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AWS監視サービス徹底解説 CloudWatchの機能と導入メリットを紹介

AWS監視サービス徹底解説|CloudWatchの機能と導入メリットを紹介

AWS環境の運用において、システムの健全性と効率を保つために、適切な監視が欠かせません。AWSの多様なサービスを使用する中で、どのリソースがどのように動作しているかを把握し、異常や問題が発生した際に迅速に対応できる体制を整えることが重要です。

本記事では、AWS環境において特に注視すべき監視項目やAWS監視に必要な主要サービスについて解説します。

AWS運用では何を監視する必要があるのか?

AWSで効率よく運用を行うためには、何を監視すれば良いのでしょうか?

監視するべき項目を、実際のユースケースを交えて解説していきます。

各AWSリソースのパフォーマンスを監視

AWS環境での運用において、各リソースのパフォーマンスを適切に監視することは非常に重要です。リソースのパフォーマンスを監視することで、システムの健全性を保ち、潜在的な問題を早期に発見し、ユーザー体験の向上に繋げることができます。

具体的には、以下の項目がパフォーマンス監視でチェックするべき項目です。

  • CPU使用率の監視
  • ディスク使用量の監視
  • アプリケーション性能監視

どんなに有益なアプリを作成しても、利用者がいなければ良いアプリとは言えません。頻繁に通信エラーが起こったり、アプリが起動するまでに時間がかかりすぎたりすると、ユーザーに使われなくなっていきます。ビジネスを継続して行うためにもAWSの各リソースを監視することが重要です。

外形監視

システムが外部からアクセス可能か、正常に動作しているかを検証する監視です。Webアプリケーションであれば、レスポンスタイム、エラー率、HTTPステータスコードなどを、APIであればエンドポイントへのリクエスト数やエラー数を監視します。これにより、システム全体の可用性やパフォーマンスを把握し、ユーザーへの影響を最小限に抑えることができます。

ログの監視

アプリケーションやシステムを効率よく運用するためには、傾向分析が重要です。傾向分析によるメリットには以下のようなものがあります。

  • 利用頻度の高い機能・利用されていない機能を把握
  • アプリの欠陥やエラーの原因を特定
  • アプリの動作速度が遅い箇所を特定

これらの情報を収集をすることで、エラー発生時、迅速に対応できたり、企業の意思決定の効率化が図れたりします。そして、AWS上のアプリケーションの傾向分析を行うためにログの監視が欠かせません。 

セキュリティ監視

AWS上にある企業のデータやシステムを守るために、セキュリティの監視が重要です。セキュリティに関して、以下の項目がチェック項目です。

  • ユーザー操作やAPI操作などの操作履歴を監視
  • リソースの構成変更履歴を監視
  • システムへの脅威状況を監視

操作履歴を監視することで、不正アクセスによる被害を最小限に抑えられます。そして、リソースの変更履歴を検知すると、逸脱した操作の検知が可能です。また、悪意のあるポートスキャンが行われていないかも、セキュリティ監視を行う上でチェックする項目となります。

コストの監視

AWSの料金は、基本的には利用した分だけ料金を支払う従量課金制です。毎月固定の月額料金を支払うサービスであれば、コストを気にする必要がありません。しかし、AWSでは想定外のコストが発生することを防ぐために、コストの監視が重要となります。

リソースの停止、起動が簡単に行える点がAWSのメリットです。使用していないリソースが動きっぱなしになり、無駄なコストが発生しないように、コストの監視を行いましょう。

AWS監視に必要なサービス

AWS監視に必要なサービス

AWS環境の運用を成功させるためには、適切な監視が不可欠です。AWSは、多様な監視ニーズに応えるための専用サービスを提供しています。ここからは、リソースやアプリケーションのパフォーマンス監視、外形監視など、AWSでの監視に必要な主要サービスについて解説します。

リソース監視を行う「Amazon CloudWatch」

Amazon CloudWatchは、リソースの監視ができるサービスです。リソース監視だけでなく、死活監視も可能です。その他、ログの収集やアラート送信、ログ分析など、さまざまな機能が提供されているAWS監視に欠かせないサービスです。CloudWatchで何ができるのか、詳しくは後ほど解説します。

アプリケーションのパフォーマンス監視サービス「AWS X-Ray」

パフォーマンスの測定をする際、ITインフラの監視だけでなく、アプリケーションの処理時間やリクエストに対して正しいステータスを返すか監視することも重要です。このような、アプリケーションの性能監視に特化した監視手法をAPM(Application Performance Monitoring)と呼びます。

そして、APMを行うためのAWSサービスがAWS X-Rayです。リクエストレベルで、どの処理にどのくらいの時間を要しているか確認ができます。AWS X-Rayを利用すると、以下のようなメリットはがあります。

  • リクエスト実行状況の確認
  • アプリケーションの問題のリアルタイム検出
  • AWSとアプリケーションの連携
  • アプリケーションのパフォーマンス向上

アプリケーションレベルでの監視が必要な場合は、AWS X-Rayを使用しましょう。

外形監視は「Lambda」と「EventBridge」で行う

外形監視をAWS環境で実現するためには、Amazon LambdaとEventBridgeを組み合わせる方法が有効です。

Lambdaは、コードを実行してWebサイトやAPIの可用性や応答速度を外部からチェックし、その結果をもとにEventBridgeでアラートをトリガーします。これにより、ユーザー体験を損なう前に障害や遅延を検知し、対応を行うことが可能です。

Lambdaのサーバーレスアーキテクチャを利用することで、コスト効率の高い監視を実現します。

セキュリティ監視を行うためのAWSサービス

AWS環境を安全に保つためには、効果的なセキュリティ監視が不可欠です。AWSでは、セキュリティインシデントを迅速に検知し対応するための多彩なサービスが提供されています。ここでは、特に重要なAWSのセキュリティ監視サービスについて解説します。

AWS CloudTrail

AWS CloudTrailは、AWSアカウント内で行われたすべての操作やAPIコールの履歴を記録するサービスです。CloudTrailを使用することで、誰がいつ、どのリソースに対して何を行ったのかを詳細に追跡できます。

これにより、不正な操作や疑わしい活動が発生した場合に、その原因を特定し迅速に対応することが可能です。また、コンプライアンス要件を満たすための証跡としても重要な役割を果たします。

AWS Config

AWS Configは、AWSリソースの変更履歴を表示し、リソースがベストプラクティスに従っているかを監視するサービスです。

Configは、リソースの設定を継続的に評価し、設定の逸脱やセキュリティリスクが発生した場合にアラートを発行します。これにより、設定ミスや不適切な構成が原因でセキュリティに問題が発生する前に、対応を行うことができます。

Amazon GuardDuty

Amazon GuardDutyは、AWS環境における脅威検出を自動化するサービスです。GuardDutyは、VPCフローログ、CloudTrailログ、DNSログを分析し、不正アクセスの試みや異常な動作をリアルタイムで検出します。

高度な機械学習アルゴリズムを使用して、通常の動作と異なるパターンを識別し、潜在的な脅威を特定します。これにより、セキュリティインシデントに迅速に対応し、リスクを最小限に抑えることが可能です。

コスト監視に必要なAWSサービス

AWSを効率的に運用するためには、コスト管理が重要です。AWSでは、利用状況を把握し、コストを最適化するためのサービスがいくつか提供されています。ここでは、特に役立つAWSのコスト監視サービスについて解説します。

AWS Cost Explorer

AWS Cost Explorerは、AWSリソースの使用状況とコストの傾向を視覚化するサービスです。Cost Explorerを使用することで、月ごとのコストの変動や、どのサービスが最もコストを消費しているかを簡単に把握できます。

また、過去のデータを基に将来のコストを予測し、無駄なリソースの削減や効率的なコスト配分のための意思決定にも役立ちます。

AWS Budgets

AWS Budgetsは、予算の設定とその達成状況を追跡するためのサービスです。Budgetsを利用して、予算を超える可能性がある場合に通知を受け取るように設定できます。

これにより、コストの急激な増加に対応しやすくなり、予算内でのAWS運用を維持することが可能です。

AWS Trusted Advisor

AWS Trusted Advisorは、コストの最適化、セキュリティ、障害対策、パフォーマンス改善のための具体的な提案を行うサービスです。Trusted Advisorのコスト最適化レポートを活用することで、リソースの無駄遣いや非効率な構成を特定し、コスト削減のためのアクションプランを立てることができます。

Amazon CloudWatchでできること

Amazon CloudWatchでできること

AWS監視サービスであるCloudWatchは、以下のような多岐にわたる機能を提供しています。

  • CloudWatch Logs
  • CloudWatch Logs Insights
  • CloudWatch Alarms
  • CloudWatch Dashboard

これらの機能を活用することで、システムの健全性を保ち、問題発生時には迅速に対応することが可能です。ここからはそれぞれの機能について詳しく解説します。

メトリクス

CloudWatchでは、AWSリソースやアプリケーションのメトリクスを収集・監視することができます。メトリクスとは、CPU使用率、メモリ使用量、ディスクIOなど、リソースのパフォーマンス指標を示すデータです。

CloudWatch のメトリクスの保存期間は、最大15ヶ月です。

また、メトリクスへのデータポイントの取得頻度も変更可能です。

  • 1 分未満(データ保持期間は3時間)
  • 1 分ごと(15日間)
  • 5 分ごと(63日間)
  • 1 時間ごと(15ヶ月間)

以下の4種類から選択でき、取得間隔が長くなるほど、メトリクスの保存期間も長くなります。

ログ監視

CloudWatch Logsは、AWS環境内で生成されるログデータを、耐久性の高いストレージに保存し、ローテーションを行い管理するための機能です。ログデータが一定のサイズまたは期間に達すると、自動的に新しいログファイルに切り替わる仕組みをローテーションと呼びます。

また、CloudWatch Logs Insightsの機能によって、Logsに保存したログの高速分析が可能です。

アラーム機能

CloudWatch Alarmsの機能によって、しきい値をトリガーとした監視・保守業務の自動化ができます。集められたメトリクスにしきい値を設定し、しきい値を超えた場合に、特定のアクションを起こすようなワークフローを組み込むことが可能です。

例えば、特定のメトリクスが閾値を超えた場合に、SNSを通じて通知を送信したり、オートスケーリングを実行したりすることができます。

ダッシュボード機能でログ管理

CloudWatch Dashboardは、収集したメトリクスの中で、優先度の高い情報を目的に合わせてダッシュボード上でまとめて管理できる機能です。複数のメトリクスやログデータを一つの画面で視覚化できます。

オンプレミスサーバーも監視できる

CloudWatchは、AWSリソースだけでなく、オンプレミスのサーバーやハイブリッド環境の監視もサポートしています。

AWS Systems Managerエージェントをオンプレミスサーバーにインストールし、CloudWatchエージェントを設定することで、これらのサーバーのメトリクスやログをAWS環境と同様に監視することが可能です。

これにより、AWSとオンプレミスのインフラを統合的に管理でき、異なる環境間で一貫した監視体制を構築することができます。

Amazon CloudWatchで利用可能な2つのメトリクス

CloudWatchで利用できるメトリクスは大きく分けて「標準メトリクス」と「カスタムメトリクス」の2つに分類されます。それぞれの特徴と利用方法について解説します。

標準メトリクス

各AWSサービスごとの最も一般的な監視項目が標準メトリクスとして提供されています。標準メトリクスは、AWSリソースを作成する際に自動的に収集が開始されるため、監視の設定が不要な点がメリットです。

標準メトリクスで取得可能なデータを一部紹介します。

  • CPU使用率
  • ディスクI/O
  • ネットワークトラフィック
  • RDSデータベースの接続数
  • RDSのクエリ実行時間
  • S3のバケットアクセス数
  • ストレージ使用量

標準メトリクスで基本的なデータを監視できますが、独自のメトリクスを取得したり、特殊な用途の場合はカスタムメトリクスを使用します。

カスタムメトリクス

プリケーションの処理時間、エラー発生回数、カスタム指標など標準メトリクスではカバーできないビジネスに特化した指標を監視する際は、カスタムメトリクスを使用します。

カスタムメトリクスを使用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 監視項目を自由に定義できる
  • ビジネスに特化した監視が可能
  • 詳細な分析に役立つ

さまざまな項目を監視できますが、設定が複雑になります。用途に合わせて標準メトリクスとカスタムメトリクスを使い分けましょう。

AWS監視業務でCloudWatchサービスを利用するメリット

AWS環境を効率的に監視するためには、Amazon CloudWatchの活用が欠かせません。ここでは、CloudWatchを利用する具体的なメリットについて解説します。

標準装備ですぐに利用できる

Amazon CloudWatchは、追加の設定やインストールを必要とせず、すぐに利用開始できます。各リソースのメトリクスやログを自動で収集し、簡単にモニタリングを開始できる点が大きなメリットです。

AWSのほぼ全てのサービスをモニタリング可能

CloudWatchは、EC2やRDS、Lambdaなど、AWSのほぼすべてのサービスのメトリクスをモニタリングすることができます。これにより、システム全体のパフォーマンスや稼働状況を一元的に監視し、異常の早期発見と対応が可能になります。

運用の最適化を図れる

CloudWatchを利用することで、リソースのパフォーマンスデータや傾向を詳細に把握でき、運用の最適化が図れます。アラーム機能やダッシュボードを活用して、リソースの無駄遣いを防ぎ、コスト管理やパフォーマンス改善に貢献します。

まとめ

AWSの監視サービスであるAmazon CloudWatchは、AWS環境の運用管理に欠かせないツールです。CloudWatchを活用することで、各リソースをリアルタイムで監視できるだけでなく、異常検知や自動アラート、ダッシュボードによる可視化など、多彩な機能を提供します。

さらに、CloudWatchは柔軟なカスタマイズが可能で、オンプレミス環境や他のクラウドサービスとも連携が容易です。AWS環境の運用をより効果的に行うために、CloudWatchの活用をぜひ検討してみてください。

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