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各業界で増加するIT投資。セキュリティへの配慮も忘れずに

各業界で増加するIT投資。セキュリティへの配慮も忘れずに

IT予算の拡大は世界的なトレンドとなっており、DXの十分な浸透が見込まれるまで、しばらくはこの流れが継続すると考えられます。ただ見過ごされがちなのがセキュリティに関するIT投資の領域で、日本でもこの分野への関心は徐々に高まってきました。

あらゆる業種で増加するIT投資

あらゆる業種で増加するIT投資

株式会社富士キメラ総研:『業種別IT投資/デジタルソリューション市場 2024年版』まとまる(2024/8/29発表 第24080号)

2024年8月、富士キメラ総研は国内産業9業種を対象とした、IT投資額に関する調査を発表しました。2024年4月から8月にかけて集計を行った結果、全ての業種においてIT投資の金額は増加しているということです。

投資額が最も多かったのは、製造業界です。2023年度だけで、同業界では5兆円を超える支出が発生しており、2028年には10兆円近い規模の支出になると、予測しています。

調査を行なった9業種全体のIT投資は、2023年時点で21兆8,973億円に達し、2028年には26兆4,447億円となる見通しです。いずれの業界でも、コロナ禍で先送りとなっていた設備投資の復活や、半導体領域の活性化による投資拡大、コロナ禍収束に伴う人流の回復などが、IT投資を刺激したとしています。

業務効率化に向けたIT投資が主流

業務効率化に向けたIT投資が主流

高まる企業のIT投資熱は、具体的にどのような分野に向けられているのでしょうか。上述の調査結果によると、大きなトレンドとして現在見られるのが、従来型の投資と、DX関連の投資です。

従来型の投資とは、現行システムのパフォーマンス改善やコスト削減に向けたダウンサイジング、あるいはクラウドシフトといった取り組みにかけるための投資です。既存のプロセスを尊重しつつ、効率化を進めていくための予算が拡大しています。

DX関連の投資は、デジタル技術を活用したイノベーションに向けたIT投資です。AIやロボティクスの積極活用による業務の効率化・自動化といったものが、これに当てはまります。

いずれのIT投資も、人材不足の解消や競争力向上といった側面での効果が期待され、特に従来型投資がひと段落したのち、生成AIなどへのハイテク投資が一段進むと予想できます。

2024年に入り、物流業界では長時間労働の大幅な規制が始まったことで、デジタル技術を活用した抜本的な改革が求められています。トラックドライバーがこれまでのような長時間労働が行えなくなったことで懸念された「2024年問題」が到来し、大企業をはじめ、中小企業においてもスピーディな改革が進められていきました。

今後も法改正や慣習の変化に伴い、各業界でIT投資が加速していくことでしょう。

サイバーセキュリティ投資に注目する企業も増加

サイバーセキュリティ投資に注目する企業も増加

IT投資は業務効率化や競争力向上の側面が重視されますが、それらに劣らず重視されつつあるのがサイバーセキュリティへの投資です。

2024年8月、コンサルティング企業のリンクアンドパートナーズが発表した「企業のIT投資の実態調査」によると、企業におけるIT投資の中では「サイバーセキュリティ」が49.4%で最多という結果が現れています。

次点で「クラウドサービス」が46.9%、「人工知能(AI)」が36.5%と続いており、業務改善への意欲は衰えていないものの、それを上回るリスク管理の需要が生まれつつあることがわかります。

IT投資によって実現したいことという質問に対し、最多の回答となったのは、49.0%の「業務プロセスの効率化」です。それに続く形で「コスト削減」が39.7%、「サイバーセキュリティの強化」が39.3%となっており、セキュリティ対策の重要性が認知されてきたと言えるでしょう。

実際、サイバー攻撃の増加は企業のデジタル化の普及に比例する形で見られるようになってきた傾向でもあります。セキュリティの分野においては、限られた予算でどのように効果的な対策を講じるかが、今後の焦点となるでしょう。

DXによる収益拡大を目指せるセキュリティ投資のアプローチとは

デジタル化の推進とサイバー攻撃の増加が比例して進行している今日の状況をかえりみて、コンサルティング企業大手のアクセンチュアはセキュリティの徹底強化による収益性の拡大というアプローチの重要性を説いています。

同社の発表によると、グローバル企業において自社のセキュリティ対策が要求レベルを満たしている、あるいはそれ以上であるという企業ほど、高収益企業として活躍している傾向が見られるということです。場合によっては、強力なセキュリティ対策が進んでいる企業は、そうでない企業に比べ6倍も効果的なDXが実現できているという結果もあるなど、セキュリティ対策の収益貢献度は一般に知られている以上のものだと考えるべき結果です。

サイバー攻撃は今や次々と新しく多様な手法が採用されるようになり、その全てを防ぐことは不可能と言えます。攻撃は必ず受けるものであり、その被害を最小限に抑え、事業継続性を確保するためのゼロトラスト環境の構築が、セキュリティ投資において重視すべきポイントと言えるでしょう。

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