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AZ-500試験とは? Azureセキュリティの資格を取得できるMicrosoft認定試験を徹底解説!

AZ-500試験とは? Azureセキュリティの資格を取得できるMicrosoft認定試験を徹底解説!

クラウド環境の拡大に伴い、セキュリティ対策の重要性はますます高まっています。Azureのような大規模なクラウドプラットフォームにおいて、安全かつ信頼性の高い環境を構築・運用するためには、高度なセキュリティ知識が不可欠です。

Microsoft Azure Security Engineer Associateの認定資格を取得するための試験であるAZ-500は、Azureのセキュリティを深く理解し、実践的なスキルを習得したいエンジニアにとっての登竜門です。

本記事では、AZ-500試験の概要から、具体的な試験対策、そしてAzureセキュリティエンジニアの役割まで、幅広く解説していきます。

Microsoft認定資格とは

Microsoft認定資格とは

Microsoft認定資格は、マイクロソフト製品に関する深い知識と実践的なスキルを持つことを証明する、世界的に認められた資格です。製品の種類や役割、難易度など、さまざまな種類の資格が用意されており、それぞれの資格を取得することで、自身のスキルアップとキャリアアップを図ることができます。

Azureのようなクラウドプラットフォームがますます重要となる現代において、Microsoft認定資格は、企業のデジタル変革を推進する上で不可欠な存在となっています。

なぜMicrosoft認定資格を取得すべきか?

Microsoft認定資格を取得することで、以下のようなメリットが得られます。

  • キャリアアップ: 認定資格はスキルを客観的に評価する指標となります。特にAzureのような成長著しい分野においては、認定資格が採用や昇進にプラスに働くことでしょう。
  • 専門性の証明: 認定資格により特定の技術分野に精通していることを証明できます。同僚や上司、取引先からの信頼を得やすくなるでしょう。
  • 学習のモチベーション向上: 認定資格取得に向けて学習することで、ITスキルを体系的に習得できます。
  • グローバルな通用性: Microsoft認定資格は世界中で認められており、海外での就職や転職にも有利に働く可能性があります。

Azure認定資格の体系

Azureの認定資格は、大きく分けて以下の3つのレベルに分けられます。

  • Fundamentals: Azureの基本的な知識を問うレベル
  • Associate: Azureの特定の役割(例:Administrator、Developer、Security Engineer)に関する中級レベルの知識を問うレベル
  • Expert: Azureの専門知識と実務経験を問う上級レベル

AZ-500試験は、Associateレベルに属し、Azure Security Engineer Associateという資格を取得するための試験です。Azureのセキュリティに関わる幅広い知識とスキルが求められます。

Azure Security Engineer Associateの役割

Azure Security Engineer Associateは、Azure環境のセキュリティを担う専門家です。具体的には、以下の業務を行います。

  • IDとアクセスの管理: Azure Active Directory (Azure AD) を活用し、ユーザーやグループの認証・認可を設定します。
  • ネットワークセキュリティ: 仮想ネットワーク、ネットワークセキュリティグループ、Azure Firewallなどを利用して、ネットワークを保護します。
  • データの保護: データ暗号化、アクセス制御、バックアップなど、データを保護するための対策を実施します。
  • 脅威検知と対応: Azure Security Centerなどを活用し、セキュリティ脅威を検知し、適切な対応を行います。
  • コンプライアンス: 各国のセキュリティ規制や業界標準に準拠するための対策を実施します。

Azure Security Engineer Associateは、Azure環境全体のセキュリティを担う重要な役割を担っています。

AZ-500試験の試験形式や出題範囲は?

AZ-500試験の試験形式や出題範囲は?

試験形式と受験方法

AZ-500試験は、ピアソンVUEを通じて受験することができます。受験者はPCで回答を入力します。出題形式は、選択式シナリオベース、短答、ドラッグ&ドロップ(項目を正しい位置に移動する)などが混在しています。

  • 選択式: 複数の選択肢の中から、最も適切な答えを選ぶ問題です。Azureの各サービスに関する知識や設定方法などが問われます。
  • シナリオベース: ある特定のシナリオが与えられ、その状況下で適切な解決策を選ぶ問題です。実務で起こりうる状況を想定した問題が多く、応用力を試されます。

試験時間は150分で、問題数は40問~60問程度とされています。

AZ-500試験の合格点は700点です。試験は1000点満点で、700点以上のスコアを取得する必要があります。

出題範囲の傾向と対策

AZ-500試験の出題範囲は、大きく分けて以下の4つの領域に分類されます。

  • IDとアクセス管理 (25-30%):Microsoft Entra ID、ロールベースアクセス制御、条件付きアクセスなど、アイデンティティとアクセス管理に関する深い理解が求められます。
  • セキュリティで保護されたネットワーク (20-25%):仮想ネットワーク、ネットワークセキュリティグループ、Azure Firewallなど、ネットワークセキュリティの設計と実装に関する知識が必須です。
  • コンピューティング、ストレージ、データベースのセキュリティ保護 (20-25%):仮想マシン、ストレージアカウント、SQLデータベースなど、さまざまなリソースのセキュリティ対策に関する知識が求められます。
  • セキュリティオペレーションの管理 (25-30%):Azure Policy、Azure Blueprints、Microsoft Defender for Cloudなど、セキュリティ体制の構築と運用に関する知識が評価されます。

順番に解説していきます。

IDとアクセス管理

ここでは、Microsoft Entraを使用してIDの管理や保護するための技術が問われます。特に、多要素認証(MFA)やパスワードレス認証の実装、シングルサインオン(SSO)の統合といった認証強化の技術が試験の重点部分となっています。セキュリティの観点からは、外部IDや条件付きアクセスポリシーの移用、そしてMicrosoft Entra ID Protectionの適用が重要です。

特に、Microsoft Entra Privileged Identity Management(PIM)を使った特権アクセス管理は、セキュリティリスクを軽減する上で重要ですが、設定が複雑になりがちなので、実際に手を動かして習熟しておくことが重要です。試験勉強をする際には、実際にAzureポータルでこれらの機能を設定し、その効果を体験して理解を深めておくと良いでしょう。

セキュリティで保護されたネットワーク

Azureのネットワークセキュリティは多層防御の考えに基づいています。仮想ネットワーク内でのセキュリティグループの利用や仮想ネットワークピアリングをどう実装するかだけでなく、VPN接続やExpressRouteでの暗号化設定も重要なテーマです。

NSG(Network Security Group)やASG(Application Security Group)の設定、VPNゲートウェイの実装、プライベートエンドポイントの構成など、基本的なネットワークセキュリティから、より高度なDDoS対策まで、幅広い知識が必要となってきます。特に、Azure Firewallの実装やWAF(Web Application Firewall)の設定については、実践的な知識が求められるため、十分な学習が必要となるでしょう

シナリオベースの問題に対応するため、Azureのネットワーク構成の原理を理解し、現場のニーズに応じた適切な設定を判断できるようにしておきましょう。

コンピューティング、ストレージ、データベースのセキュリティ保護

ここでは、Azure Kubernetes Service(AKS)やAzureコンテナサービスのセキュリティ構成についての知識が求められます。ストレージセキュリティの面では、データのアクセス制御や暗号化の仕組みなどが試験に取り上げられます。特に、データベースの保護では、データの暗号化や監査機能の活用方法を理解し、それを実践に応用する力が試されます。

この分野では、実際にAzure上で構成を試し、どの施策がどのようにセキュリティを強化するかを体感することが重要です。暗号化に関する設定(TDE、Always Encrypted)については、特に深い理解が必要となるため、重点的に学習することをお勧めします。

セキュリティオペレーションの管理

最後の分野は、セキュリティの監視、脅威への対応、セキュリティ態勢の管理など、日々のセキュリティオペレーションに関する内容です。

Azure Policyを使用したセキュリティ管理、Key Vaultの構成、Microsoft Defender for Cloudの活用など、実務で必要となる運用管理の知識が必要です。特に、Microsoft Sentinelを使用したセキュリティ監視とインシデント対応については、実践的な理解が求められます。このセクションは、実際のセキュリティ運用に直結する内容が多いため、実環境での経験が役立つでしょう。

AZ-500の試験対策とは? 実践的な演習経験を積む

AZ-500の試験対策とは? 実践的な演習経験を積む

AZ-500試験に合格するためには、Azureのセキュリティに関する幅広い知識と、実践的なスキルが求められます。本章では、試験対策の全体像を捉え、効率的な学習方法について解説します。

基礎知識の習得

Azureの基本的な概念、サービス、セキュリティの原則をしっかりと理解することが、試験合格の第一歩です。Microsoftが提供している学習教材として以下の2つがあります。

  • Microsoft Learn: Microsoftが提供する無料のオンライン学習プラットフォームです。インタラクティブな学習環境で、Azureの基礎から応用まで幅広く学ぶことができます。
  • 公式ドキュメント: Microsoftの公式ドキュメントは、試験範囲を網羅した最も信頼できる情報源です。

順番に解説していきます。

①Microsoft Learn
AZ-500試験対策の基礎として、まずはAzureの基本的な概念、サービス、セキュリティの原則をしっかりと理解することが重要です。ここでは、Microsoftが提供する無料オンライン学習プラットフォームであるMicrosoft Learnが非常に役立ちます。Microsoft Learnは、インタラクティブな学習環境を提供しており、Azureの基礎から応用まで、自分のペースで学習を進めることができます。動画やハンズオンラボも豊富に用意されているため、実際に手を動かしながら楽しく学習することができます。 

②Microsoftの公式ドキュメント
Microsoft Learnと並行して、Microsoftの公式ドキュメントも積極的に活用していきましょう。公式ドキュメントは、試験範囲を網羅した最も信頼できる情報源です。それぞれのサービスの詳細な機能や設定方法、最新情報などを深く理解することができます。

実践的な演習

Azure PortalやAzure CLIを使って、実際に手を動かしながら学習を進めましょう。ハンズオンラボやチュートリアルを活用し、様々なシナリオを体験することで、より深い理解が得られます。

実戦経験を積む手段として以下の2つが有効です。

  • Microsoft Learnのハンズオンラボ: Microsoft Learnでは、各サービスの操作を体験できるハンズオンラボが多数提供されています。
  • GitHubのサンプルコード: GitHubで公開されているサンプルコードを参考に、Azureのセキュリティ設定をカスタマイズしてみましょう。

順番に解説します。

①Microsoft Learnのハンズオンラボ
Microsoft Learnで提供されるハンズオンラボは、実践的なスキルを身につける上で最適な学習環境です。ラボ環境はMicrosoftが用意してくれるため、環境構築の手間をかけることなく、すぐに学習を始めることができます。

②GitHubのサンプルコード
GitHubで公開されているサンプルコードも参考に、Azureのセキュリティ設定をカスタマイズしてみることで、より実践的なスキルを身につけることができます。 さらに、自分で仮想ネットワークや仮想マシンを作成し、ファイアウォールやセキュリティポリシーを設定してみるなど、より実践的なシナリオを想定した学習に取り組むことで、試験で問われる応用力を高めることができます。

コミュニティを活用

試験勉強は、時に孤独でモチベーションが維持しにくいものです。そこで、積極的にAzureに関するコミュニティやフォーラムに参加し、他の受験者と情報交換したり、疑問点を質問したりすることで、モチベーションを維持しながら学習を進めていきましょう。

  • Microsoft Learnのコミュニティ: 他の学習者と質問し合ったり、情報交換が可能です。
  • Stack Overflow: Azureに関する質問であれば、Stack Overflowに多数の回答が掲載されています。
  • X(旧Twitter): Azure関連のハッシュタグを検索することで、最新の情報を収集できます。

Microsoft Learnのコミュニティは、他の学習者と繋がることができる絶好の場です。また、Azureに関する技術的な質問は、Stack Overflowで検索すると、多くの場合、すでに解決策が提示されています。

また、X(旧Twitter)でAzure関連のハッシュタグをフォローすることで、最新のニュースや技術情報を入手することができます。関係ない情報に目を奪われないよう、特定のアカウントだけを閲覧できるリストを作成しておくと良いかもしれません。

試験対策のポイント

最後に、試験対策のポイントをまとめておきます。

①セキュリティの原則を理解する
CIAトライアド(機密性、完全性、可用性)など、セキュリティの基礎的な概念を理解しましょう。

②Azureのセキュリティ機能を網羅的に学ぶ
Azure Security Center、Azure Firewall、Azure Key Vaultなど、様々なセキュリティ機能の役割と設定方法を網羅的に学習しましょう。

③実践的なシナリオを想定した学習
実務で起こりうる様々なシナリオを想定し、適切なセキュリティ対策を考えられるようにしましょう。

④最新の情報を収集する
Azureのセキュリティ機能は常に進化しているため、最新の情報を収集し続けることが重要です。

まとめ

AZ-500試験に合格するためには、Azureのセキュリティに関する幅広い知識と、実践的なスキルが不可欠です。Microsoft Learnでの学習、公式ドキュメントの精読、ハンズオンラボの実践を通じて、着実に知識と経験を積み重ねましょう。また、実務で起こりうる様々なシナリオを想定した学習も効果的です。

Azureのセキュリティは常に進化しているため、最新の情報を収集し続けることも忘れないようにしましょう。Azureセキュリティの世界は広大で奥深く、学ぶことは尽きませんが、一歩ずつ着実に進んでいけば、必ずスキルアップにつながっていきます。

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