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AWSのコスト削減を行うための具体例13選!具体例や実践する際の流れも解説

この記事は約12分で読めます。

AWSを活用する際、リソースの効率的な運用とコスト最適化は不可欠です。本記事では、AWSでコスト削減を行うための具体的な方法を解説し、EC2インスタンスやストレージの最適化、オートスケーリング、スポットインスタンスの活用など、さまざまな手法を紹介します。また、AWSの推奨事項やツールを活用することで、無駄なコストを削減し、運用効率を向上させるポイントにも触れています。

AWSが推奨するコストを削減する方法9選

AWSのコスト削減9選

AWSでは、アーキテクチャへの影響を最小限に抑えつつ、迅速にコストを削減するためのベストプラクティスな手法を紹介しています。ここでは、それぞれの方法について簡潔にわかりやすく解説します。
参考:AWS公式ブログ コスト削減の9つの手法

1.未使用のEC2やRDSは停止・削除する

AWS環境では、EC2インスタンスやRDSが未使用のまま稼働していることが、コストの無駄遣いを招きます。未使用のリソースは停止、もしくは削除することで、無駄なコストを削減できます。

EC2インスタンスやRDSインスタンスには、自動的に停止・開始をスケジューリングする機能があります。AWS LambdaやCloudWatchを利用して、業務時間外や週末に自動的にリソースを停止するスケジューリングを設定することで、稼働時間を減らし、コスト削減に繋がります。

定期的なチェックと自動化を組み合わせることで、無駄なコストを削減しつつ効率的な運用が可能です。

2.未使用のRedshift クラスターのコストを削減

Amazon Redshiftは大規模なデータ分析を支えるデータウェアハウスサービスです。AWSマネージドコンソールから簡単にクラスターの一時停止・再開を行うことができ、自動化されたスケジュール設定も可能です。これにより、使用していない時間帯のリソース使用料を削減できます。

さらに、クラスターのサイズを調整することもコスト削減の手段です。利用量が変動する場合、オンデマンドでクラスターのサイズを変更することで、必要以上に大きなリソースを保持することなく、コストを最適化することが可能です。

3.S3はIntelligent-Tieringのストレージクラスを利用する

AWSでは、Amazon S3のIntelligent-Tieringと呼ばれるストレージクラスを活用することを推奨しています。Intelligent-Tieringは、アクセス頻度に基づいて自動的に最適なコストを適用するストレージクラスです。
データのアクセスパターンが予測しにくい場合や、頻繁にアクセスされるかどうかが不明な場合に利用することで、コスト削減を実現できます。

また、ライフサイクルポリシーを活用して、一定期間アクセスがないデータを、よりコストが低いストレージクラス(GlacierやDeep Archive)に自動的に移行する設定を行うことで、長期間保存する必要のあるデータに対するコストをさらに最適化可能です。

さらに、AWS環境でログデータを扱う場合、VPC Flowlogsの出力先にS3を選ぶことでコスト削減に繋がります。VPC Flowlogsの出力先には以下の3つのオプションがあります。

  1. CloudWatch Logs
  2. S3
  3. Kinesis Firehose

Kinesis FirehoseやCloudWatch Logsは高度な分析や監視が必要な場合に有効ですが、単にデータを保存するだけの場合、S3の方がはるかに低コストです。

4.DynamoDBはオンデマンドのキャパシティーモードを利用する

Amazon DynamoDBは、高スループットかつスケーラブルなNoSQLデータベースです。アクセスパターンに応じて、以下の2つのモードを選択できます。

  • プロビジョニングモード:アクセス数が一定の環境で有効
  • オンデマンドキャパシティーモード:トラフィックのピーク時と通常時の差が大きい場合に有効

オンデマンドキャパシティーモードは、リクエストの増減に応じて自動的にスケールし、使用されたリクエスト数に基づいて課金されます。そのため、アクセスが集中する短期間に急激にリクエストが増加するようなワークロードでは、無駄なリソースを予約せずに済み、コストが最適化されます。

通常時のトラフィックが少ない場合や予測が難しいワークロードでは、オンデマンドモードを選ぶことで大幅なコスト削減が可能です。

5.十分に活用されていないEC2インスタンスのコスト削減

Amazon EC2インスタンスのサイズを見直すことでコスト削減になるケースもあります。負荷がそれほど高くないシステムで、大きなインスタンスを利用している場合、小さなインスタンスに変更(ダウンサイジング)することでコスト削減が可能です。

たとえば、t3.largeインスタンスを利用しているが、リソース利用率が低い場合、t3.mediumやt3.smallに変更することで、パフォーマンスを維持しながらコスト削減が可能です。

AWS Cost Explorerは、AWSのサービスコストと使用量をグラフで表示するツールです。そして、過去のリソース使用量に基づいて、ダウンサイジングをしたり、リソースの削減をするなどの推奨事項の生成も行っています。

なお、Cost Explorerの詳細な使用方法については別の記事で詳しく解説していきます。

6.十分に活用されていないネットワークリソースを削除する

AWS環境には、多くのネットワークリソースがあります。以下のリソースに対して、長期間使用されていないにもかかわらず、コストがかかっているケースも多いです。

  • 未使用のElastic IPアドレス(EIP)
  • 使われていないElastic Load Balancer(ELB)
  • Route 53のホストゾーン

使われていないEIPはデタッチ状態でもコストがかかるため、すぐに削除することで無駄なコストを削減できます。使われていないRoute 53のゾーンやELBも同様に、運用に不要なリソースは削除するべきです。

AWSのTrusted Advisorを活用することで、リソースの未使用状態を特定し、不要なリソースを削除する推奨事項を受けることができます。定期的にTrusted Advisorの推奨を確認し、リソースの無駄を減らすことが、AWS全体のコスト削減に直結します。

7.EC2スポットインスタンスを利用する

EC2スポットインスタンスは、AWSの余剰キャパシティを最大90%の割引価格で利用できるサービスです。

スポットインスタンスは、一時的な処理や、失敗しても再実行可能なバッチジョブ、ビッグデータ分析、機械学習のトレーニング、CI/CDパイプラインなどのワークロードに最適です。一方で、スポットインスタンスはAWSの需要状況に応じて中断される可能性があるため、連続稼働が必要なシステムには適していません

AWSは、スポットインスタンスの効果的な管理と利用をサポートするスポットフリートやスポットブロック機能も提供しています。これらを使えば、複数のスポットインスタンスを効率よく管理し、コスト削減のメリットを最大限に引き出すことができます。

8.Compute Savings Plansを利用する

Compute Savings Plansは、EC2やFargateの使用量に対して割引を提供する柔軟なプランで、AWS上での計算リソースを長期間利用する場合に非常に有効です。Compute Savings Plansは、1年または3年間の期間で一定の使用量を予約することで、オンデマンド料金に対して最大66%の割引が受けられます。

このプランの大きな特徴は、特定のインスタンスタイプやリージョンに縛られず、EC2インスタンス、Fargate、およびLambdaなどの幅広い計算リソースに適用できる点です。たとえば、EC2インスタンスを異なるリージョンに移行する際や、インスタンスサイズを変更した場合でも、Compute Savings Plansの割引は適用され続けるため、柔軟な運用が可能です。

9.リザーブドインスタンスを利用する

リザーブドインスタンス(Reserved Instances、RI)は、EC2インスタンスを1年または3年間の契約期間で予約することで、オンデマンドインスタンスに比べて最大75%の割引を受けられるオプションです。長期的に安定したワークロードが存在する場合、リザーブドインスタンスを利用することで大幅なコスト削減が可能です。

リザーブドインスタンスは、特定のインスタンスタイプ、リージョン、プラットフォームに対して割引が適用されます。したがって、確定的なワークロードに最適で、特定のインスタンスを継続的に利用するシナリオでは非常に有効です。また、AWSはConvertible Reserved Instancesというオプションも提供しており、これを選択すれば契約期間中にインスタンスの種類やサイズを柔軟に変更でき、長期的なインフラの変更にも対応できます。

ただし、リザーブドインスタンスはCompute Savings Plansと比較して柔軟性が低いため、特定のインスタンスやリージョンに固定されたワークロードでの利用が最適です。

その他のAWSのコストを削減する方法

AWSのコストを削減する方法

AWSには、様々なリソースを最適化することでコストを削減する手段が多数存在します。以下では、これまで述べたEC2やS3の活用方法以外の最適化戦略について解説します。AWS環境に適した手法を選択し、リソースの効率的な運用を実現しましょう。

オートスケーリングを使用する

オートスケーリングは、負荷に応じてEC2インスタンスの数を自動的に増減させる機能です。これにより、トラフィックが少ない時間帯にはインスタンス数を減らし、コストを削減しつつ、需要が増加した場合には即座にスケールアウトすることが可能です。無駄なリソースを保持せず、必要な時に必要な分だけインスタンスを稼働させることで、柔軟なシステム運用とコスト最適化が実現できます。

EBSの最適化を行う

EBSは、EC2インスタンスに接続されるストレージであり、最適化次第で大きなコスト削減が可能です。まず、使用していないEBSボリュームは定期的に確認し、不要なものを削除することが重要です。また、ストレージタイプの最適化や、ライフサイクル管理によってアクセス頻度の少ないデータを低コストのストレージクラスに移行することで、コスト効率をさらに向上させることができます。

Lambdaの最適化を行う

AWS Lambdaはサーバーレスな計算リソースとして非常に効率的ですが、メモリサイズや実行時間を最適化することで、さらにコストを抑えることができます。Lambdaはメモリの割り当て量に応じて課金されるため、必要以上に大きなリソースを割り当てないことが重要です。また、実行時間の短縮や不要なリソースの解放を行うことで、コスト削減が可能です。定期的にLambdaの使用状況を見直し、最適な設定を維持しましょう。

サーバーレスアーキテクチャの採用

AWSのサーバーレスアーキテクチャを採用することで、サーバーの管理やリソースプロビジョニングの手間を省き、効率的な運用が可能になります。Lambda、API Gateway、DynamoDBなどを組み合わせることで、リソース使用に応じた課金モデルが適用されるため、リソースを無駄にすることなくシステムを運用できます。スケーラビリティが求められる環境や、予測しにくいトラフィックを扱う場合には、サーバーレスアーキテクチャの採用がコスト最適化に繋がります。

AWSのコスト削減を行う際の流れ

AWSのコスト削減を行う際の流れ

AWSのコスト削減を成功させるためには、計画的なステップを踏むことが重要です。まずは現状のコストをしっかりと把握し、AWSが提供する推奨事項を活用してリソースの最適化を行います。その後、AWS Budgetsを利用して予算の管理を徹底し、定期的に構成やコストを見直すサイクルを回すことで、持続的なコスト最適化が可能となります。

現状のコスト状況を把握する

最初のステップは、現在のAWSの使用状況とコストを正確に把握することです。AWSが提供するCost ExplorerやAWS Billing Dashboardを利用すれば、サービスごとの使用量やコストの内訳を詳細に確認できます。また、過去の使用パターンを分析することで、どのサービスが最もコストを消費しているかや、季節的な変動などを理解できます。これにより、コスト削減を行うべき領域を特定し、最適化への土台を固めることができます。

AWSの推奨事項を参考に構成を見直し

AWSは、ユーザーのリソース使用状況に基づき、Trusted AdvisorやCost Explorerを通じてリソース最適化の推奨事項を提供しています。これらのツールを活用することで、過剰にプロビジョニングされているリソースや未使用のリソースを特定し、無駄を省いた構成に見直すことができます。特に、インスタンスのダウンサイジングや未使用リソースの削除など、簡単に実施できる改善点から始めることが有効です。

AWS Budgetsであらかじめ予算設定しコスト超過を防ぐ

AWSのBudgets機能を活用すれば、事前に予算を設定し、コストの超過を防ぐことができます。例えば、月ごとの予算やプロジェクト単位で予算を設定し、使用がその範囲を超えた際にアラートを受け取ることで、リアルタイムにコストを管理できます。これにより、予算を超えそうな時点で迅速に対応することが可能になり、無駄な支出を事前に防ぐことができます。AWS Budgetsは長期的なコスト管理に非常に有用なツールです。

定期的に構成やコストを見直す

AWSの環境は、利用状況やビジネスニーズに応じて常に変化します。そのため、コスト削減を継続的に実現するには、定期的にリソースの使用状況や構成を見直すことが重要です。毎月や四半期ごとにCost ExplorerやTrusted Advisorを利用して、リソースの使用率、コスト、推奨事項を確認し、最適化を繰り返すことで、無駄なリソースやコストの発生を防ぎ、効率的な運用が維持できます。

AWSコスト削減の代行サービスを活用するのもおすすめ


AWSのコスト最適化を自社で行うのは、労力や専門知識が必要です。特に大規模なインフラを管理している場合、無駄なコストを見逃してしまうこともあります。

そこで、AWSコスト削減の代行サービスを活用することが有効です。これらのサービスは、専門家がリソースの最適化やコスト削減を代行し、必要に応じてレポートや推奨事項を提供します。時間とリソースを節約しながら、確実にコスト削減を実現できるため、AWSの複雑なコスト管理に悩む企業にとって有力な選択肢です。

まとめ

AWS 定期的なコスト削減


AWSのコスト削減は、リソースの使用状況を把握し、最適化することが重要です。EC2のダウンサイジングやスポットインスタンスの利用、EBSやLambdaの最適化、さらにサーバーレスアーキテクチャの導入など、さまざまな方法でコストを削減できます。また、AWS Budgetsを利用して予算設定し、定期的にコストを見直すことで、長期的なコスト管理を実現します。

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