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AWSセキュリティ診断で脆弱性を徹底的に見つけ出す!ペネトレーションテストの手順も解説

AWSセキュリティ診断で脆弱性を徹底的に見つけ出す!ペネトレーションテストの手順も解説

AWS環境のセキュリティは、企業にとって欠かせない要素です。しかし、設定ミスや最新の脅威に対応できていないことで、思わぬ脆弱性が生まれる可能性があります。

本記事では、AWSセキュリティ診断の中でも特に重要なペネトレーションテストに焦点を当て、その手順や具体的な手法を解説します。ハッカーの視点でシステムを攻撃し、潜在的な脆弱性を洗い出すことで、より安全なAWS環境を実現するためのヒントを提供します。

AWSセキュリティ診断とは

AWSセキュリティ診断とは

AWSセキュリティ診断とは、Amazon Web Services(AWS)上で構築されたシステムやアプリケーションに潜むセキュリティ上の脆弱性を特定し、そのリスクを評価するプロセスです。

AWS環境における「健康診断」のようなもので、定期的に実施することで、システムの安全性を高めることができます。

AWSセキュリティ診断はユーザー主導で行う

クラウド環境のセキュリティは、サービス提供者であるAWSだけでなく、サービスを利用するユーザーにも大きな責任が求められます。

AWSセキュリティ診断は、単にAWS側のシステムに問題がないかを確認するだけでなく、ユーザーが構築したシステム全体が安全であることを保証するためのプロセスです。

AWSは一般的なセキュリティ対策を提供していますが、ユーザーのシステムはそれぞれ異なるため、カスタマイズされた対策が必要となります。診断の頻度や診断項目をそれぞれで検討し、ユーザー自身が診断を行うことで、自社のシステムに最適な対策を講じることができます。

なぜAWSセキュリティ診断が重要なのか

AWSセキュリティ診断は、クラウド環境の安全性を確保するために重要です。診断により、脆弱性や設定ミスが早期に発見され、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクを軽減できます。さらに、コンプライアンス要件の遵守状況を確認し、システムの可用性と信頼性を向上させます。定期的な診断を行うことで、最新の脅威に対する防御策を強化し、ビジネスの継続性を確保することが可能です。

AWSセキュリティ診断をするメリット

AWSセキュリティ診断をするメリット

AWSセキュリティ診断を行うことで、様々なメリットが得られます。以下に、セキュリティ診断の主な4つのメリットについて解説します。

セキュリティリスクの早期発見が可能

AWSセキュリティ診断を実施することで、システムに潜むセキュリティリスクの早期発見が可能です。システムに存在する脆弱性を特定し、悪意のある攻撃からシステムを守るための対策を講じることができます。

多くのセキュリティ事故は、セキュリティ設定の誤りや、不適切なアクセス権限の設定などが原因で怒っています。そのため、早期にリスクを発見し、対策を講じることで、情報漏洩やシステムダウンなどの大きな被害を未然に防ぐことができます。

コンプライアンスへの対応が可能

多くの業界では、情報セキュリティに関するさまざまな法規制や業界ガイドラインが定められています。AWSセキュリティ診断を実施することで、これらの規制やガイドラインへの準拠状況を評価し、コンプライアンスを確保することができます。

AWS は、下記コンプライアンスプログラムを含む143のセキュリティ標準とコンプライアンス認証をサポートしています。AWSセキュリティ診断により、これらへのコンプライアンス準拠状況も確認が可能です。

  • FISC:日本の金融業界情報システムセンター
  • ISMAP:日本のパブリッククラウドサービスのセキュリティを評価する政府プログラム
  • NISC:日本の内閣サイバーセキュリティセンター
  • FinTech:リファレンスアーキテクチャ日本版
  • ISO 22301:セキュリティと耐障害性
  • ISO 27001:セキュリティ管理統制
  • SOC 1:監査統制報告書
  • SOC 2:セキュリティ、可用性、機密性レポート

さらに、企業独自のセキュリティポリシーや内部規定への準拠状況を評価し、改善することもできます。

システムの信頼性が向上する

セキュリティ診断によって脆弱性が発見され、適切な対策を行うことで、システムの信頼性を高めることができます。また、セキュリティインシデント発生時の被害を最小限に抑えることにもつながり、事業継続性にも貢献します。

反対に、発見された脆弱性を放置すると、サイバー攻撃の標的となり、情報漏洩やシステムダウンなどの重大な事態を引き起こす可能性があります。セキュリティ診断によって脆弱性を早期発見し、適切なパッチ適用や設定変更などの対策を行うことで、これらのリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

インシデント対応能力が向上する

セキュリティ診断は、単に脆弱性を発見するだけでなく、インシデント対応能力の向上にも大きく貢献します。

侵入テストなどを行うことで、攻撃者がシステムに侵入する際の経路特定が可能です。事前に攻撃経路を把握することで、インシデント発生時に、より効果的な対策を講じることができます。事前に手順を策定しておくことで、インシデント発生時に慌てず、迅速かつ適切な対応を行うことができるでしょう。

セキュリティ診断の結果に基づき、必要なセキュリティツールの導入や既存のツールの設定の見直しが可能です。また、診断結果をプロジェクト内で共有し、定期的に対策の訓練を行うことで、チーム全体の対応能力を高めることができます。

AWSセキュリティ診断で診断するべき項目

AWSセキュリティ診断で診断するべき項目

AWSセキュリティ診断は、クラウド環境を安全に保つために必要なプロセスであり、特定のセキュリティ要件を満たしているか確認することが不可欠です。ここからは、セキュリティ診断で診断するべき項目を解説します。

適切なアクセス管理ができているか

セキュリティ診断で、まず確認するべき項目は、ユーザーやリソースに関して適切にアクセス管理ができているかについてです。

  • 各リソースへのアクセスに必要な最小限の権限のみを付与する設定になっているか
  • 不要になったロールは削除されているか
  • パスワードポリシーに沿ったパスワードを設定しているか
  • 長期間変更されていないパスワードはないか
  • 全てのユーザーにMFA(多要素認証)が適用されているか

これらを診断し、不正アクセスなどの対策を行いましょう。

OSやアプリケーションに脆弱性がないか

アカウントだけでなく、サーバーやアプリケーションの脆弱性がないかも重要な診断項目です。OS・アプリケーションの脆弱性に関しては、下記を重点的にチェックしましょう。

  • 適切なOSパッチが適用されているか
  • インスタンスには必要最小限のパブリックIPアドレスのみを割り当てしているか
  • サーバーに適切なIAMロールが付与されているか
  • Lambda関数のコードのセキュリティは問題ないか
  • コンテナイメージのスキャンや脆弱性対策が行われているか
  • アプリケーションのコードに脆弱性がないか

適切なトラフィック制御ができているか

SQLインジェクションやマルウェア、DDoS攻撃など、サイバー攻撃の多くは、ネットワークの脆弱性を突いたものです。そのため、適切なトラフィック制御ができているかを診断することが重要です。

ネットワークに関するセキュリティ診断では、以下の項目をチェックしましょう。

  • セキュリティグループは必要なポートのみ解放しているか
  • ネットワークACLのインバウンドルール・アウトバウンドルールは適切か
  • VPN接続の暗号化、認証方法、アクセス制御ができているか
  • WAF(Web Application Firewall)のルールは適切に設定されているか
  • AWS ShieldなどでDDoS対策ができているか

データの暗号化ができているか

通信するデータ、AWS上で保存するデータは暗号化することがベストプラクティスとされています。セキュリティ診断では、データの暗号化ができているかもチェックを行いましょう。

  • S3やRDSに上げるデータは暗号化できているか
  • S3のライフサイクルポリシーは適切か
  • KMS(Key Management Service)で暗号化キーを安全に管理できているか
  • データの保存期間は適切か
  • バックアップデータの暗号化もできているか
  • HTTPS通信に必要なSSL/TLS証明書の管理方法は適切か

コンプライアンス要件を満たしているか

AWSセキュリティ診断において、コンプライアンス要件を満たしているかどうかのチェックは、非常に重要な要素です。

企業が属する業界や取り扱うデータの種類によって、遵守すべき法規制や業界標準が異なるため注意が必要です。

ログ保存期間やパスワード要件などは、特定の業界ではAWSが推奨するもので設定してもNGという場合があります。企業や団体のコンプライアンス要件を確認し、個別に診断する必要があります。

セキュリティ診断が可能なAWSサービス

セキュリティ診断が可能なAWSサービス

AWSでは、セキュリティ診断が可能なサービスを提供しています。これにより、脆弱性の検出や脅威の監視が効率的に行えます。ここでは、2つのサービスを紹介します。

Amazon Inspector

Amazon Inspectorは、AWS環境のセキュリティ評価と脆弱性管理を提供するサービスです。主にEC2インスタンスやコンテナに対して自動化されたセキュリティスキャンを実施し、OSやアプリケーションの脆弱性を検出します。

設定ミスやセキュリティのベストプラクティスに基づく評価も行い、脆弱性のリストと改善推奨事項をレポートします。これにより、潜在的なセキュリティリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。

Amazon GuardDuty

Amazon GuardDutyは、AWSアカウントやリソースのセキュリティを監視する脅威検出サービスです。ログデータやネットワークトラフィックを分析し、異常な行動や潜在的な脅威をリアルタイムで検出します。

機械学習や脅威インテリジェンスを活用して、攻撃の兆候や不正アクセスの試みを迅速に特定し、警告を発します。これにより、セキュリティインシデントへの迅速な対応が可能になり、クラウド環境の安全性を維持できます。

AWSが提供しているセキュリティ診断テスト

AWSは、クラウド環境におけるセキュリティを重視し、多様なセキュリティ診断テストを提供しています。ここからは、AWSが提供する代表的なセキュリティ診断テストについて、その特徴を詳しく解説します。

Red/Blue/Purple Team テスト

Red/Blue/Purple Team テストは、サイバー攻撃のシミュレーションを通じて、組織のセキュリティ対策の有効性を評価する手法です。

  • Red Team:攻撃者役
  • Blue Team :防御者役
  • Purple Team :攻撃者・防御者の両者を統合

より現実的なシナリオを想定したテストを行います。AWSでは、このテスト手法を基に、お客様の環境に合わせた高度なセキュリティ評価を提供しています。

ネットワーク負荷テスト

ネットワーク負荷テストは、システムが最大限の負荷に耐えられるかどうかを検証するテストです。AWSでは、様々なネットワーク構成やトラフィックパターンをシミュレーションすることで、システムの耐障害性やスケーラビリティを評価します。

ペネトレーションテスト(侵入テスト)

AWSペネトレーションテストとは、AWS上で構築されたシステムに対して、実際の攻撃者と同じ手法を用いて侵入を試み、潜在的なセキュリティ脆弱性を発見するプロセスです。

DDoS シミュレーションテスト

DDoS攻撃は、大量のトラフィックでシステムをダウンさせる攻撃です。DDoSシミュレーションテストは、システムがDDoS攻撃に耐えられるかどうかを検証するテストです。AWSでは、様々な種類のDDoS攻撃をシミュレーションすることで、システムの耐性を評価します。

フィッシングシミュレーション

フィッシング攻撃は、偽のウェブサイトやメールで個人情報やパスワードを盗み出す攻撃です。フィッシングシミュレーションは、従業員のセキュリティ意識を高め、フィッシング攻撃への対応能力を向上させるための訓練です。AWSでは、現実的なフィッシングメールを従業員に送信し、その反応を分析します。

マルウェアテスト

マルウェアテストは、システムにマルウェアが侵入した場合の被害を最小限に抑えるためのテストです。AWSでは、様々な種類のマルウェアを仮想環境で実行し、システムへの影響を評価します。

AWSセキュリティ診断の流れ

AWSセキュリティ診断の流れ

AWSのセキュリティ診断は、クラウド環境の安全性を高めるための重要なプロセスであり、評価から改善までのステップを通じて行われます。

評価テンプレートの作成・評価リクエスト送信

最初のステップで、評価テンプレートを作成し、どのような観点でセキュリティ評価を行うかを具体的に定義します。

評価テンプレートでは、以下の項目を定義しましょう。

  • 評価対象:どのAWSサービス、リソースを評価するかを特定(EC2インスタンス、S3バケット、RDSなど)
  • 評価項目:脆弱性スキャン、コンプライアンスチェック、設定ミスチェックなど、評価したい項目をリストアップ
  • 評価基準:各評価項目に対する合格基準を設定

評価テンプレート作成後、ペネトレーションテスト(侵入テスト)やDDoS シミュレーションテストなど、実施したい診断を決定し、診断リクエストを送信します。

評価を実行

次に、定義した評価テンプレートや基準に基づいて、AWS 環境全体のセキュリティ評価を実施します。

このステップでは、AWS Security Hub や Amazon GuardDuty などのサービスを利用して、潜在的な脆弱性やセキュリティリスクを自動的にスキャンし、検出します。また、サードパーティー製の診断ツールを使用して、評価を実行する場合もあります。

評価は定期的に実行することで、常に最新のリスク情報を把握することが可能です。

評価結果の分析

評価が完了したら、次に評価結果の詳細を分析します。この段階では、検出された脆弱性、設定ミス、ポリシー不備などがリストアップされます。 結果には、重大度の高い問題や対応が必要な項目が含まれているため、優先順位を設定し、リスクの高い部分から対応していきます。

分析結果をもとに修正し再評価

分析をもとに、実際にセキュリティ対策を講じます。例えば、アクセス権限の見直し、データの暗号化、セキュリティパッチの適用などを行います。

そして、修正を加えた後、再度評価を実施し、適切にこのプロセスを繰り返すことで、AWS 環境のセキュリティを継続的に改善し、見通しからの防御を強化します。

まとめ

AWSセキュリティ診断は、クラウド環境におけるセキュリティリスクを早期に発見し、対策を講じるための重要な取り組みです。本記事では、AWSセキュリティ診断の目的、種類、メリット、そして具体的な実施方法について解説しました。

AWS環境は高度なセキュリティ機能を提供しますが、誤った設定や最新の脅威に対応できていない場合、セキュリティリスクにさらされる可能性があります。定期的なセキュリティ診断を通じて、自社のAWS環境を常に安全に保つことが不可欠です。

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