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Amazon ECSとは?AWSでコンテナを運用するための基礎知識!EKSとの違い、ECRの概要も徹底解説

ECSとは?AWSでコンテナを運用するための基礎知識!EKSとの違い、ECRの概要も徹底解説

AWSでコンテナを運用する際、Amazon ECS(Elastic Container Service) はシンプルかつ強力な選択肢の一つです。

AWSに最適化されたフルマネージドのコンテナオーケストレーションサービスであり、インフラ管理の負担を減らしながら、スケーラブルなアプリケーション運用を実現できます。

さらに、KubernetesベースのAmazon EKS(Elastic Kubernetes Service) との違いや、コンテナイメージを管理する Amazon ECR(Elastic Container Registry) についても詳しく解説します。AWSでのコンテナ運用を検討している方は、ぜひ参考にしてください!

Amazon ECS (Elastic Container Service) とは

Amazon ECS(Elastic Container Service)は、AWSが提供する フルマネージドのコンテナオーケストレーションサービス です。Dockerコンテナを簡単にデプロイ・管理でき、AWSの他のサービス(ALB, CloudWatch, IAMなど)とシームレスに統合できます。

Amazon ECSには、EC2起動タイプ と Fargate起動タイプ の2つの実行方法があります。

  • Amazon EC2起動タイプ:Amazon ECSクラスター内でAmazon EC2インスタンスを管理しながらコンテナを実行
  • Fargate起動タイプ :インフラ管理不要でサーバーレスなコンテナ運用が可能。

また、Amazon ECSはスケーラブルで高可用性な環境を提供し、オートスケーリングやロードバランシングを活用して、柔軟なコンテナ運用が実現できます。AWS環境でシンプルにコンテナを管理したい場合に最適な選択肢です。

そもそもコンテナとは?

AWS コンテナ

コンテナ(Container)とは、アプリケーションとその依存関係をまとめてパッケージ化し、どこでも一貫して動作させることができる軽量な仮想環境のことです。従来の仮想マシン(VM)と異なり、ホストOSのカーネルを共有するため、起動が速く、リソースの使用効率が高いのが特徴です。

コンテナと仮想マシン(VM)の違い

コンテナ(Container) 従来の仮想マシン(VM)
起動時間数秒数分
リソース効率高い低い
OSの管理ホストOSのカーネルを共有ゲストOSごとに独立
移植性高い低い

コンテナとkubernetesの違い

コンテナとkubernetesの違い

コンテナは、アプリケーションとその依存関係をパッケージ化し、環境に依存せず一貫して動作する軽量な仮想化技術です。Dockerなどのコンテナランタイムを使い、プロセスの分離と環境の統一を実現します。

一方、Kubernetesは、複数のコンテナを管理し、デプロイ・スケーリング・監視・負荷分散を自動化するためのコンテナオーケストレーションツールです。コンテナ単体ではスケールや管理が手作業になるため、Kubernetesがそれを補い、効率的な運用を可能にします。

オーケストレーション

Amazon ECS(Elastic Container Service)は、AWS独自のコンテナ管理サービスであり、AWSがフルマネージドで提供しています。オーケストレーションにはAmazon EC2起動タイプ(Amazon EC2上で動作)と Fargate起動タイプ(サーバーレスで動作)があります。

一方、Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)は Kubernetes(K8s) をベースにしたコンテナオーケストレーションサービスです。Amazon EKSはAWSがKubernetesの管理部分をマネージドで提供し、ユーザーはKubernetesの機能をフルに活用できます。

Amazon ECSはシンプルでAWSに最適化されているのに対し、Amazon EKSはKubernetes標準のエコシステムを活用できる点が大きな違いです。

管理のしやすさ

Amazon ECSはAWSのサービスに統合されており、AWSの管理コンソールやCLIから簡単に操作できます。特に Fargate を使用するとサーバー管理が不要になり、コンテナのデプロイが容易になります。

Amazon EKSはKubernetesの知識が必要で、 マニフェスト(YAMLファイル) の管理や、 kubectl を用いた操作が求められます。マネージドであるとはいえ、Kubernetesクラスタの管理(ノードの設定、ネットワーク管理など)はある程度ユーザーの負担になります。

シンプルな管理を求める場合はAmazon ECS、Kubernetesの柔軟性を活かしたい場合はAmazon EKSが向いています。

マルチクラウド対応

Amazon ECSはAWS専用のサービスであり、他のクラウド環境(GCPやAzure)では動作しません。そのため、AWSにロックインされるデメリットがあります。

一方で、AWSサービスとの親和性が高く、シンプルな構成が可能です。Amazon EKSはKubernetesをベースにしているため、GKE(Google Kubernetes Engine) や AKS(Azure Kubernetes Service) といった他のKubernetes環境に移行しやすいという特徴があります。マルチクラウド戦略を取る企業にとっては、Amazon EKSの方が有利になることが多いです。ただし、Amazon EKSもAWS特有の設定があるため、完全にクラウド間の移植が容易なわけではありません。

スケーリングの難易度

Amazon ECSは AWS Auto Scaling を利用しやすく、 Fargate ではコンテナのオートスケーリングが容易です。特に、AWSのマネージドサービスを活用すると、負荷に応じた自動スケーリングの設定が簡単にできます。

Amazon EKSは KubernetesのHorizontal Pod Autoscaler(HPA) や Cluster Autoscaler を利用できますが、適切な設定が必要です。Kubernetesのスケジューリングルールを理解していないと、スムーズなスケーリングが難しくなる場合があります。

基本的に、スケーリングをシンプルに行いたい場合はAmazon ECS、柔軟なスケーリングポリシーを設定したい場合はAmazon EKSが適しています。

AWSサービスとの統合

Amazon ECSはAWSサービスとネイティブに統合されており、CloudWatch、IAM、ALB、EFS、RDS などと簡単に連携できます。特に、AWSの サービスディスカバリ や シークレット管理(Secrets Manager, Parameter Store)をスムーズに利用できます。

Amazon EKSもAWSサービスと連携できますが、Kubernetesの標準機能を活用するため、追加の設定が必要になることが多いです。例えば、IAM認証の統合(IAM Roles for Service Accounts) や ALB Ingress Controller などの設定が必要になります。

AWSサービスとの統合を重視する場合はAmazon ECSが簡単で、Kubernetesの柔軟性を活かしたい場合はAmazon EKSが適しています。

Amazon ECS の主要なコンポーネント

クラスター(Cluster)

Amazon ECSのクラスターは、コンテナを実行するための論理的なグループです。EC2起動タイプではEC2インスタンスが含まれ、Fargate起動タイプではAWSが管理するリソース上で動作します。クラスター内でタスクやサービスが動作し、リソースを共有できます。複数のクラスターを作成し、用途ごとに分けて管理することも可能です。

タスク定義(Task Definition)

タスク定義は、Amazon ECSで実行するコンテナの仕様を定義するテンプレートです。使用するDockerイメージ、CPU・メモリのリソース割り当て、環境変数、ネットワーク設定などを記述します。タスク定義を基にタスクが作成され、Amazon ECSのクラスター上で実行されます。更新時には新しいリビジョンが作成されます。

タスク(Task)

タスクは、タスク定義に基づいて作成されるコンテナの実行単位です。単独で起動することも、サービスの一部として管理されることも可能です。EC2起動タイプではEC2インスタンス上で実行され、Fargate起動タイプではAWSが管理する基盤上で動作します。タスクのスケーリングや管理は、Amazon ECSのサービス機能で制御できます。

サービス(Service)

サービスは、タスクのデプロイとスケーリングを管理する仕組みです。指定した数のタスクが常に実行されるように維持し、障害発生時の自動復旧やロードバランサーとの連携を行います。Amazon ECSのオートスケーリングを活用することで、負荷に応じたタスク数の増減を自動化できます。長期間実行するアプリケーションに適しています。

コンテナエージェント(ECS Agent)

ECSエージェントは、Amazon ECSのAmazon EC2起動タイプにおいてコンテナインスタンス上で動作するソフトウェアです。Amazon ECSのコントロールプレーンと通信し、タスクの起動や状態管理、ログの収集を行います。Amazon ECSの基本機能として提供され、特別な設定なしに利用できます。Fargate起動タイプではAWSが管理するため不要です。

スケジューラ(Scheduler)

Amazon ECSのスケジューラは、クラスター内のリソース状況に基づいてタスクを最適なインスタンスに配置する仕組みです。Amazon ECSのサービスを利用すると、スケジューラが自動的にタスクをスケール管理し、負荷分散を行います。単発のバッチ処理などでは、スケジューラを利用してスケジュール実行することも可能です。

Amazon ECRとは?

Amazon Elastic Container Registry(ECR) は、AWSが提供する コンテナイメージの管理・保存サービス です。

Docker HubのAWS版のような位置づけで、Amazon ECS・Amazon EKS・Lambda などと連携してコンテナイメージを管理できます。

Amazon ECRの主な特徴

  1. フルマネージド
    Amazon ECRはAWSが管理するため、サーバーの運用やスケーリングを意識せずに利用できます。イメージの保存、取得、ライフサイクル管理を簡単に行えます。
  2. セキュリティとアクセス管理
    AWS IAM(Identity and Access Management)と統合されており、細かいアクセス制御(ユーザーやサービスごとの権限管理)が可能です。また、イメージのスキャン機能があり、セキュリティ上の脆弱性を自動チェックできます。
  3. 高可用性と耐久性
    Amazon ECRはAWSのインフラ上で動作するため、リージョン内で冗長化されており、安定したイメージ管理が可能です。
  4. パフォーマンス最適化
    Amazon CloudFrontを活用したキャッシュ機能により、コンテナイメージの取得が高速化されます。特に大規模なデプロイ時に有効です。
  5. ライフサイクルポリシー
    古いイメージを自動削除するルールを設定でき、ストレージコストの最適化が可能です。

まとめ

今回の記事では、Amazon ECSとAmazon ECRの特徴や概要を解説しました。Amazon ECRはAWS上でコンテナを起動させるために必要なコンテナイメージを保存しておくためのリポジトリです。そして、Amazon ECSは実際にコンテナを起動させるためのAWSサービスです。

次の記事では、terraformを使ってAmazon ECSとAmazon ECRを作成し、コンテナを起動させるための手順を解説します。現代のIT分野ではコンテナの理解が欠かせないものとなっています。コンテナのインフラ管理担当者は、ぜひあわせてご覧ください。

現在クラウドエンジニアとして勤務。AWS(SAP、DOP)とAzure(AZ-305)の資格を保有しており、ネットワークやセキュリティに関する業務を主に行っています。

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