
OpenAI o3-pro提供開始 ─重大なミスが20%削減、o3価格は80%減
2025年6月11日、OpenAIは最新モデル「OpenAI o3-pro」をChatGPTのProユーザーおよびAPIユーザー向けにリリースした。公式発表によると、このモデルは科学、教育、プログラミングなどの分野で優れた性能を発揮し、従来モデルを大きく上回る。
本記事では、OpenAI o3-proの機能概要や新機能を紹介すると共に、OpenAI o3やGPT-4oといった従来モデルとの比較や、OpenAI o3-proが非対応となるタスクを紹介する。
参考サイト:Model Release Notes「Launching OpenAI o3-pro—available now for Pro users in ChatGPT and in our API」
機能概要
OpenAI o3-proは、o3シリーズの頂点に位置するモデルであり、深く考え抜く「長考モード」を中核に据える。このモードは、回答生成前に綿密な分析を行い、複雑な問題に対する正確性と包括性を飛躍的に高める設計だ。
ChatGPTのProおよびTeamユーザーはモデルピッカーを通じて即時利用が可能であり、EnterpriseおよびEducationユーザーには翌週以降の展開が予定されている。
OpenAI o3-proは、Web検索、ファイル解析、画像理解、Pythonコード実行といったChatGPT内の全ツールを自律的に組み合わせ、効率的かつ信頼性の高い問題解決を実現する。専門家の評価によれば、明瞭さ、網羅性、指示への追従度、正確性が顕著に向上し、タスクにおける重大なミスは従来のo1モデル比で約20%削減された。
同内容を、分かりやすく表にまとめる。
モデル名 | OpenAI o3-pro |
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リリース日 | 2025年6月10日 |
プラン | ChatGPTのProユーザーおよびAPIユーザー向けに提供開始。 2025年6月11日時点では、ProおよびTeamプランのユーザーがモデルピッカーで選択可能。EnterpriseおよびEduユーザーは翌週以降にアクセス可能。 |
特徴 | o3シリーズの最上位モデルで、深く考え抜く「長考モード」に特化。科学、教育、プログラミング、データ分析、ライティングなどの主要分野で優れた性能を発揮。タスクの重大なミスを従来モデル比で約20%削減。 |
利用用途 | Web検索、ファイル解析、画像理解、Pythonコード実行など、ChatGPT内のすべてのツールを自律的に組み合わせて使用可能。複雑な問題に対して信頼性の高い回答を生成。 |
アップデート内容
OpenAI o3-proは、長考モードの強化、ツールの統合利用、エラー削減という3つの柱を通じて、AIの複雑な問題解決能力に新たな基準を打ち立てた。検索機能との併用制限という課題はあるものの、科学、プログラミング、教育などの分野で高い信頼性と精度を提供している。
ここでは、アップデートされた点を簡潔に紹介する。
長考モードの強化
OpenAI o3-proは、OpenAI o3の「長考モード」を最適化し、回答生成前の分析を深化させた。複雑な問題に対し、論理的推論を重ね、正確性と包括性を向上。科学、プログラミング、ライティングなどの分野で、従来モデルを上回る信頼性を発揮する。
ツールの統合利用
OpenAI o3-proは、Web検索、ファイル解析、Pythonコード実行などのツールを自律的に選択・組み合わせ、効率的な問題解決を実現。従来のOpenAI o3やo1では限定的だったツール活用を大幅に拡張し、ユーザーの意図を的確に反映する。
エラー削減
OpenAI o3-proは、OpenAI o1と比較しタスクの重大なミスを約20%削減。アルゴリズム改良により、明瞭さ、網羅性、指示追従度、正確性が向上。特に科学や教育分野で、高精度な回答を提供する。
現時点での制限
OpenAI o3-proは検索機能(Web検索)と同時使用不可。リアルタイム情報が必要なタスクでは、OpenAI o3や他モデルを選択する必要がある。この制約は、長考モードに特化した設計に起因する。
従来のモデルとの違い
OpenAI o3-proと「OpenAI o3」の比較
性能向上 | 科学、教育、プログラミング、データ分析、ライティングの主要領域で、OpenAI o3-proはOpenAI o3を上回る性能を発揮。専門家評価で一貫してOpenAI o3-proが優位と判断された。 |
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思考プロセス | OpenAI o3-proはOpenAI o3の「長考」設計をさらに強化し、より深く分析してから回答を生成。複雑なタスクでの信頼性が向上。 |
ツール利用 | OpenAI o3-proは、ChatGPT内の全ツールをより柔軟かつ自律的に活用。OpenAI o3ではツール利用が限定的だったのに対し、OpenAI o3-proは必要に応じて最適なツールを選択。 |
OpenAI o3-proと「OpenAI o1-pro」の比較
ミス削減 | OpenAI o3-proはOpenAI o1-proと比較して、タスクの重大なミスを約20%削減。より安定したパフォーマンスを提供。 |
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モデル置き換え | OpenAI o3-proはChatGPTおよびAPIでOpenAI o1-proを置き換える形で導入。 |
応答品質 | 明瞭さ、指示への追従度、包括性が向上。 |
OpenAI o3-proと「GPT-4o」の比較
コンセプト | OpenAI o3-proは、スピードよりも信頼性と正確性を重視した設計。 |
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向いているタスク | GPT-4oが日常的なタスクや高速応答に向いているのに対し、OpenAI o3-proは複雑な問題解決や専門性の高いタスクに特化。 |
非対応のタスク | OpenAI o3-proは視覚タスクが非対応。視覚的推論が必要な場合はGPT-4oやo1が推奨。 |
OpenAI o3の価格が、80%値下げ
日本時間2025年6月11日の朝時点ではまだ公式サイトの価格が更新されていないようだが、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は本日、Xにてo3-proとと同じ基本モデルを使用しているOpenAI o3を80%の値下げすると発表している。
入力トークンあたり100万回分が2ドル、出力トークンが8ドルとなり、従来価格(入力10ドル、出力40ドル)からとなる。
we dropped the price of o3 by 80%!! excited to see what people will do with it now. think you’ll also be happy with o3-pro pricing for the performance 🙂 — Sam Altman (@sama) June 10, 2025
まとめ
OpenAI o3-proは、強化された「長考モード」と自律的なツール活用により、AIの複雑な問題解決能力に新たな基準を打ち立てた。ChatGPTのProおよびTeamユーザー向けに提供開始され、科学やプログラミング分野での活用が期待される。
検索機能との併用制限といった制約はあるものの、今後のアップデートやさらなる展開により、o3-proはその真価を一層発揮するだろう。
OpenAIの進化は、AI技術の可能性をさらに広げ、ユーザー体験を深化させる一歩となる。