
オーケストラの「指揮者」の仕事は、「AIOps」が目指す世界に近い
システム運用に携わる皆さん、いつもお疲れ様です。
突然ですが、システム運用に携わる筆者は、前々からずっと思っていたことがあります。それは、「ITシステムって、まるで巨大なオーケストラみたいだな…」ということです。

システム運用に携わっていると、日々膨大なアラートやログに追われ、まるで鳴り止まない不協和音の中で仕事をしているような気分になることはありませんか?
クラウド、オンプレミス、マイクロサービス…無数の「楽器」が、ログやメトリクスといった膨大な「音」を常に出し続けている。その中で、たった一つの不協和音(=異常のサイン)を聞き分け、システム全体の調和を保つ。大変な作業ですよね。

本日のコラムは、オーケストラの「指揮者」の仕事とAIOpsの共通点を探るお話です!
指揮者は、音楽という複雑なシステムにおける司令塔
オーケストラでは、多種多様な楽器がそれぞれ異なるメロディーやリズムを奏でます。そして指揮者は、それら一つひとつの音に耳を傾け、全体の調和を保つ重要な役割を担っています。
指揮棒を振る姿が印象的ですが、その本質は「楽曲全体を深く理解し、各楽器の演奏者に的確な指示を出す。そして、一つのまとまりある音楽を創り上げること」にあるのです。

もし、どこかのパートで不協和音、つまり「異常」な音が発生すれば、優れた指揮者は即座にそれを聞き分け、原因を特定し、修正を促します。
まさに、音楽という複雑なシステムにおける、最高の監視者であり、調整者であると言えるでしょう。
複雑なITシステムの「指揮者」を目指すAIOps
一方、現代のITシステムは、オンプレミスや複数のクラウドサービスが混在し、オーケストラのように複雑で大規模なものになっています。
このような環境で、システム全体を安定稼働させるためには、膨大なログやメトリクスといった「音」を常に監視し、異常の予兆をいち早く検知する必要があります。
そこで登場するのが「AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)」です。
AIOpsは、AI(人工知能)を活用して、IT運用を自動化・高度化するアプローチです。AWS、Azure、Google Cloudといった主要なクラウドプラットフォームも、AIOpsの考え方を取り入れたサービスを提供しています。
AIOpsが実現する世界は、まさにオーケストラにおける指揮者の仕事と重なります。
AIOpsの機能 | 指揮者の役割 |
---|---|
各種監視ツールからのデータ収集 | 各楽器の音を聞き分ける |
AIによるデータ分析と異常検知 | 不協和音(異常)を特定する |
問題の根本原因を特定 | どの楽器が間違っているかを指摘する |
自動化された復旧対応 | 演奏者に修正を指示する |
このように、AIOpsはITシステムというオーケストラの指揮者のように、無数のコンポーネントから発せられる情報を統合的に分析し、問題が発生する前、あるいは発生した直後に、迅速かつ的確な対応を可能にしてくれるのです。
つまり、システムという複雑な楽譜を深く理解し、無数の音の中から不協和音を捉え、その原因を特定して調和を取り戻す….まさにITシステムの「マエストロ(巨匠)」なのです!

あなたの「オーケストラ」にも指揮者を
AIOpsは、IT運用の頼れる「指揮者」です。複雑なシステムから生まれる膨大なデータを賢く分析し、障害の予兆を捉え、根本原因を素早く特定することで、私たちの仕事を劇的に楽にしてくれます。
もしあなたが、鳴り止まないアラート通知に追われたり、障害対応で週末を潰してしまったりしているのなら、それは「指揮者」がいないオーケストラで、必死にすべての楽器を演奏しようとしてヘロヘロな状態なのかもしれません。

優れた指揮者を迎え入れて、あなたの「オーケストラ」に、もっと安定した、美しいハーモニーを奏でさせてあげも良いかもしれません。
この記事が、ちょっとした気付きや息抜き、雑談やアイスブレイクのネタになれば幸いです!