
Gemini 2.5 Pro Previewが登場!GPT-4o、DeepSeek R1、Grok 3との性能を比較
2025年5月6日、GoogleはAIモデル「Gemini 2.5 Pro」の最新バージョン「Gemini 2.5 Pro Preview (I/Oエディション)」を発表した。コーディング能力の大幅な向上が特徴だ。
Gemini 2.5 Proは、特にインタラクティブなウェブアプリの構築に特化している。本リリースは、もともとGoogleが年1回開催する開発者向けイベント「Google I/O 2025」での発表が予定されていたが、開発者の期待に応え、2週間前倒しで発表された。
本記事では、アップデートの詳細を紹介すると共に、ウェブアプリの構築やコーディングに強いとされるGrok 3、OpenAIのGPT-4o、DeepSeekのR1など競合AIとの機能比較、ユースケースをまとめる。
アップデート内容:コーディングとマルチモーダル性能の飛躍
Gemini 2.5 Proは、Google AI StudioやVertex AIを通じて提供される。GeminiアプリのCanvas機能にも反映されている。詳細は公式のリリース内容を確認してほしいが、以下に主な特徴を記載する。
コーディング能力の強化
コード生成、変換、編集の精度が向上した。フロントエンド開発やUI設計で優れた性能を発揮する。WebDev Arena Leaderboardで147 Eloポイントを上回り、首位を獲得した。LiveCodeBench v5で70.4%から75.6%へスコアが向上している。
ビデオ理解の進化
VideoMMEベンチマークで84.8%を記録した。動画から学習アプリを生成する。ビジュアルデータの処理能力が向上している。YouTube動画を基にした学習アプリのUIが洗練された。
エージェント型ワークフローのサポート
複雑なタスクを自動化する。開発者の作業効率を向上させる。機能呼び出しのエラー削減やトリガー率の改善を実現した。
マルチモーダル対応
テキスト、画像、動画、音声を処理する。最大100万トークンの長文コンテキストに対応する。Google DocsやSheetsとの連携が強化された。
競合AI(Grok 3、OpenAIのGPT-4o、DeepSeekのR1)との比較表
Gemini 2.5 Proは、xAIのGrok 3、OpenAIのGPT-4o、DeepSeekのR1といった競合AIと比較して、以下の点で独自性を発揮している。以下の表に、主要な特徴を、比較してまとめる。
項目 | Gemini 2.5 Pro | xAI Grok 3 | OpenAI GPT-4o | DeepSeek R1 |
---|---|---|---|---|
ウェブ開発性能 | WebDev Arena Leaderboardで首位(147 Eloポイント向上)。UI/フロントエンドに特化。 | コーディングに強い(HumanEval 86.5%)。ウェブ開発特化のデータは限定的。 | コーディング可能だが、ウェブ特化のベンチマークでGeminiに劣る。 | コーディングに強い(LeetCode Hard 87%)が、UI特化はGeminiに劣る。 |
マルチモーダル対応 | テキスト、画像、動画、音声対応。VideoMME 84.8%。動画ベースアプリ生成が強力。 | 画像生成(Aurora)対応。音声や動画処理の詳細は不明。 | テキスト、画像対応。動画処理は限定的。 | テキスト中心。マルチモーダルサポートなし。 |
コンテキスト長 | 最大100万トークン(近日中2百万)。Googleエコシステム統合。 | 最大100万トークン。Xプラットフォームとのリアルタイム統合。 | 最大128千トークン。長文処理はGeminiやGrokに劣る。 | 最大128千トークン。長文処理は可能だがGeminiに及ばず。 |
ベンチマーク性能 | AIME 92.0%、GPQA 84.0%。ウェブアプリ生成と推論でリード。 | AIME 93.3%、GPQA 84.6%。科学的推論とリアルタイム検索が強み。 | MMLU高スコア。汎用性高いが特化性能で劣る場合あり。 | AIME 79.8%、MATH-500 97.3%。数学と論理推論に特化。 |
コスト効率 | 無料利用可能(制限あり)。APIは高め。 | 無料(X Premiumで拡張)。API準備中、価格未定。 | 有料($20/月~)。API高コスト($15/百万トークン)。 | 無料かつオープンソース。API最安($2.19/百万トークン)。 |
強み | ウェブアプリ開発、動画処理、Googleツール統合。 | 科学的推論、リアルタイム検索(DeepSearch)、コード生成。 | 汎用性、会話の流暢さ、クリエイティブライティング。 | コスト効率、数学/論理推論、コード生成。 |
弱み | 科学的推論やリアルタイム検索はGrokに劣る。 | マルチモーダル対応がGeminiほど広範でない。 | 長文コンテキストやウェブ特化性能でGeminiに劣る。 | マルチモーダルなし、UI生成や事実性でGeminiに劣る。 |
Gemini 2.5 Proは、ウェブアプリ開発とマルチモーダル処理で他をリードし、開発者向けの生産性向上に最適。
一方、Grok 3は科学的推論やリアルタイム検索、GPT-4oは汎用性と会話、DeepSeek R1はコスト効率と数学/論理に特化している。以下で、それぞれの詳細もまとめる。
Gemini 2.5 Pro
ウェブ開発に特化し、WebDev Arena Leaderboardでの首位獲得(147 Eloポイント向上)が示す通り、UI設計やフロントエンド開発で卓越。動画処理(VideoMME 84.8%)やGoogleエコシステム統合が強み。長文処理(最大200万トークン予定)は他を圧倒。科学的推論やリアルタイム検索ではGrok 3にやや劣る。
xAI Grok 3
AIME 93.3%やGPQA 84.6%で科学的推論に優れ、HumanEval 86.5%でコーディングも強力。DeepSearchモードやXプラットフォーム統合によりリアルタイム情報処理が得意。マルチモーダルは画像生成(Aurora)に限られ、動画や音声処理はGeminiに劣る。Chatbot Arenaで1402 Eloを記録し、総合力が高い。
OpenAI GPT-4o
汎用性が高く、会話の流暢さやクリエイティブライティングで優れる(MMLU高スコア)。画像処理は可能だが、動画処理やウェブ開発特化性能はGeminiに及ばず。コンテキスト長(128千トークン)は短めで、APIコストが高い($15/百万トークン)。
DeepSeek R1
MATH-500 97.3%で数学と論理推論に特化。LeetCode Hard 87%でコーディングも優秀。オープンソースかつ低コスト($2.19/百万トークン)が最大の強み。ただし、マルチモーダル対応がなく、UI生成や事実性でGeminiに劣る。地域制限(中国)やサーバー不安定さが課題。
ユースケース:開発者からクリエイターまで
Gemini 2.5 Proの機能は多岐にわたり、以下のシーンで活用可能だ。ユースケースの例を紹介する。
ウェブアプリのプロトタイピング | スケッチや画像からウェブアプリを構築する。マイクUIアニメーション付きディクテーションアプリを生成する。レスポンシブデザインを自動実装する。 |
教育コンテンツの生成 | YouTube動画から学習アプリを生成する。視覚的かつ直感的な教材を作成する。マニュアル作成の手間を削減する。 |
エージェント型自動化 | 複雑なワークフローを自動化する。ReplitやCognitionとのコラボレーションでコードリファクタリングやバグ修正を効率化する。 |
3Dアプリ開発 | 画像や動画を基に3Dシティシミュレーションやゲームを開発する。単一プロンプトからコードを生成する。 |
今後の展望:AIが切り開く開発の未来
Gemini 2.5 Proは単なるツールを超え、創造力を増幅するパートナーになるだろう。開発の可能性は、無限に広がっている。