
テンプレート活用でAWS設計を効率化!AWS CloudFormationのメリットも解説

AWS設計を効率よく進めるためには、既存のテンプレートを活用するのがおすすめです。すでに完成しているフレームワークをうまく使うことは、初心者のみならずプロのエンジニアにとっても求められる技術の一つといえます。
この記事では、AWS設計の際に活用したいテンプレートサイトや、設計効率をさらに高めるためのポイントについて、AWS公式の見解などをまとめます。
AWS設計でテンプレートを活用するメリット

AWS設計におけるテンプレートの活用は、業務が複雑で高度になってくるほど、必要になる取り組みです。以下に、AWS設計でテンプレートを活用する主なメリットを詳しく解説します。
作業の標準化による効率向上
テンプレートを利用することで、同じ構成を複数の環境に繰り返し適用できます。これにより作業が標準化され、一貫性のある結果を得られるのが強みです。
業務に必要な時間を短縮できるほか、標準化されたプロセスにより、新しいメンバーのオンボーディングもスムーズに進められるでしょう。
エラー防止と信頼性向上
テンプレート化された設定は手動操作を減らし、設定ミスを防ぎます。結果、システム全体の信頼性を向上させ、質の高い業務施工につながるでしょう。
また、テンプレートを作成した上でバージョン管理を徹底すれば、変更履歴を追跡でき、問題が発生した際の迅速なトラブルシューティングにも貢献します。
スケーラビリティの確保
テンプレートはスケーラブルなインフラ設計に適しています。システム需要の高まりに伴い増加するトラフィック、新技術導入に伴う新しい要求に対して、柔軟に対応できます。
AWSは、もともと自動スケーリング機能と連携することができます。そのため負荷が増加した場合でも、サービスのパフォーマンスを維持しつつ、無駄なコストの発生を抑制可能です。
コラボレーションの促進
テンプレートを共有することで、チームメンバー全員が同じ情報を基に設計や運用を進めることができます。テンプレートはコードとして保存ができるため、レビューやフィードバックを簡単にし、全体の生産性が向上します。
AWS CloudFormationの活用メリット

このような設計テンプレート活用の効率化に貢献するのが、AWS CloudFormationです。
このサービスは、AWSのリソースをコード化して管理するためのテンプレートツールです。CloudFormationの導入により、多様なメリットが期待できます。
繰り返し可能な構成の提供
CloudFormationを使用することで、同一のテンプレートを使用し開発や本番など、複数の環境を迅速に構築できます。
一貫性のあるテンプレート活用体制を整備し、環境間での設定のズレやエラーを防げるのが強みです。またテンプレートは何度でも利用できるため、新しいプロジェクトをスムーズに開始できます。
自動化によるエラーの削減
CloudFormationは、リソースのプロビジョニングと設定を自動化します。これにより、手動での設定作業を最小限に抑え、人的エラーの発生を予防可能です。
テンプレートの記述を変更履歴として追跡すれば、問題発生時の迅速な復旧にもつながるでしょう。
柔軟なスケーラビリティ
必要に応じてリソースをスケールアップ、あるいはスケールダウンできるのも特徴です。システムのパフォーマンスを最適化しつつ、コストを削減することができます。
たとえば、アクセスが集中するピーク時にリソースを動的に増やし、その後縮小することで無駄なコストを抑えるような運用方法です。
コスト管理の改善
CloudFormationで作成したテンプレートを使用することで、AWSリソースの使用状況を明確にし、コストの予測が簡単になります。不要なリソースを効率的にクリーンアップしながら、運用コストを低減する機能も充実しているサービスです。
AWS設計の基本原則

AWS設計には、AWSが公式に推奨する基本原則が存在します。以下の基本原則を考慮することで、強力なAWS設計を実現可能です。
ビジネス成果を中心にチームを編成する
効果的なAWS設計には、ビジネス目標を達成するための適切なチーム編成が欠かせません。各メンバーが自身の役割と目標を明確に理解し、設計がビジネス成果に直結するように調整します。
役割分担が明確で、過不足のないチーム編成を実現できれば、プロジェクト全体の効率性が向上し、実現した設計が顧客価値を最大化できるでしょう。
オブザーバビリティを実装して実用的なインサイトを得る
AWS環境での運用では、システム全体のステータスを可視化することが重要です。ログやメトリクスを活用してオブザーバビリティを実現すれば、運用データから具体的なインサイトを引き出せます。
結果。システム上で発生する問題の早期発見、および迅速な解決が可能です。
可能な場合は安全に自動化する
自動化は、手作業によるエラーを減少させ、運用効率を高める有効な手段です。一方で自動化に際しては、セキュリティを考慮した手法を採用することも忘れてはいけません。
システム構築時には、コードレビューやアクセス制御を含むプロセスを実装することで、リスクを最小限に抑えながら自動化の恩恵を享受できます。
小規模かつ可逆的な変更を頻繁に行う
設計変更は小規模で可逆的なものとし、頻繁に行うことでリスクを分散させることが重要です。
システムの柔軟性を確保することで、大規模な変更によるダウンタイムや障害のリスクを軽減し、継続的な改善が可能です。AWS環境では、リソースのデプロイや変更管理を効率化するツールを活用すると良いでしょう。
オペレーション手順を頻繁に改善する
運用プロセスは定期的に見直し、改善を図ることで、チームのパフォーマンスを向上させられます。手順の見直しに際しては、過去の運用結果や障害対応の経験を反映させ、より効果的なプロセスを構築します。
PDCAサイクルを確立し、建設的な改善環境で運用を進めることが大切です。
障害を予測する
障害は未然に防ぐことが理想ですが、完全に排除することは困難です。そのため、予測可能な障害を特定し、それに備えた設計を行うことが重要です。冗長性の確保などを実現することで、障害発生のリスク低下や、障害発生時の影響低減を目指しましょう。
運用上のイベントとメトリクスから学ぶ
過去の運用データを活用し、将来の設計や運用に反映させることは、非常に重要です。例えば、特定のイベントがシステム全体にどのような影響を与えたかを分析し、それを基に改善策を講じることで、より堅牢な設計を実現します。
マネージドサービスを使用する
AWSのマネージドサービスを活用することで、設計の複雑さを軽減し、運用負荷を大幅に削減できます。これにより、リソースを他の重要なタスクに集中させることができ、効率的な運用が可能となります。
AWS Well-Architectedフレームワークの概要

AWS Well-Architectedフレームワークは、AWSが公開するインフラ構築時に参考にしたい、ベストプラクティスを踏まえたアプローチです。
同フレームワークは、オペレーショナルエクセレンス、信頼性、セキュリティ、パフォーマンス効率、コスト最適化、運用上の優秀性という6つの柱を基盤に設計されています。
これらの柱を理解し、実践することで、AWS環境でのシステム設計の品質と効率を高めることが可能です。以下では、それぞれの柱の概要について簡単に解説します。
オペレーショナルエクセレンスの柱
オペレーショナルエクセレンスの柱とは、システムの実行とモニタリング、プロセスの継続的な改善を指します。業務の標準化や変更の自動化などの取り組みが、ここに含まれます。
信頼性の柱
信頼性の柱は、システムが障害や不具合から迅速に回復し、正常に機能し続ける能力を確保することです。冗長性の確保や自動復旧の設定、動的スケーリングの実装がその一例です。
また、バックアップとリストアの仕組みを導入することで、データの安全性を向上させます。
セキュリティの柱
セキュリティの柱は、データとシステムの保護を目的とします。IAM(Identity and Access Management)を使用してアクセス制御を厳格化し、データを暗号化することで、情報の機密性と完全性を確保します。
また、監視ツールやログの活用により、不正アクセスや脅威を早期に検出します。
パフォーマンス効率の柱
パフォーマンス効率の柱は、リソースを最適に活用し、システムの応答性を高めることを指します。
キャッシュの利用やコンピューティングリソースのスケーリングを適切に設定することで、負荷に応じた効率的な動作を実現します。定期的なリソースの評価と最適化が重要です。
コスト最適化の柱
コスト最適化の柱は、必要なリソースを最小限に抑えながら、パフォーマンスを維持することを目指します。
スポットインスタンスやリザーブドインスタンスの活用により、コストを削減を実現することもその一部です。また利用状況の監視と分析を行い、不要なリソースを削除することで無駄を省きます。
運用上の優秀性の柱
運用上の優秀性は、日常的な運用タスクの効率化と継続的な改善を促進します。運用手順の自動化やモニタリングシステムの導入により、運用負荷を軽減するための取り組みです。
運用中のデータを分析し、問題の早期発見と解決を可能にすることで、システムの安定性を向上させます。
AWS設計の際に役立つ公式テンプレートリンク

AWSは、設計業務の効率化や品質向上に向け、公式にテンプレートやリファレンスアーキテクチャを提供しています。これらを活用することで、迅速に設計を開始し、必要なリソースを効率的に導入可能です。
以下は、AWS設計に役立つテンプレートが見つかるリンクです。
形で考えるサーバーレス設計
こちらのページでは、設計パターンをユースケース主導で紹介しています。やりたいことからその目的に応じた設計パターンを選ぶことで、素早く必要な設計を行えるようになるのが特徴です。
AWSアーキテクチャセンター
AWSアーキテクチャセンターは、公式の設計ガイドや事例が豊富に揃っています。業界別で検索可能なフィルタリング機能を備え、AWS運用についての理解を深められる重要なレファレンスページです。
初心者から上級者までが活用できるリソースが揃っており、設計の各ステップで直面する課題に対して、実践的な解決策を提供します。
目的別クラウド構成と概算料金例
こちらのページは、代表的なクラウド構成を目的別に紹介しているだけでなく、その構成を組む上で必要な概算料金を紹介しているのが特徴です。
利便性とコストパフォーマンスのバランスを考える上で役に立つ情報がまとめて確認できるため、プロジェクトにおける最適解を探すためのヒントが見つかるでしょう。
AWSリファレンスアーキテクチャ図
リファレンスアーキテクチャ図を活用することで、標準的なベストプラクティスを学びながら、自分の設計に応用できます。AWS Architecture Iconsを使った、効率的で見やすいアーキテクチャ図を作る上で便利です。
アーキテクチャ図描画に役立つ「AWS Architecture Icons」について

AWSは、公式のアーキテクチャアイコンを専用のサービス「AWS Architecture Icons」にて提供しています。同サービスを利用することで、経験の浅い担当者も視覚的にわかりやすい設計図を描けます。
AWS Architecture Iconsを活用する最大のメリットは、コミュニケーションの改善です。技術的な背景が異なるメンバー間でも、標準化されたアイコンや描画ルールにより、情報共有をスムーズに行えます。
また、これらのアイコンは統一されたデザインと意味を持ちます。ドキュメントやプレゼンテーション資料においても一貫性を保ち、情報共有能力を維持できるでしょう。
AWSでアーキテクチャ図を設計する際のポイント

AWSのアーキテクチャ図を設計する際には、AWSが公式に明示している設計ポイントを意識するのが有効です。
絶対の正解を求めない
クラウド設計には柔軟性が求められます。要件や状況に応じて適切な解を導き出すことが重要です。特定の正解に固執するのではなく、プロジェクトのニーズに合わせた最適な設計を見つけることが重要です。
このアプローチは、プロジェクトの進行中に発生する、急な変更要求にも迅速に対応できる設計を生み出す助けとなります。AWSでは多様なサービスが提供されているため、これらを自由に組み合わせながら、柔軟なソリューションを構築できるでしょう。
サービスの位置関係に注目する
各サービス間のデータフローや依存関係を明確にし、図に反映することで設計の意図を伝えやすくすることが大切です。これにより、システムの全体像を把握しやすくなり、開発者や運用者がスムーズに作業を進められるようになります。
また、データの流れを視覚化することで、ボトルネックや非効率な部分を早期に特定することもできます。ネットワークトポロジーやデータベース接続の設計時には、これらの関係性を正確に描き出すことが重要です。
自由な表現を心がける
アーキテクチャ図は、必ずしも形式にとらわれる必要はありません。チームやクライアントに理解しやすい形で表現することを前提に、描画を行うべきです。
特に、プレゼンテーションやドキュメントに使用する際には、視覚的なわかりやすさが重要なポイントとなります。視覚的要素に工夫を加えることで、見る人の関心を引きつけることができれば、結果的に意思決定を高速化してプロジェクトを円滑に進められるでしょう。
柔軟な表現は、技術的な理解度が異なるメンバー間のコミュニケーションを円滑にします。
紙とペンを使う
初期段階ではツールよりも紙とペンでラフに描き、アイデアを広げるのがおすすめです。このプロセスは、自由な発想を引き出し、複雑な概念をシンプルに整理する助けとなります。
詳細な設計を進めたり、アイデアの方向性を決定したりする場面では、紙とペンの手軽さが役立ちます。加えてチームメンバーが一緒にラフスケッチを描くことで、アイデアの共有や議論が活性化し、より優れた設計につながります。
これにより、初期の曖昧なアイデアを具体的な形に変えることが可能です。
積極的にツールを活用する
アーキテクチャ図のクオリティを高めるには、専用ツールの導入も検討しましょう。
LucidchartやDraw.ioなどのツールを活用することで、洗練されたアーキテクチャ図を作成できます。
これらのツールは、作成した図面の共有や編集が容易であるだけでなく、チーム全体のコラボレーションを促進します。また、AWSが提供する専用のアーキテクチャアイコンを使用することで、図の統一性を保ちつつ、見栄えの良い設計図の作成にもつながるのがポイントです。
クラウドベースのツールを使用することで、リモートワーク環境においてもスムーズな協力体制を築くことができるでしょう。
まとめ

この記事では、AWS設計におけるテンプレートの重要性や、どのようにテンプレートを活かしていくべきかについて解説しました。
AWS設計を効率化するには、テンプレートや公式のリソースを活用し、基本原則に基づいて柔軟かつ明確なアプローチを取ることが重要です。また、アーキテクチャ図を効果的に活用することで、チーム全体の理解を深め、プロジェクトの成功率を高めることができます。
今回紹介したポイントを踏まえて、AWS設計をより効率的に、高品質に作成していきましょう。