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【AWS認定セキュリティ資格】資格の概要と学習法を徹底解説

【AWS認定セキュリティ資格】資格の概要と学習法を徹底解説

AWS認定セキュリティ資格は、AWS環境のセキュリティに関するプロフェッショナルとしての能力を証明する資格です。

本記事では、この資格の概要、取得するメリット、そして効率的な学習方法について詳しく解説します。AWS上で安全なシステムを構築・運用したいエンジニアや、セキュリティの専門知識を深めたい方は必見です。具体的な学習ロードマップやおすすめの教材もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

AWS セキュリティ資格とは

AWS セキュリティ資格とは

AWS認定資格には、設計構築にかかわる資格、開発、AIや機械学習、ネットワークに関する資格など分野ごとにさまざまなものがあります。現在は、AWS認定資格として、合計12個の資格が用意されていますが、その中でセキュリティに特化した資格がAWS Certified Security – Specialty (SCS-C02) 試験です。

まずは、AWS認定セキュリティ資格「SCS-C02」の資格概要や試験の特徴を解説します。

AWS Certified Security – Specialtyの概要 

AWS Certified Security – Specialty(以下、AWS認定セキュリティ資格)は、クラウド上でのセキュリティにおける深い理解を証明するために設けられた試験です。AWS上で安全な環境を構築・運用するために必要な、広範なセキュリティ知識とスキルが問われます。

この資格は、データ保護、暗号化、インフラストラクチャのセキュリティ、インシデント対応など、高度なセキュリティ課題に対する知識を求められます。

専門分野のため、セキュリティの設計と実装の分野で3〜5年の経験を積んだエンジニア、もしくはAWS設計構築のセキュリティ保護の分野で、2年以上の実務経験を積んだエンジニアが受験対象者とされています。

AWS Certified Security – Specialtyの問題数と合格ライン 

AWS認定セキュリティ資格の試験は、全部で65問です。試験時間は170分と長く、合計1,000点満点のうち750点以上で合格です。

試験自体は65問出題されますが、スコアに影響するのはそのうちの50問です。受験時は、どの問題がスコアに影響があるか不明ですが、残る15問はAWSが今後の資格試験で採用できる問題か評価するための情報収集に使われています。

基本的には、4つの選択肢から1つの回答を選ぶ択一問題ですが、中には複数選択する問題も含まれますので、問題文をしっかりと読んで回答しましょう。

AWS Certified Security – Specialtyの受験料

AWS認定セキュリティ資格の受験料は、300ドル(日本円で約40,000円)です。この試験は高額ですが、クラウドセキュリティ分野での専門的なスキルを証明する重要な資格であり、キャリアの向上に繋がる投資となります。 

  • 他のAWS認定資格に参加する
  • AWSのキャンペーンを適用する

上記の方法で、AWS認定資格の割引バウチャーを利用可能です。例えば、他のAWS認定資格を取得すると有効期限3年の半額バウチャーを受け取れます。

※2024年9月現在の情報です。

 受験料は毎年少なくとも1回、4月に為替レートの更新に伴い変更されます。

AWS認定資格受験方法

①AWS 認定資格の申込方法は、AWS 認定の公式サイトから行います。

②AWS認定アカウントにサインインをします。

③試験の予約 を選択し、受験する資格を選択します。

④「テストセンターに行って受験」もしくは「オンライン受験」のどちらかを選択します。

⑤受験する言語を選択します。以下の言語から選択可能です。

  • 日本語
  • 英語
  • 韓国語
  • 中国語
  • フランス語
  • イタリア語
  • ポルトガル語-ブラジル語
  • スペイン語

⑥受験日程を決定します。

⑦クレジットカード情報登録など支払いが完了すれば申し込み完了です。

⑧テストセンター、オンラインの選択した受験方法で受験を行います。

試験分野

試験分野

AWS認定セキュリティ資格は、大きく6つの分野に分かれており、それぞれの出題率は以下の通りです。

  1. 脅威検出とインシデント対応(14%)
  2. セキュリティロギングとモニタリング(18%)
  3. インフラストラクチャのセキュリティ(20%)
  4. Identity and Access Management(16%)
  5. データ保護(14%)
  6. 管理とセキュリティガバナンス(14%)

各分野でどのような知識が問われるのかを分野ごとに解説します。

1. 脅威検出とインシデント対応

AWSセキュリティサービスであるGuardDuty、Macie、Inspectorなどの脅威検出サービスの詳細な機能と設定方法が問われます。

また、インシデント発生時の対応手順、調査方法、復旧計画に関する問題やCloudWatch Logs、Kinesis Data Firehoseを用いたログ分析、異常検知に関するスキルの学習も必須です。セキュリティアラート対応として、AWS Security Hubからのアラートの理解と対応方法について問われる問題もあります。

2. セキュリティロギングとモニタリング

セキュリティに関するログの収集と分析を行うために、CloudWatch Logs, VPC Flow Logs, CloudTrailなどのログ収集方法と、分析ツール(Athena、QuickSight)を用いたログ分析のスキルが問われる問題が出題されます。SIEMツールとの連携によるセキュリティ監視を行う方法に関しても学習範囲です。

3. インフラストラクチャのセキュリティ

VPC、セキュリティグループ、NACLの設定、WAFによるWebアプリケーションファイアウォールなど、ネットワークセキュリティに関する学習は必須です。

  • Lambda関数のセキュリティ
  • ECS、EKSにおけるコンテナイメージのスキャン
  • コンテナの脆弱性管理
  • データセンターの物理的なセキュリティ対策

上記項目についてもインフラのセキュリティ対策としておさえておく必要があります。

4. アイデンティティ管理とアクセス管理

IAMユーザー、グループ、ロールの作成と管理、ポリシーの作成などIAMに関する基礎知識やMFAの設定、SSOの導入、SAML、OAuthなどのフェデレーションの活用など応用的な部分まで問われます。

5. データ保護

AWS環境のセキュリティ対策をする上で、データ保護に関するスキルは必須です。

  • KMSを用いたデータの暗号化、キー管理
  • データの保存期間、削除、バックアップなどデータのライフサイクル管理
  • データ漏洩発生時の対応、事後調査

上記のようなAWS上にアップロードするデータに関するセキュリティ対策の知識は押さえておきましょう。

6. 管理とセキュリティガバナンス

AWS環境におけるセキュリティガバナンスは、全体のセキュリティポリシーを管理・監視し、コンプライアンス要件を満たすことを目的としています。AWS Organizationsを使用して複数のアカウントを一元管理し、Security Hubを活用してポリシーの自動評価やコンプライアンス監査を行うことが求められます。

さらに、セキュリティガバナンスでは、リスク管理の手法やベストプラクティスに基づいた適切な管理フレームワークの導入が重要です。

AWS認定セキュリティ資格を取得するメリット

AWS認定セキュリティ資格を取得するメリット

AWS認定セキュリティ資格の取得は、キャリアアップにもつながるため、セキュリティプロフェッショナルとしての地位を確立したい人にとって非常に有益です。ここからは、資格取得の具体的なメリットについて詳しく解説します。

セキュリティ対策の強化 

AWS認定セキュリティ資格を取得することで、AWS環境における最先端のセキュリティ対策を理解し、実践できるようになります。

例えば、AWS IAM を活用したアカウント管理やアクセス権限の最適化、AWS Shield やWAFを使用したDDoS攻撃の防御など、様々なセキュリティ技術を駆使してインフラを強固に守ることが可能です。

セキュリティのベストプラクティスに基づいたリソースの管理や、自動化されたインシデント対応体制の構築も行えるようになるため、セキュリティリスクを最小限に抑え、常に最新の脅威に対応することができます。

コンプライアンスへの対応 

AWS認定セキュリティ資格は、多くの規制に準拠しているため、資格を取得することで以下のようなコンプライアンス要件に対応するための知識が身につきます。

  • SOC
  • FISMA、DIACAP、FedRAMP
  • PCI DSS
  • ISO

これらの法令や規制に基づくデータ保護基準に沿ったAWSの設定や運用を学ぶことができます。

また、AWS ArtifactやAWS Config、Security Hubなどのツールを使用して、コンプライアンスの監査を自動化し、企業全体でポリシーの一貫性を保つことができるのも大きな利点です。コンプライアンスを維持することで、組織は法的リスクを回避し、業務の信頼性を向上させることが可能になります。

リスク管理の向上 

AWSが推奨するセキュリティベストプラクティスを体系的に学ぶことで、一般的なセキュリティミスを防止し、セキュリティレベルを底上げできます。

また、クラウドセキュリティにおける最新の脅威や攻撃手法、脆弱性に関する知識を習得し、組織のセキュリティに対する意識を高めることができます。

そして、資格取得者が中心となり、組織のセキュリティ体制を構築・運用し、継続的な改善を推進することができるため、組織としてもセキュリティ強化の意識向上が可能になるでしょう。

キャリアアップにつながる 

AWS認定セキュリティ資格は、個人のキャリアに大きなプラスとなります。この資格を取得することで、AWSを利用する企業やクラウドサービスのセキュリティ分野での専門性が証明され、求職市場での競争力が高まります。

特に、セキュリティエンジニアやクラウドセキュリティコンサルタントといった職種でのキャリアアップに繋がる可能性が高く、給与アップや責任あるポジションへの昇進が期待できます。

AWS Certified Security – Specialty(SCS)のおすすめ勉強方法

AWS Certified Security – Specialty(SCS)のおすすめ勉強方法

AWS認定セキュリティ試験は高度な技術と実務経験が求められるため、効率的かつ継続的な学習が必要です。ここからは、試験取得のためのおすすめの勉強方法を紹介します。これらの学習方法を組み合わせて準備すれば、試験合格に近づくでしょう。

試験範囲の全体を学習する

まずは、試験範囲全体を把握し、広範な内容を系統立てて学習することが重要です。AWS Certified Security – Specialty の試験範囲は非常に広く、多岐にわたります。これらをしっかりと理解するためには、参考書や動画教材を使って、体系的に知識を深めていくことが効果的です。 

参考書で学習する 

参考書で学習する場合は、試験範囲のサービスが網羅されており、練習問題もついているため以下の参考書がおすすめです。

「AWS認定 セキュリティ-専門知識 改訂2版 要点整理から攻略する」

章ごとに学習するべき内容がまとめられており、どの章から読み進めても学習できる点がメリットです。

動画教材で学習する 

参考書ではなく、動画教材で学習したいという方はUdemyの以下の教材がおすすめです。

  • AWS認定Specialty – Security(SCS-C02)試験 対策トレーニングコース
  • 【SCS-C02対応】AWS認定 セキュリティ 専門知識 模擬問題集+詳解

解説動画は、画像や図を使ってわかりやすくまとめられているため、文章だけでは理解できない部分も理解が進む可能性が高い点がメリットです。

理解が浅いサービスはBlackBeltで学習する

参考書や動画教材を使って、資格の学習を進めていく中で、特定のAWSサービスに対する理解が浅いと感じることもあるでしょう。その際には、AWSが提供しているBlackBeltセミナーを活用することをおすすめします。

BlackBeltは、各サービスや機能に関する詳細な技術情報を提供するセミナー形式の資料や動画です。AWS専門家が解説しており、各サービスの深い理解を得られます。

例えば、IAMや、AWS KMS、GuardDutyなど、セキュリティ関連のサービスに特化したセミナーを視聴することで、試験範囲の技術的な内容を強化できます。また、これらの資料は無料で提供されているため、手軽に活用できるのも魅力です。

模擬問題を解いて試験形式に慣れる 

最後に、模擬問題を解くことは、試験合格に向けて非常に効果的な準備方法です。AWS認定セキュリティ資格では、実務に近いシナリオベースの問題が出題されるため、問題形式に慣れておくことが大切です。

まず、公式の模擬問題集やオンラインで提供されている模擬試験を利用して、試験の形式や出題傾向を把握しましょう。模擬問題を解くことで、自分の弱点や理解が不足している部分を発見できるため、試験本番までに重点的に学習を進められます。また、時間配分の感覚も掴むことができ、実際の試験で焦ることなく対応できるようになります。

AWS認定資格以外のおすすめセキュリティ資格 

AWS認定資格以外のおすすめセキュリティ資格

AWS以外にも、多様なセキュリティ資格があり、それぞれ異なる分野でのスキルを証明できます。ここでは特に役立つ資格を紹介します。

情報セキュリティマネジメント試験 

情報セキュリティマネジメント試験は、日本の国家資格で、企業内の情報セキュリティ対策に関する知識を問う試験です。

セキュリティリスクの管理や、セキュリティポリシーの策定、運用の知識が問われます。セキュリティ分野における基礎知識を持つことを証明するため、IT部門や管理職向けにも有益な資格です。特に、日本国内でのセキュリティ対策を学びたい人に向いています。

情報処理安全確保支援士 

情報処理安全確保支援士は、日本国内の情報セキュリティに特化した高度な国家資格です。試験範囲は、セキュリティ技術、脅威分析、リスク管理、インシデント対応など広範囲にわたります。

企業のセキュリティ担当者としてのスキルを証明する資格であり、資格保有者には継続的な研修が義務付けられています。ITセキュリティの専門家としてキャリアアップを目指す人に最適です。

Azure Security Engineer Associate

Azure Security Engineer Associateは、Microsoft Azureのクラウド環境でセキュリティを管理する技術者向けの資格です。Azure上でのアクセス管理、データ保護、セキュリティ監視、インシデント対応に関する知識と技術が問われます。Azure環境を使用している企業や、マルチクラウドセキュリティを学びたい人にとって、非常に有用な資格です。また、Azure関連の他の資格と組み合わせることで、さらに幅広いクラウドセキュリティ知識を得られます。

まとめ

AWS認定セキュリティ資格は、AWSクラウドのセキュリティを深く理解し、実践的なスキルを身につけるための重要なステップです。本記事では、資格の概要から学習方法まで、幅広く解説しました。今回紹介した参考書や教材を使って学習し、資格取得を目指しましょう。

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必見!システム運用担当者が取っておきたい資格は?

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