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「ソースコードの美しさ」、開発者以外にどう説明する?エンジニアの美学に迫る

「ソースコードの美しさ」、開発者以外にどう説明する?エンジニアの美学に迫る

「このコード、美しい…」

エンジニアがそう呟いたとき、開発者以外の方は「え、ただの文字列の羅列じゃないの?」と不思議に思うかもしれません。しかし、多くのエンジニアは、優秀なエンジニアが作成したソースコードに対し、優れた詩や洗練された建築デザインのような「美しさ」を感じ取っています。

実は、筆者は昔、少しだけデザインを学んでいた時期があります。

高校生の頃に描いていた模写

そして、特に装飾を削ぎ落として機能性を突き詰める「ミニマルデザイン(機能美)」の考え方に深く惹かれていました。

IT業界に身を置く現在、あの時感じた機能美と、優れたソースコードが持つ美しさは、非常によく似ていると感じています。それは単なる自己満足ではなく、システムの品質やチームの生産性に直結する、非常に実用的な価値観なのです。

今回は、そんなエンジニアが持つ独特の美学の正体を、少しだけ紐解いてみましょう。

シンプルさは正義

美しいコードの第一条件として、しばしば「シンプルさ」が挙げられます。同じ機能を実現するなら、より短く、より簡潔なコードの方が美しいとされます。

これは、短い方が読む時間が少なくて済み、理解しやすいためです。結果として、バグが入り込む隙も少なくなります。

AWSのベストプラクティスでも、コンポーネントを疎結合にし、責務を単一に保つことで、複雑さを減らすことが推奨されています。 一つの部品が一つのことだけをうまくやる、という思想は、コードのシンプルさと直結しているのです。

誰もが迷わない地図のような、秩序と一貫性

プロジェクトに参加しているエンジニア全員が、まるで一人の人間が書いたかのように見えるコードは、非常に美しい状態と言えます。これは、命名規則やインデントのスタイルといった「コーディング規約」をチームで統一することで実現されます。

道案内がバラバラな地図では誰もが迷ってしまうように、書き方がバラバラなコードは、読む人に余計な負担を強います。一貫性のあるコードは、将来コードを修正する人(それは数ヶ月後の自分自身かもしれません)への思いやりであり、迷子を生まないための地図なのです。

GoogleやAWSなどの多くの企業が、独自のコーディング規約を公開し、その重要性を説いています。参考までに、弊社のエンジニアが書いたブログ記事もご紹介しておきます。

効率という名の芸術

見た目の話だけではありません。処理速度が速く、コンピュータのリソース(メモリやCPU)を無駄遣いしない、効率的なコードもまた「美しい」と評価されます。

例えば、同じデータを処理するにも、より優れたアルゴリズムを選択することで、処理時間を劇的に短縮できる場合があります。これは、少ないエネルギーで重いものを持ち上げるテコの原理にも似ています。

AzureやAWSのようなクラウドプラットフォームでは、リソースの効率的な利用がコストに直結するため、この「効率の美」はますます重要になっています。

クラウド時代の新しい美学「コードとしてのインフラ(IaC)」

近年、クラウド技術の発展とともに、「Infrastructure as Code (IaC)」という考え方が普及してきました。これは、サーバーやネットワークといったインフラの構成を、ソースコードで管理する手法です。

IaCのメリット説明
再現性同じコードから、いつでも寸分違わぬ環境を再現できる。
可視性インフラの構成がコードとして可視化され、レビューや変更履歴の追跡が容易になる。
自動化インフラの構築・変更を自動化し、手作業によるミスをなくし、時間を大幅に短縮する。

AWS CloudFormationやTerraformといったツールで記述されたIaCのコードは、インフラという巨大な構造物を、宣言的で美しい設計図として表現します。 これもまた、現代のエンジニアが追い求める新しい「美しさ」の形ではないでしょうか。

まとめ

ソースコードの美しさとは、突き詰めれば「読みやすく、変更しやすく、効率的であること」に行き着きます。それはエンジニアの単なるこだわりではなく、システムの保守性を高め、チーム全体の開発速度を向上させるための、極めて合理的な追求なのです。

もしあなたの隣の席のエンジニアが、画面を見つめて静かに微笑んでいたら、彼らは美しい詩や芸術に触れたときのような、静かな感動を味わっているのかもしれません。

24時間365日のシステム運用監視サービス「JIG-SAW OPS」を提供する、JIG-SAW株式会社のOps Today編集部です。 サーバー運用監視実績50,000台の実績をもとに、システム運用監視に役立つ情報をお届けします!

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