、サーバーやシステム内に侵入するウイルスやマルウェアを検出・除去するためのセキュリティソフトです。
ウイルス定義ファイルをもとに既知のマルウェアを検出する「シグネチャベース検出」や、未知のマルウェアを検出する「ヒューリスティック検出」などの機能を備えています。
また、リアルタイムスキャンによって、ファイルの読み書き時やダウンロード時にウイルスを検知し、感染を未然に防ぐことも可能です。サーバー内のデータを守り、悪意あるプログラムの拡散を防ぐ役割を果たしますが、アンチウイルスソフト単体ではカバーできない攻撃もあるため、他のセキュリティ対策と組み合わせることが重要です。
ファイアウォール
ファイアウォールは、サーバーと外部ネットワークの間に設置し、許可された通信のみを通過させて不正なアクセスや攻撃を防ぐためのセキュリティソフトです。
ネットワークレベルでのパケットフィルタリングや、アプリケーションレベルでのプロトコル検査を行い、不正なトラフィックやポートスキャンなどの攻撃をブロックします。
また、内部から外部への通信も制御できるため、マルウェア感染時に外部への情報漏えいを防止する役割も果たします。ソフトウェア型とハードウェア型のファイアウォールが存在するため、サーバー環境や予算に応じて適切なタイプを選択することが重要です。
IDS/IPS
IDS(Intrusion Detection System)とIPS(Intrusion Prevention System)は、サーバーへの不正アクセスや攻撃を検知・防止するためのセキュリティソフトです。
IDSは、ネットワークやシステムを監視し、攻撃の兆候や不正な活動を検出してアラートを発する機能を持ちます。一方、IPSは検出した攻撃に対して自動的に対処し、攻撃を阻止する機能も備えています。
IDS/IPSは既知の攻撃パターンや異常な振る舞いを検出するため、ゼロデイ攻撃や内部不正など、多様なパターンの脅威に対応可能です。リアルタイムでの監視・防御に優れているため、サーバーを狙った悪意ある攻撃から迅速に保護できます。
WAF
WAF(Web Application Firewall)は、Webサーバーに対する攻撃を防ぐために設計されたセキュリティソフトです。
Webアプリケーションへのリクエストを監視・フィルタリングし、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などのWeb攻撃からサーバーを保護します。
WAFは、Webトラフィックをリアルタイムで解析し、不正なリクエストをブロックするため、Webアプリケーションを提供するサーバーにとって重要なセキュリティ対策のひとつです。
従来のファイアウォールやIDS/IPSでは防ぎきれないアプリケーション層の攻撃に対応できるため、セキュリティを強化する上で非常に有効です。
サーバー環境に合わせたソフトの選び方
サーバー環境に合わせて最適なセキュリティソフトを選ぶためには、自社が構築しているサーバーの役割を正しく理解することが大切です。また、オンプレミスとクラウドのどちらにするかを検討し、監視・管理のしやすさも考慮する必要があります。
ここでは、押さえておきたい3つのポイントを解説します。
サーバーの役割に適したセキュリティソフトを選定する
サーバーセキュリティソフトを選ぶ際は、サーバーの役割に応じた対策が必要です。
例えば、Webサーバーの場合、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどのWeb攻撃に対応するため、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入が効果的です。
一方、ファイルサーバーやメールサーバーでは、マルウェア感染やスパムメールの対策としてアンチウイルスソフトやスパムフィルタリング機能を持つセキュリティソフトが適しています。
また、データベースサーバーでは、データ漏えいや不正アクセスを防ぐために、アクセス制御や暗号化機能を備えたセキュリティ対策が必要です。サーバーが果たす役割に合わせて適切なセキュリティソフトを選定することで、より効果的なセキュリティ体制を構築できます。
オンプレミスかクラウドかを検討する
サーバーがオンプレミス環境かクラウド環境かによって、選ぶべきセキュリティソフトも異なります。
オンプレミス環境では、ハードウェア型やソフトウェア型のファイアウォール、IDS/IPSなどを自社で導入・管理する必要があります。
一方、クラウド環境では、クラウドプロバイダーが提供するセキュリティサービス(AWS WAF、Azure Security Centerなど)を活用することで、効率的にセキュリティ対策を実施できます。
クラウド環境では高い柔軟性とスケーラビリティが求められるため、クラウドネイティブなセキュリティソフトを選択することが重要です。また、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境の場合には、複数のセキュリティソフトを統合的に管理できるソリューションを検討すると、セキュリティ対策を一元化できます。
監視・管理のしやすさも考慮する
セキュリティソフトを導入する際は、監視・管理のしやすさも重要なポイントです。
多くのセキュリティソフトはリアルタイムでサーバーの状態を監視し、異常を検知した際にアラートを出しますが、検知精度や使いやすさ、管理画面の操作性などを確認することが大切です。
特に、複数のサーバーを管理する場合には、統合管理が可能なセキュリティソフトを選ぶことで効率的に監視業務を行えます。また、ログの解析やレポート作成が自動化されているソフトを選ぶと、セキュリティインシデントへの迅速な対応や定期的なセキュリティ監査が用意になります。
サーバーに対応しているおすすめのセキュリティソフト8選
ここからは、サーバーに対応しているおすすめのセキュリティソフト8選を紹介します。これからセキュリティソフトを選定したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
Trend Micro Deep Security
Trend Micro Deep Securityは、オンプレミスやクラウド環境を問わず、サーバーを総合的に保護するセキュリティソフトです。
主な特徴として、不正プログラム対策、脆弱性保護、Webレピュテーション、変更監視、アプリケーションコントロール、ファイアウォール、セキュリティログ監視など、7つのセキュリティ機能を提供している点が挙げられます。
多層防御により、物理サーバー、仮想サーバー、クラウド環境のサーバーをひとつの製品で保護できます。
Symantec Endpoint Protection
Symantec Endpoint Protectionは、マルウェアやランサムウェア、その他のサイバー脅威からサーバーやエンドポイントを保護するための多層防御ソリューションです。
侵入防止、ファイアウォール機能、AIを駆使したセキュリティ機能を搭載し、オンプレミス、ハイブリッド、クラウド環境に対応しています。柔軟な展開が可能で、企業の規模やニーズに合わせたセキュリティ対策が行えます。
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス
ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービスは、トレンドマイクロが提供するビジネス向けのセキュリティソフトで、サーバーやエンドポイントを包括的に保護します。
不正プログラム対策、フィッシング対策、脆弱性保護を提供し、セキュリティリスクを低減します。特に中小企業向けに設計されており、管理が容易でコストパフォーマンスに優れたソリューションです。
管理しているサーバーの台数がそれほど多くない現場においても、気軽に導入しやすい点が魅力です。
ESET Endpoint Security
ESET Endpoint Securityは、軽量でありながら強力なマルウェア対策とウイルス対策を提供するエンドポイントセキュリティソフトです。
リアルタイムでの脅威検出、フィッシング対策、ファイアウォール機能を備えており、パフォーマンスの低下を抑えつつ、高いセキュリティを維持します。また、リモートでの管理や設定が可能なため、複数のデバイスを効率的に管理できます。
カスペルスキー Endpoint Security for Business
カスペルスキー Endpoint Security for Businessは、強力なウイルス対策、ランサムウェア対策、データ保護機能を備えた企業向けセキュリティソリューションです。管理機能も充実しており、デバイスごとのセキュリティ状況を一元管理できます。
さらに、リモートでのパッチ管理や脆弱性スキャンを行うことができ、企業全体のセキュリティを効率的に保護します。リモートワーク環境でセキュリティを高めたい組織や、多様なデバイスを業務に使用しており、一元管理したい企業におすすめです。
ZEROウイルスセキュリティ
ZEROウイルスセキュリティは、初心者からエキスパートまで、幅広いユーザーに対応した日本製のウイルス対策ソフトです。
特にシンプルで直感的な操作が特徴で、定期的な更新や複雑な設定を必要とせずに、常に最新のウイルス定義でサーバーやPCを保護します。日本製であることから日本国内のサポートが充実しており、セキュリティソフトの導入が初めてでも安心して使いやすいというメリットがあります。
小規模の導入にも対応しているため、これからセキュリティ向上に注力していきたい中小企業や個人事業主に適したソリューションです。
DeepInstinct
DeepInstinctは、ディープラーニング技術を活用して、未知の脅威やゼロデイ攻撃を事前に検出できる革新的なセキュリティソリューションです。
従来のウイルス対策とは異なり、予測的な保護が可能であり、マルウェアやランサムウェア、フィッシング攻撃に対して高い防御力を発揮します。
既知の脅威だけでなく、まだ発見されていない未知の脅威を予測して未然に防止できるため、高い検知制度が期待できます。AIを活用して一段階上のセキュリティを実現したい組織にとって、導入を検討したいソリューションのひとつです。
Avast Business Antivirus Pro Plus
Avast Business Antivirus Pro Plusは、中小企業向けに設計された総合的なセキュリティソフトです。ウイルス対策、ファイアウォール、メール保護、Webシールド、サンドボックス機能を備えており、企業のネットワークとデバイスを包括的に保護します。
リモートでの管理も可能で、簡単に導入できることから、中小規模の企業にとってコストパフォーマンスの良い選択肢といえるでしょう。
「まずはセキュリティソフトを導入してみたいが、複雑な管理は難しそう」と感じている組織にとって、最初のステップとしておすすめです。
よくある質問
最後に、サーバーへセキュリティソフトを導入する際の、よくある質問にお答えします。
無料のセキュリティソフトと有料版では何が違う?
無料のセキュリティソフトと有料版の大きな違いは、提供される機能やサポートの範囲にあります。
無料版は基本的なウイルス検出やマルウェア対策のみを提供することが多く、ファイアウォール、フィッシング対策、ランサムウェア対策などの高度な機能は含まれていないことも少なくありません。
また、有料版はリアルタイム保護や24時間のサポートを提供しているケースが多く、最新の脅威への迅速な対応も期待できます。企業で利用する場合や重要なデータを扱う場合は、有料版の方が信頼性と機能性が高いです。
クラウドサーバーにもセキュリティソフトは必要?
はい、クラウドサーバーにもセキュリティソフトは必要です。クラウド環境だからといって、セキュリティリスクがなくなるわけではなく、外部からの攻撃や内部からの不正アクセスのリスクにさらされる可能性があります。
ファイアウォールやIDS/IPS、WAFなどのセキュリティ対策を導入することで、クラウド環境でも外部の攻撃からサーバーを守れます。
クラウドプロバイダーが提供するセキュリティサービスと合わせて、自社でセキュリティソフトを導入することで、より強固なセキュリティ体制を構築可能です。
セキュリティソフトのアップデートはどのくらいの頻度で行うべき?
セキュリティソフトのアップデートは、できるだけ頻繁に行うことが推奨されます。可能であれば自動更新設定を有効にしておき、新たな脅威やウイルス定義ファイルの更新が行われたタイミングで、リアルタイムに適用されるようにしておくことが理想的です。
新しいウイルスやマルウェアは日々発生しているため、定期的なアップデートにより最新の脅威に対抗できる状態を維持する必要があります。自動更新を有効にすることで、手動での更新を忘れる心配もなく、常に最適なセキュリティ対策を実現できます。
まとめ
サーバーへのセキュリティソフトの導入は、サイバー攻撃からの防御、情報漏えいの防止、定期的な脆弱性検知と最新の対策へのアップデートといった多くの側面で、サーバーの安全性を維持するために重要です。
導入しない場合には、データ損失や情報漏えい、サービス停止といった深刻なリスクが発生する可能性があります。
セキュリティソフトの選定にあたっては、サーバーの役割や環境に適したソフトを選ぶことが不可欠です。複数種類のセキュリティソフトを適切に組み合わせながら、自社のサーバー環境に最適なセキュリティソフトを導入し、安全な運用体制を確保しましょう。