2024年版おすすめサーバー監視ツール比較:無料から有料まで徹底解説
サーバー監視ツールは、サーバーの稼働状態やパフォーマンスを監視し、異常が発生した際にアラートを通知するための重要なソフトウェアです。リソース監視を通じて、システムの安定稼働を確保することで、障害の早期発見と迅速な対応が可能になります。
システム全体を監視するシステム監視と異なり、サーバー監視は主にサーバーと周辺機器に特化した監視です。本記事では、サーバー監視ツールのメリットや種類、選び方、有料・無料別のおすすめツールを詳しく解説します。
サーバー監視ツールとは
サーバー監視ツールとは、主にサーバーの稼働状態やパフォーマンスをリアルタイムで監視し、異常を検出した際にアラートを通知するためのソフトウェアです。
サーバー監視は、CPUの使用率、メモリの使用量、ディスク容量、ネットワークの帯域使用率など、サーバーに関連する具体的なリソースや状態の監視に特化しています。リアルタイムな監視を通じて、システムの安定稼働を維持し、障害発生時には迅速な初動対応が可能になります。
システム監視との違い
システム監視は、サーバーだけでなく、ネットワーク機器、データベース、アプリケーションなど、システム全体の監視を対象としています。
システム監視においては、システム全体のパフォーマンスや稼働状態、サービスの可用性なども監視対象に含めて、より広範囲にわたる要素の連携状況を把握します。
そのため、システム監視は複雑で多層的な構成を持つ環境において、システム全体の健全性を確認するために重要な役割を果たします。
つまり、サーバー監視はシステム監視の一部として機能し、システム監視はサーバー監視を含めた全体的な監視を行う点に違いがあります。
サーバー監視ツールのメリット
サーバー監視ツールの主なメリットは、システムの安定稼働を維持し、障害の早期発見と迅速な対応が可能になる点です。
リアルタイム監視により、CPUやメモリの過剰な使用、ディスク容量の不足、ネットワークの過負荷など、トラブルが発生する前にアラート通知を受け取れます。迅速な初動対応により、障害の発生を未然に防ぎ、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
また、監視ツールを使用することで、システムのパフォーマンスデータを継続的に収集・分析できるため、リソースの最適化や将来的な運用プランの策定に役立ちます。
さらに、自動化されたアラート機能により、管理者の負担を軽減でき、運用効率の向上にも寄与します。
サーバー監視ツールのデメリット
サーバー監視ツールのデメリットとして、導入や設定に手間と時間がかかることが挙げられます。特に、オンプレミスで監視ツールを導入する場合、ツールの設定やカスタマイズが必要であり、専門知識が求められます。
また、監視ツールの誤検出や過剰なアラートによる「アラート疲れ」が発生するリスクもあり、誤警告に対する適切なチューニングが不可欠です。
さらに、監視ツール自体がシステムリソースを消費するため、特にエージェントベースのツールではサーバーのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
コスト面でも、商用ツールのライセンス費用やサポート契約が高額になる場合があるため、予算に与える影響も十分に考慮する必要があります。
サーバー監視ツールの主な種類
サーバー監視ツールの主な種類には、次のようなものが挙げられます。
- ネットワーク・サーバ監視ツール
- ログ監視ツール
- 死活監視ツール
- 稼働状況可視化ツール
- 監視コンソール
ここでは、それぞれの種類について詳しく解説します。
ネットワーク・サーバ監視ツール
ネットワーク・サーバ監視ツールは、サーバーとネットワーク機器の状態やパフォーマンスをリアルタイムで監視するためのツールです。CPUやメモリの使用率、ディスク容量、ネットワークの帯域幅などのリソース状況を監視し、異常を検出した際にアラートを通知します。
また、ネットワークの遅延やパケット損失、接続の安定性を監視して、サーバーとネットワーク全体の健全性を確保する役割もあります。
ログ監視ツール
ログ監視ツールは、サーバーやアプリケーションが生成するログデータを収集・解析することで、システムの異常や不正なアクセス、エラーの兆候などを検出します。
大量のログデータをリアルタイムで監視し、特定のキーワードや条件に基づいてアラートを発するため、セキュリティイベントの監視や障害発生時の原因特定に役立ちます。
死活監視ツール
死活監視ツールは、サーバーやサービスが正常に稼働しているかどうかをチェックするために使用します。定期的にサーバーに対してPingやHTTPリクエストを送信し、応答があるかどうかを確認することで、サーバーの稼働状況を把握できます。
応答がない場合や異常が検出された場合には、アラートを発して速やかに管理者へ通知します。死活監視は、シンプルで効果的な監視手法であり、障害の早期発見と迅速な対応に貢献します。
稼働状況可視化ツール
稼働状況可視化ツールは、サーバーやシステムの稼働状況をグラフやダッシュボードで視覚的に表示するツールです。システムの状態やパフォーマンスをひと目で把握でき、異常の発生やパフォーマンスの変動を迅速に検知可能です。
可視化ツールは、他の監視ツールと連携してデータを集約し、リアルタイムで表示する機能を持っています。データの視覚化を通じて、より迅速な意思決定と対応をサポートする役割があります。
監視コンソール
監視コンソールは、複数の監視ツールやシステムから得られる情報を統合し、一元管理するためのツールです。監視コンソールを利用することで、管理者はシステム全体の状態を単一のプラットフォーム上で把握し、異常発生時には迅速に対応できます。
監視コンソールでは、複数のデータソースを集約し、カスタマイズ可能なダッシュボードやレポート機能が提供されます。複雑なネットワーク構成や多くの端末を導入している現場など、大規模システムの監視において効果的です。
サーバー監視ツールを選ぶ際のポイント
サーバー監視ツールを選ぶ際は、次の4つのポイントに注意することが大切です。
監視対象の範囲を押さえておく
サーバー監視ツールを選ぶ際は、まず監視対象の範囲を明確に把握しておきましょう。主な監視対象としては、サーバー本体のハードウェア、ネットワーク機器、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどが考えられます。
選定するツールが、すべての監視対象に対応しているかを確認し、特定のシステム要件や依存関係に合わせたツールを選ぶことが大切です。
また、将来的な拡張性も考慮し、監視対象が増えた場合にも柔軟に対応できるツールを選ぶと、長期的な運用管理がしやすくなります。
監視項目の取得範囲を調査する
サーバー監視ツールの選定にあたって、検討中のツールが必要な監視項目をすべてカバーしているかを事前に調査することは重要です。
例えば、CPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/O、ネットワーク帯域幅、サービスの応答時間など、特定の指標が監視対象として挙げられる場合、ツールを通じて各指標を取得できるか確認します。
また、ツールが提供する標準の監視項目だけでなく、カスタムメトリクスの設定が可能かどうかも調査しておきましょう。取得できるデータの範囲が広いほど、システムの状態を正確に把握でき、より迅速な対応が可能になります。
通知方法を調べる
監視ツールが異常を検知した際の通知方法も、選定時に確認すべきポイントです。
通知方法には、メール、SMS、電話、チャットツール、Webhooksなどがあり、選定するツールが自社の運用環境に適した方法で通知できるかをチェックする必要があります。
また、アラートの優先度設定や特定の条件下でのみ通知を行うフィルタリング機能があるかなど、アラート設定が柔軟かどうかも重要です。通知の迅速性と確実性を確保できれば、障害発生時により迅速な対応が可能となります。
運用負荷を検証する
監視ツールの導入時は、機能だけでなく、運用負荷を検証することも欠かせません。
監視ツール自体がシステムリソースを消費するため、監視対象となるサーバーのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。エージェントベースのツールの場合、エージェントの動作がサーバーの負荷になることもあることから、事前に影響度を検証しておく必要があります。
また、ツールの導入やメンテナンスにかかる手間も考慮し、可能な限り運用負荷を低減できるツールを選ぶことで、運用管理の効率化を図れます。
【有料】おすすめのサーバー監視ツール
ここからは、おすすめのサーバー監視ツールを有料と無料に分けて紹介します。まずは、有料ツールを見ていきましょう。
LogicMonitor
LogicMonitorはクラウドベースのパフォーマンス監視プラットフォームで、AIを活用してハイブリッド環境全体の監視を提供しています。
物理サーバー、仮想マシン、クラウドインフラ、ネットワーク機器など、幅広いインフラストラクチャを対象とし、リアルタイムのデータ収集と分析を実現できます。
エージェントレスのため迅速な導入が可能であり、3,000を超える統合が可能な柔軟性があります。また、AI機能「Edwin AI」により、異常検知や根本原因の分析を自動化し、運用の効率化と迅速な問題解決をサポートしています。
Hinemos
Hinemosは、日本発のオープンソースの統合運用管理ソフトウェアで、監視、パフォーマンス管理、ジョブ管理を一体化したソリューションを提供しています。
物理環境だけでなく、仮想化・クラウド環境の管理にも対応しており、マルチクラウド環境全体の監視を一元的に実行できます。
企業向けにはサブスクリプションサービスがあり、長期的なサポートとオプション機能を提供しています。自動化機能により、日常的なオペレーションの効率化や運用コストの削減が可能です。
Mackerel
Mackerelは、Hatena Co., Ltd.が提供するクラウドネイティブなサーバー監視サービスで、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴です。mackerel-agentをサーバーにインストールするだけで、直ちに監視を始められます。
Mackerelは、監視対象のホストを「サービス」や「ロール」としてグループ化し、役割ごとのリソース情報を視覚化する機能を持ちます。これにより、複数のホストやアプリケーションの状態を詳細かつカスタマイズして管理できます。
また、クラウドおよびコンテナ環境全体を一元管理し、複数のインフラ環境を一括で監視する機能も備えています。オープンソースのプラグインで監視をカスタマイズでき、柔軟な対応が可能です。
srest
srest(スレスト)は、メタップスホールディングスが提供するAWS(Amazon Web Services)に特化した横断監視ツールです。複数のインフラ系サービスから発生するイベントログやAWSのコストを一元管理し、リアルタイムで異常を検知するための機能を提供します。
複数のサービス間でイベントログを横断的に収集・表示することで、異常時の対応を迅速化し、障害の未然防止に貢献します。また、ダッシュボード機能を使って、クラウドインフラ全体の状態を一元的に監視することで、日常業務の効率化と運用コストの最適化を図ります。
AWSの各種サービスコストをリアルタイムで可視化し、費用の増加を早期に検知する機能を持つため、コストの効率化も可能です。
System Answer G3
System Answer G3は、IBCソリューションが提供するITシステム情報管理および性能監視ツールで、企業のITインフラ全体を包括的に監視できます。
社内のネットワークやサーバーからデータセンター、プライベートクラウド、パブリッククラウド、仮想環境まで、多様な監視対象に対応しています。監視データは1分間隔で収集され、最大5年間非圧縮で保存できるため、短期的な問題の早期発見から中長期的な傾向分析まで幅広く対応可能です。
また、長期的な傾向分析と短期的なトレンド分析を統合し、異常が発生する前に事前の対策を講じるための情報を提供しています。
パトロールクラリス
パトロールクラリスは、株式会社コムスクエアが提供するエージェントレス型のサーバー・ネットワーク統合監視ソフトウェアです。ネットワーク機器、サーバー、仮想環境、クラウド上のリソース、さらにはIoTデバイスまで、多様な監視対象に対応しています。
無料で利用できる死活監視(PING)とSNMP監視をはじめ、CPUやメモリ、ディスク使用率などのリソース監視、データベースの監視、Webページの監視、セキュリティ監視など、60種類以上の監視機能を備えています。
また、異常検知後の迅速な通知機能や、アラートの管理機能も充実しており、メールやSlack通知、SNMP TRAP、コマンド実行など多彩なアクションを設定可能です。
【無料】おすすめのサーバー監視ツール
続いて、無料で使えるおすすめのサーバー監視ツールを紹介します。
Zabbix
Zabbixは、オープンソースの統合監視ソフトウェアで、ITインフラ、ネットワーク、アプリケーションの一元監視を提供します。
無料で利用可能ですが、エンタープライズ向けの高度な監視機能を持ち、エンドツーエンドの暗号化による高度なセキュリティや大規模なスケーラビリティを提供します。
複数の監視対象や項目に対応しており、柔軟なカスタマイズと拡張性を持つため、大規模企業や複雑なIT環境での運用に適しています。
Nagios Core
Nagios Coreは、オープンソースのサーバーおよびネットワーク監視ツールで、監視機能とアラート機能のエンジンとして機能します。主にLinux/Unix環境で動作し、Webベースのインターフェースを通じて監視結果を管理できます。
サーバーやネットワークサービス(SMTP、HTTP、FTPなど)の監視を行い、異常を検出するとメールなどで通知するシステムです。
Nagios Coreの強みは、高い拡張性と柔軟性にあります。多くのAPIが提供されており、追加のアドオンを通じて機能を拡張できます。また、Nagios Coreの周りには数多くのプラグインや拡張ツールが開発されており、自由度の高いカスタマイズや統合監視を行うことが可能です。
Cacti
Cactiは、ネットワーク監視とグラフ生成のためのオープンソースソフトウェアで、主にシステム管理者がネットワーク機器やサーバーのリソース使用状況を可視化するために使用します。
Cactiは、SNMP(Simple Network Management Protocol)を使用して監視対象から統計情報を取得し、そのデータをグラフ化することで、ネットワークの状態を視覚的に把握できます。Webインターフェースを通じて簡単に設定を変更でき、ネットワークデバイスの監視やグラフを迅速に生成可能です。
テンプレート機能を備えており、複数のホストやインターフェースを効率的に管理できる点も魅力です。
Munin
Muninは、オープンソースのネットワーク資源監視ツールで、主にシステムのパフォーマンスやリソース使用状況を視覚的に把握するために使用します。MuninはPerlで書かれており、RRDtoolを使用して収集データをグラフ化します。
インストール後、すぐに500以上の標準プラグインを使用可能で、さまざまなサービスの監視に対応しています。また、簡単にカスタムプラグインを作成して追加できるため、特定のニーズに合わせた柔軟な監視を実現できます。
対応している規模は幅広く、小規模なホームネットワークから100以上のノードを持つ大規模クラスターまで、あらゆる規模での運用に対応しています。
Pandora FMS
Pandora FMSは、柔軟でスケーラブルなオープンソースの統合監視ソリューションで、さまざまなIT環境に対応しています。
サーバー、ネットワーク、アプリケーション、仮想環境、IoTデバイスなど多岐にわたる監視対象をカバーしており、オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境のいずれにおいても使用可能で、監視対象の追加や設定変更も容易です。
直感的で操作性の高いユーザーインターフェースを備え、マルチテナント環境を実現する統合ダッシュボードやカスタムレポート機能も提供しています。また、冗長構成や分散監視が可能であり、大規模なシステム環境に適しています。
Sensu
Sensuは、クラウド、コンテナ、オンプレミス環境など、多様なインフラストラクチャに対応し、監視の自動化と効率化を実現するエージェントベースの監視ツールです。
Sensuの主な特徴として、「コードとしての監視(Monitoring as Code)」があり、監視ワークフローを宣言的な設定ファイルとして定義することで、チーム内での共有が用意になり、バージョン管理も可能です。
また、Nagios、Prometheus、InfluxDBなどの既存のツールと容易に統合できるオープンアーキテクチャを持ち、様々な監視ツールを一元管理できます。商用サポートも提供されており、エンタープライズ環境での使用にも対応しています。
まとめ
サーバー監視を効率化するためには、自社の要件に合わせて適切なツールを選ぶ必要があります。ツール選定時には、目的や要件を整理して、監視範囲や取得項目、通知方法、運用負荷を考慮しながら慎重に選定することが大切です。
監視ツールには無料のオープンソースと、商用の有償ソフトウェアがあるため、機能やサポート内容など、多角的な視点で最適なものを選定しましょう。