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Azureコストの計算方法とは?料金の仕組みと併せて徹底解説

Azureコストの計算方法とは?料金の仕組みと併せて徹底解説

Azureは企業のクラウドインフラを支える基盤として多くの場面で活用されていますが、適切に利用しないとコストが予想以上に膨らむリスクがあります。特に、リソースの選択や運用方法によって料金が大きく変動するため、効果的なコスト計算と管理が不可欠です。

本記事では、Azureの基本的な料金体系や従量課金・予約インスタンスの違い、具体的なリソースごとの料金計算方法、コストを最適化するためのポイントまで、Azureコストの仕組みを徹底解説します。

Azureを効果的に活用しつつ、コスト削減を目指したいご担当者様は、ぜひご一読ください。

Azureの基本的な料金体系

Azureの基本的な料金体系

Azureの基本的な料金体系は、主に「従量課金制」と「予約インスタンス」の2つのモデルに分かれています。ここでは、2つの料金体系について解説します。

従量課金制

従量課金制は、使用した分だけ料金が発生する方式です。

仮想マシン(VM)、ストレージ、ネットワークなどのリソースについて、使用した時間や量に基づいてコストが計算されるため、需要に応じて自由にリソースを増減できるのが特徴です。

短期間の使用や、需要が不定期なプロジェクトに向いていますが、長期間使用するほどコストが高額になる点には注意が必要です。

予約インスタンス

予約インスタンスは、特定のリソースを1年または3年単位で事前に予約することで、従量課金制に比べて大幅に割引が適用される料金体系です。

長期間にわたって安定的にリソースを利用する見込みなら、コストを抑えやすい予約インスタンスの利用がおすすめです。ただし、契約期間中はリソースの変更が難しいため、事前の需要予測を十分に行い、費用対効果を明らかにしておくことが大切です。

Azureの料金計算方法

Azureの料金は、使用するサービスごとに異なる価格が設定されており、それぞれの利用状況に基づいてトータルコストが決まります。ここでは、仮想マシン、ストレージ、ネットワークの3つの代表的なサービスの料金構成について解説します。

仮想マシン(VM)

Azureの仮想マシンは、選択するインスタンスタイプ(サイズ、CPU、メモリ)や利用時間に基づいて料金が決まります。前述のように、従量課金制では使用した時間単位で課金され、予約インスタンスでは1年または3年間の事前契約を結ぶことで、大幅な割引を受けられます。

また、使用するOSやリージョンによっても料金が異なります。例として、下記に2種類の仮想マシンの金額イメージを紹介します。

小規模アプリケーションや軽量テスト環境向けの仮想マシン

下記の構成は、小規模アプリケーションや軽量テスト環境向けの仮想マシンを用意する場合の料金イメージです。

契約タイプ:B1s(1 vCPU、1 GB RAM)
従量課金制:月額約500円〜1,000円程度
1年予約インスタンス:月額約400円〜600円程度
3年予約インスタンス:月額約300円〜500円程度

中小規模のデータベースやWebサーバーの運用に適した仮想マシン

中小規模のデータベースやWebサーバーの運用に適した仮想マシンを用意する場合の料金イメージは、次の通りです。

契約タイプ:D2s_v3(2 vCPU、8 GB RAM)
従量課金制:月額約7,000円〜15,000円程度
1年予約インスタンス:月額約5,000円〜10,000円程度
3年予約インスタンス:月額約4,000円〜8,000円程度

ただし、どちらのパターンでも、開発規模が拡大したり、使用時間が長くなったりするとコストが膨らむ可能性があるため、事前に十分な見積もりを行いましょう。

ストレージ

ストレージサービスには、主にBlobストレージやディスクストレージなどがあります。具体的な料金は、スタンダード・プレミアムといったストレージの種類や、データ量、アクセス頻度に依存します。

特に、頻繁にデータを読み書きする場合は高性能なストレージが必要となるため、その分料金も増加します。また、保存するデータ量だけでなく、読み出しや書き込みの操作回数にも課金される点には注意が必要です。

下記は、ストレージ料金の一例です。

Blobストレージ

ホットアクセス(頻繁にアクセスするデータ向け)

  • データ保存料金:月額約1円/GB〜2円/GB
  • データ読み出し料金:0.005円〜0.01円/10,000回の読み出し
  • 用途:頻繁にアクセスが予想される画像やドキュメント、動画の保存

クールアクセス(アクセス頻度が低いデータ向け)

  • データ保存料金:月額約0.5円/GB〜1円/GB
  • データ読み出し料金:0.02円〜0.05円/10,000回の読み出し
  • 用途:バックアップデータやアーカイブ前のデータ

アーカイブアクセス(普段、ほとんどアクセスしないデータ向け)

  • データ保存料金:月額約0.1円/GB〜0.2円/GB
  • データ読み出し料金:データ取得時に追加費用がかかり、遅延も発生する
  • 用途:長期保管のアーカイブデータ

上記のように、アクセス頻度別にストレージを使い分けるのがコスト効率化のポイントです。

マネージドディスク

マネージドディスクは、主に仮想マシンのOSディスクや高い読み書き速度が必要なデータストレージとして使用します。

スタンダードSSD(一般的な用途向け)

  • 128GBディスク:約500円〜800円/月
  • 512GBディスク:約2,000円〜3,000円/月

プレミアムSSD(高パフォーマンスが求められる用途向け)

  • 128GBディスク:約1,000円〜1,500円/月
  • 512GBディスク:約4,000円〜6,000円/月

基本的には標準SSDを採用し、高いパフォーマンスを発揮する必要がある場合に限り、プレミアムSSDを使うと良いでしょう。

Azure Files(ファイル共有ストレージ)

Azureにおけるファイア共有ストレージは、「Azure Files」という名称で提供されています。主にアプリケーションデータの共有や、企業内のファイル共有環境として利用します。

  • 標準パフォーマンス:月額約2円/GB〜3円/GB
  • プレミアムパフォーマンス:月額約10円/GB〜15円/GB

高パフォーマンスが求められる場合は、限定的にプレミアムパフォーマンスを利用すると良いでしょう。

ネットワーク

Azureのネットワークサービスは、主にデータ転送量と帯域幅に基づいて料金が決まります。Azure内でのデータ転送は無料ですが、Azure外へのデータ送信(アウトバウンドデータ転送)は課金対象です。

また、仮想ネットワークや負荷分散サービス、VPNゲートウェイなどを利用する場合も、それぞれのリソース使用に応じて追加コストが発生します。下記に、主な料金を紹介します。

データ転送料金

データ転送料金は、画像や動画、ファイル配信など、Webアプリケーションやサービスのデータ提供の際に利用するケースが多いです。Azureで規定されている料金は下記の通りです。

  • インバウンドデータ転送(Azureにデータを取り込む場合):無料
  • アウトバウンドデータ転送(Azureからデータを外部へ転送する場合)
    • 5GB/月までは無料
    • 5GBを超える場合の料金(例:米国リージョンからの転送)
      • 5GB〜10TB:月額約10円/GB〜15円/GB
      • 10TB〜50TB:月額約8円/GB〜12円/GB
      • 50TB以上:月額約5円/GB〜10円/GB

前述のように、インバウンドデータ転送は無料ですが、アウトバウンドデータ転送には課金されるため、事前の見積もりが重要になります。

VPNゲートウェイ

VPNゲートウェイは、オンプレミス環境とAzureを接続し、安全な通信を確保するために使用されます。帯域幅に応じて価格が設定されています。

  • 基本VPNゲートウェイ:月額約1,000円〜1,500円
  • スタンダードVPNゲートウェイ:月額約3,000円〜6,000円
  • 高パフォーマンスVPNゲートウェイ:月額約10,000円〜15,000円

高パフォーマンスを求めるほど費用が高くなるため、どの程度の帯域幅を確保する必要があるのかを慎重に検討する必要があります。

Azure Load Balancer(ロードバランサー)

ロードバランサ―は、トラフィックの分散や高可用性を実現するために使用します。特に、アクセス集中時のパフォーマンス維持に効果的です。

ロードバランサーはベーシックプランが標準で付帯していますが、より高い可用性が必要な場合は、スタンダードプランの導入を検討する必要があります。

  • ベーシックプラン:無料(データ転送量に基づいて課金)
  • スタンダードプラン
    • 月額約2,000円〜5,000円程度(インスタンス数によって変動)
    • データ転送料金は、アウトバウンド転送に基づいて月額約10円/GB〜15円/GB

小~中規模の運用であれば基本的には標準プランで十分ですが、求めるスペックに応じてスタンダードプランの契約を別途検討すると良いでしょう。

Azure CDN(コンテンツ配信ネットワーク)

Azure CDNは、Webサイトやアプリケーションの静的コンテンツを世界中のユーザーに高速配信する目的で使用します。

  • ベーシックプラン:月額約8円/GB〜15円/GB(配信データ量に基づく)
  • プレミアムプラン:月額約10円/GB〜20円/GB

リージョンによっても価格は異なるため、提供するサービス規模やユーザー数などをよく検討した上で、どちらを使用するか判断することが重要です。

その他のサービス

Azureでは、データベース(Azure SQL Database)やAIサービス、App Serviceなど、さまざまなサービスが提供されており、それぞれに固有の料金体系が用意されています。オプションとして利用したい場合は、これらのサービスにも利用量やスケーリングオプションに応じてコストがかかります。

オプションサービスは上手く活用すると便利ですが、利用する分だけコストが膨らむため、本当に必要かどうかをよく検討した上で契約することが大切です。

Azure料金計算ツールの使い方

Azure料金計算ツールの使い方

Azureには料金計算ツールが用意されており、事前の検討に活用できます。ここでは、料金計算ツールの基本操作や、円表示への切り替え方法、各リソースの設定と計算手順を紹介します。

料金計算ツールの基本操作

Azure料金計算ツールは、クラウドリソースのコストを事前に見積もるのに便利です。基本的な操作は、下記の通りです。

  1. Azure公式サイトの「料金計算ツール」にアクセスする
  2. 導入を検討しているサービスを選択する
  3. サービスごとにリソースの構成や利用量を設定する
  4. 選択したオプションに基づいて自動的に料金が表示される

仮想マシンやストレージ、ネットワークなどの主要サービスは、各リソースの選定が料金に大きく影響するため、慎重に設定する必要があります。

料金計算ツールを使うと、画面上でサービスを追加・削除するだけで、簡単にコストシミュレーションを行えるのが特徴です。

円表示への切り替え方法

Azure料金計算ツールでは、デフォルトでドルや他の通貨で料金が表示されますが、円表示にも簡単に変更できます。

計算ツールの画面右上に通貨オプションが表示されており、「JPY(円)」を選択することで、すべての料金が日本円で表示されます。

通貨を円に切り替えると、日本国内で導入する場合のより現実的なコストシミュレーションが可能になります。また、Azureでは為替レートの変動を考慮して定期的に料金が調整されるため、最新の料金が反映される点にも注意が必要です。

各リソースの設定と計算手順

料金計算ツールでは、仮想マシンやストレージ、ネットワークなどのリソースごとに詳細な設定が求められます。

例として、仮想マシン(VM)の設定では、下記のような項目の設定が必要です。

  • インスタンスの種類(CPU数、メモリ量)
  • オペレーティングシステムの種類
  • リージョン
  • 使用時間
  • 予約インスタンスの有無
  • ストレージの種類
  • データ量
  • アクセス頻度

各リソースの設定が完了すると、画面右側に合計コストが自動的に表示されます。リソースの変更や追加に伴う料金の変動を簡単に確認できて便利ですが、検討している内容をできるだけ正確に入力するように注意しましょう。

Azure料金計算ツールの具体的な活用例

ここからは、Azure料金計算ツールを活用してVM、ストレージ、ネットワークの料金を計算する手順を紹介します。

VMの料金計算手順

仮想マシン(VM)の料金計算は、下記の手順で行います。

  1. Azure料金計算ツールにアクセスする
  2. リソースの追加画面で「Virtual Machines」を選択する
  3. 使用する仮想マシンのインスタンスタイプを選択する
  4. リージョンを選び、WindowsやLinuxなどのオペレーティングシステムを指定する
  5. 使用時間の長さや予約インスタンスの有無を設定する

上記の設定を行うことで、料金が自動的に計算され、画面右側に合計コストが表示されます。

ストレージの料金計算手順

ストレージ料金の計算は、下記のように行います。

  1. Azure料金計算ツールにアクセスする
  2. 「ストレージアカウント」を選択する
  3. 使用するストレージタイプを選ぶ
  4. 必要に応じて冗長化オプションを選択する
  5. 保存するデータ量やアクセス頻度を設定する

アクセス頻度が高い場合は、パフォーマンスが高いストレージタイプを選ぶとより迅速なデータの読み書きが可能になります。一方、料金は高くなるため、自社のニーズに合わせて適切なスペックを選択しましょう。

ネットワークの料金計算手順

ネットワーク料金の計算は、他のリソースとは異なり、主にデータ転送量に基づいて行われます。計算の手順は下記の通りです。

  1. Azure料金計算ツールで「Virtual Network」を選択する
  2. アウトバウンドデータ転送(Azure外へのデータ送信量)を設定する
  3. 仮想ネットワークやVPN、ロードバランサーなど、追加のネットワークリソースを選択する

データ転送量が多いほどコストが増加するため、転送量や帯域幅を最適に設定することが重要です。全ての要素を入力すると、自動的に計算された料金が画面右側に表示され、リアルタイムでコストを確認できます。

Azureのコスト計算でよくあるミスと対策

Azureのコスト計算でよくあるミスとして、リソースの過剰見積もりやリージョン・インスタンスタイプ選択の間違い、無駄なリソース放置などが挙げられます。ここでは、3つのよくあるミスと対策を解説します。

リソースを過剰に見積もってしまう

Azureのコスト計算で起こりがちなミスのひとつに、必要以上にリソースを割り当ててしまうことが挙げられます。特に、仮想マシンやストレージでは過剰なスペックや容量を見積もりやすく、結果的にコストが膨らんでしまいます。

対策としては、初期段階で必要なリソースを少なめに設定し、後からスケーリングする方法を取るのが有効です。

Azureには自動スケーリング機能が用意されているため、必要に応じてリソースを増減でき、効率的なコスト管理が可能です。定期的に使用状況をモニタリングし、適切なリソース配分を維持することが重要です。

リージョンやインスタンスタイプ選択を誤る

Azureでは、選択するリージョンやインスタンスタイプによって料金が大きく異なります。特定のリージョンでは他のリージョンに比べてコストが高くなる場合があるため、事前に内容をよく確認することが大切です。

また、過剰なスペックのインスタンスタイプを選んでしまうことも、コストの無駄を生じさせる要因です。

事前に各リージョンの料金を確認し、サービスを提供する地域や利用目的に合わせて適切なリージョンとインスタンスタイプを選定しましょう。

無駄なリソースを放置する

リソースを使い終わった後に削除を忘れてしまい、無駄なコストがかかるケースもよく起こります。

仮想マシンやストレージを一時的に使用した後に、停止または削除せず放置すると、使用していないにもかかわらず課金が続いてしまいます。

対策としては、Azureの「Cost Management + Billing」や監視ツールを利用して、不要なリソースを自動的に停止または削除するルールを設定しておくのが効果的です。

定期的な監査やアラート設定を行うことで、無駄なリソースを削減し、トータルコストを抑えられます。

Azure料金計算ツールの活用によるコスト管理のコツ

Azure料金計算ツールの活用によるコスト管理のコツ

Azure料金計算ツールを活用して、よりコストを最適化するためには、シナリオごとの料金シミュレーションやリソース頻度に応じた料金プランの選択が有効です。ここでは、4つの観点から料金計算ツールを使ったコスト管理のコツを紹介します。

シナリオごとの料金シミュレーションを活用する

Azure料金計算ツールは、シナリオごとの料金シミュレーションに便利です。

例として、新規プロジェクトの立ち上げ時や既存のシステムをAzureに移行する際など、複数の構成パターンをシミュレーションすることで、最もコスト効率の高いリソース構成を見つけられます。

料金シミュレーションでは、リソースの利用時間や規模を細かく変更しながらコストを比較できるため、異なるインスタンスタイプやストレージオプションによる料金の違いを手軽に可視化できます。

複数のシナリオを比較・検討することで、自社にとって最適な構成を選びやすくなり、コストの最適化につながります。

リソースの利用頻度に応じた料金プランを選択する

リソースの利用頻度に応じた料金プランを選択することは、コスト管理において重要です。

常に稼働しているリソースに対しては、予約インスタンスを利用することでコストを削減できますが、短期間や不定期に使用するリソースには従量課金制が適しています。

また、Azureには「スポットインスタンス」という、Azureの余剰リソースを大幅な割引価格で利用できるオプションもあります。SLAが提供されないため、長時間の利用には向きませんが、ごく短期的な利用には重宝します。

料金計算ツールを活用してリソースの使用パターンを明確にし、それに基づいた最適なプランを選ぶのが、コストを効率化するためのポイントです。

リージョンごとの料金差を活用する

Azureの各リージョンには料金の違いがあり、同じリソースでもアジア、ヨーロッパ、アメリカなどの異なるリージョンでは料金が変動します。そのため、料金差を活用することでコストを削減できる可能性があります。

料金計算ツールで各リージョンのコストを比較して、最も費用対効果の高いリージョンを選ぶことをおすすめします。

ただし、リージョンの選定にはデータ遅延や法的規制も考慮する必要があるため、単純に安いリージョンを選ぶだけでなく、業務要件とのバランスを取ることが大切です。

リソースの自動スケーリング設定を計算に反映させる

需要に応じてリソースを自動的に増減させる自動スケーリング機能の設定を、料金計算に反映させることも重要です。

料金計算ツールでは、スケーリングによるリソースの変動を予測し、その内容に基づいた料金のシミュレーションが可能です。

例えば、アクセスが集中する時間帯だけリソースをスケールアップし、その他の時間帯は最小限のリソースにスケールダウンすると、無駄なコストを削減できます。このような設定を反映させることで、より現実的なコスト予測と最適化を行えます。

まとめ

Azure料金計算ツールを活用したコスト計算は、リソースの適切な選定や最適なプランの選定を進める上で重要です。

シナリオごとの料金シミュレーションを活用し、リソースの利用頻度やリージョンの選択、自動スケーリング機能などをうまく取り入れることが、コストを削減しつつ快適な環境を整えるためのポイントになります。

リソースの過剰見積もりや適切なリージョンの選択も考慮しながら、本記事で紹介した料金例も参考に、最適な構成を見極めましょう。

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