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Google Cloud監視の基礎から課題解決、アウトソーシングまで徹底解説

Google Cloud監視の基礎から課題解決、アウトソーシングまで徹底解説

​​本記事では、Google Cloud監視の基礎から、効果的な監視体制の構築、運用、課題解決、アウトソーシングまで、Google Cloud監視に関するあらゆる情報を網羅的に解説します。

具体的なステップや事例、課題解決策を提供することで、読者のGoogle Cloud環境の安定稼働と効率的な運用を支援します。

Google Cloud監視とは?

Google Cloud監視とは?

Google Cloud監視とは、Google Cloud上で稼働するシステムやサービスの健全性を継続的に確認し、パフォーマンスや可用性を維持するためのプロセスです。

リソースの使用状況、アプリケーションの応答時間、エラー発生率などの指標を収集・分析し、異常を検知した場合にはアラートを発報することで、迅速な対応を可能にします。

Google Cloud監視は、システムの安定稼働、ユーザー体験の向上、ビジネスの継続性の確保に不可欠な要素です。

Google Cloud監視における基礎知識

ここからは、Google Cloud監視における基礎知識である3つの観点から解説します。

  • Google Cloud監視の重要性
  • 監視対象
  • 監視指標

それぞれの内容を確認していきましょう。

Google Cloud監視の重要性

Google Cloud監視は、クラウド環境におけるシステムの安定稼働と信頼性の確保に欠かせません。

障害の早期発見と迅速な対応、パフォーマンスの最適化、セキュリティの強化など、さまざまなメリットをもたらします。

特に、Google Cloudのような大規模で複雑なクラウド環境では、手動での監視は困難であり、自動化された監視システムが必須です。

Google Cloud監視を適切に実施することで、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ユーザー体験を向上させ、ビジネスの成長を支えることができます。

監視対象

Google Cloud監視では、大きく分けて2つの対象を監視します。

1つ目は、サーバやミドルウェアです。リソース監視、プロセス監視・サービス監視、ログ監視などの監視に加え、スクリプトの実行結果、外部との通信状況などを監視します。

これらの監視により、サーバーやミドルウェアの稼働状況を把握し、パフォーマンスの問題や障害の発生を早期に検知することができます。

2つ目は、Google Cloudが提供する様々なサービスです。「Google Compute Engine」「Google Cloud SQL」「Google Cloud Storage」などのサービスの状態やパフォーマンスを監視することで、クラウド環境全体の安定稼働を確保できます。

これらの監視対象を適切に組み合わせることで、Google Cloud環境全体を包括的に監視し、システムの安定稼働と信頼性の向上を実現できます。

監視指標

Google Cloud監視では、監視対象の状態やパフォーマンスを把握するために、さまざまな指標を収集・分析します。

サーバーやミドルウェアでは、CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率などのリソース指標に加え、プロセスやサービスの稼働状況、ログの内容などを監視。

Google Cloudのサービスでは、「Google Compute Engine」のインスタンスの状態やディスクI/O、「Google Cloud SQL」の起動状態や接続数、「Google Cloud Storage」の入出力データ量などを監視します。

これらの指標を継続的に監視し、閾値を超えた場合や異常なパターンを検知した場合には、アラートを発報することで迅速な対応を可能にします。

主要なGoogle Cloud監視ツールとその特徴 

Google Cloudは、多様な監視ツールを提供しており、それぞれ特徴があります。

中核となるのは「Cloud Monitoring」で、Google Cloudリソースとアプリケーションの包括的な監視を可能にし、ダッシュボードでの可視化やアラート設定が容易です。

ログ管理には「Cloud Logging」が活用され、ログの収集、検索、分析を効率化し、障害の原因特定やセキュリティ分析に役立ちます。

さらに、アプリケーションのパフォーマンス監視には「Cloud Trace」「Cloud Profiler」があり、ボトルネックの特定と最適化を支援。

これらのツールを組み合わせることで、Google Cloud環境全体を効率的に監視し、システムの安定稼働を実現できます。

効果的な監視体制を構築するステップ

効果的な監視体制を構築するステップ

Google Cloud環境で効果的な監視体制を構築するには、以下の4つのステップを踏むことが重要です。

  1. システム全体を見据えた監視設計
  2. ニーズに合わせた監視ツール選び
  3. 迅速な対応を実現するアラート設計
  4. 可視化による状況把握とチーム連携

それぞれ内容を詳しくみていきましょう。

システム全体を見据えた監視設計

効果的な監視体制の構築は、システム全体のアーキテクチャ、各コンポーネントの役割、依存関係などを理解することから始まります。

まず、監視対象を明確化します。サーバ、ミドルウェア、データベース、ネットワーク機器などのインフラに加え、Google Compute Engine、Cloud SQL、Cloud StorageなどのGoogle Cloudサービスも監視対象に含まれます。

次に、各監視対象のリソース使用率、プロセスやサービスの状態、ログ、外部との通信状況など、監視すべき指標を特定。さらに、システムの可用性目標を定義し、それに基づいたアラートの閾値を設定しましょう。

これらの情報を基に、監視対象、監視指標、アラート閾値を体系的にまとめた監視設計書を作成することで、効果的な監視体制の構築と運用が可能になります。

ニーズに合わせた監視ツール選び

Google Cloud環境の監視には、Google Cloud MonitoringやPrometheusなど、さまざまなツールが提供されています。最適なツールを選ぶには、システムの要件、監視対象、予算、運用体制などを考慮する必要があります。

例えば、Google Cloudリソースとアプリケーションの包括的な監視を求めるならCloud Monitoringが適しています。一方、コンテナ環境の監視や柔軟なカスタマイズ性を重視するならPrometheusが有力な選択肢となります。

また、予算や運用体制によっては、オープンソースの監視ツールやサードパーティ製のツールも検討しましょう。

重要なのは、自社のニーズに最適なツールを選び、効果的な監視体制を構築することです。

迅速な対応を実現するアラート設計

アラート設計は、障害や異常を早期に検知し、迅速な対応を可能にするための重要な要素です。

適切な閾値設定により誤検知や見逃しを防ぎ、メール、SMS、チャットツールなど、状況に応じた最適な通知方法を選択します。

障害発生時に迅速に対応できるよう、オンコール担当者やエスカレーション手順を明確に定義し、オンコール体制の構築も重要です。

さらに、アラートの自動化を検討することで、対応時間を短縮し、人的ミスを防ぐことができます。

可視化による状況把握とチーム連携

監視データの可視化は、システム全体の状況把握、パフォーマンス分析、迅速な問題解決に欠かせません。

ツールでダッシュボードを作成し、重要な監視指標を一元的に可視化することで、リアルタイムな状況把握を可能にします。

また、定期的なレポート作成や監視データ・分析結果のチーム内共有も重要です。これにより、システムの稼働状況やパフォーマンスの傾向を分析し、問題の早期発見、改善活動、チーム連携の強化につなげることができます。

Google Cloud監視の運用

Google Cloud監視の運用

効果的な監視体制を構築したら、それを継続的に運用し、改善していくことが重要です。

Google Cloud監視の運用において特に重要なポイントは、以下の3点です。

ログ分析

Google Cloud環境では、Cloud Logging をはじめとするツールを活用し、システムやアプリケーションから出力される大量のログを効率的に収集・分析します。

これにより、障害発生時の原因特定、パフォーマンスボトルネックの発見、セキュリティ上の脅威の検知などが可能です。

具体的なログ分析では、検索機能やフィルタリング機能を活用して必要なログを抽出したり、ログのパターンや傾向を分析して異常を検知したりします。

また、ログデータをグラフやダッシュボードで可視化することで、システムの状況を直感的に把握することも可能です。

効果的なログ分析は、問題の早期発見と迅速な対応、さらには将来的な問題発生の予防にもつながり、システムの安定稼働に大きく貢献します。

アラート対応

アラートは、システムの異常を早期に検知し、迅速な対応を促すための重要な役割を果たします。

アラートが発生した場合には、速やかに状況を確認し、適切な対応手順に従って問題解決にあたる必要があります。

具体的には、アラートの内容を確認し、影響範囲や緊急度を評価します。その後、ログ分析や監視データなどを活用してアラートの原因を特定し、事前に定義された対応手順書などに基づいて適切な対応を実施。対応後は、対応内容や結果を関係者に報告し、再発防止策を検討することも重要です。

迅速かつ的確なアラート対応は、システムのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスへの影響を軽減するために欠かせません。

定期的な見直しと改善

Google Cloud環境は常に変化するため、一度構築した監視体制も定期的な見直しと改善が必要です。

システムの変更や新たなサービスの導入に合わせて、監視対象や監視指標、アラートの閾値などを調整します。

また、監視ツールの有効性も定期的に評価し、必要に応じてツールを変更または追加します。さらに、アラート対応手順やエスカレーション手順を見直し、対応の効率化を図ることも重要です。

継続的な見直しと改善により、変化するGoogle Cloud環境に対応し、常に最適な監視体制を維持することで、システムの安定稼働と信頼性の向上を図ることができます。

Google Cloud運用監視のポイント

Google Cloud監視のポイント

Google Cloud運用監視を効果的に行うためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

適切な監視ツールの選定と活用

Google Cloud運用監視において、適切な監視ツールの選定と活用は、効率的な監視体制の構築と運用に不可欠です。

まずは、監視の目的を明確にしましょう。インフラ全体の監視、アプリケーションのパフォーマンス監視、ログ分析、セキュリティ監視など、監視対象や目的によって最適なツールは異なります。

また、予算や運用体制、必要な機能などを考慮し、複数のツールを組み合わせて活用することも重要です。

ツール選定の際には、各ツールの機能、料金体系、サポート体制などを比較検討し、自社のニーズに最適なツールを選びましょう。

監視指標の明確化と設定

Google Cloud運用監視では、監視対象ごとに「何を」「なぜ」監視するのかを明確にし、適切な指標を選定することが重要です。指標は、システムの可用性、パフォーマンス、セキュリティなどを評価できるものを選びます。

例えば、Webサーバーであれば、応答時間やエラー率、CPU使用率、メモリ使用率などが重要な指標となります。データベースであれば、クエリの応答時間、接続数、ディスク使用率などを監視します。

指標を選定したら、適切な閾値を設定します。閾値は、システムの特性や過去のデータなどを参考に、誤検知や見逃しを防ぐ適切な値を設定することが重要です。

ログ分析による障害の早期発見と予防

Google Cloud運用監視において、ログ分析は障害の早期発見と予防に欠かせません。

システムやアプリケーションのログを分析することで、異常な動作や予兆を検知し、障害発生前に対応することが可能です。

例えば、エラーログの増加や特定のリクエストの急増などは、システム障害の予兆を示している可能性があります。これらの兆候を早期に発見し、適切な対策を講じることで、障害による影響を最小限に抑えられます。

また、ログ分析はセキュリティ対策にも役立ちます。不正アクセスの試みや攻撃のパターンをログから検知し、迅速に対応することで、セキュリティリスクを低減できます。

Google Cloud監視の課題と解決策

Google Cloud監視の課題と解決策

Google Cloud監視を運用する中で、以下のような課題が生じることがあります。これらの課題を理解し、適切な解決策を講じることで、効果的な監視体制を維持することができます。

アラート疲れ

アラート疲れとは、大量のアラート通知を受け続けることで、対応しきれなくなり、重要なアラートを見逃したり、対応が遅れたりする状態を指します。

アラート疲れを防ぐためには、アラートの優先順位付けを行い、重要なアラートから対応することが重要です。

また、誤検知が多い場合はアラートの閾値を見直したり、一定期間内に同じアラートが繰り返し発生する場合は一時的にアラートを抑制するなどの対策も有効です。

さらに、軽微なアラートへの対応は自動化することで、人的負荷を軽減し、アラート疲れを防ぐことができます。

誤検知と見逃し

Google Cloud監視において、誤検知と見逃しは、システムの安定稼働を脅かす深刻な課題です。

誤検知とは、実際には問題がないにも関わらず、アラートが通知されることです。誤検知が多いと、運用チームの対応負荷が増加し、重要なアラートを見逃すリスクも高まります。

一方、見逃しとは、実際に問題が発生しているにも関わらず、アラートが通知されないことです。見逃しは、障害の発見と対応を遅らせ、システムのダウンタイムやデータ損失につながる可能性があります。

これらの課題を解決するためには、監視設定の定期的な見直し、AIや機械学習を活用した監視ツールの導入、ログ分析による原因特定と改善などが有効です。

コスト増

監視対象や監視指標、ログの種類が増えるほど、それに伴ってコストも増加していく傾向があります。特に、大量のログを長期保存したり、詳細な分析を行う場合は、コストが大幅に増加する可能性があります。

コスト増加への対策としては、監視対象や指標の見直し、ログの保存期間の調整、費用対効果の高いログ分析ツールの選定などが有効です。

効率的な監視体制を維持しながら、コストを最適化することが求められます。

人材不足

Google Cloud監視には、クラウド技術、ネットワーク、セキュリティなど幅広い知識と経験が必要です。しかし、これらのスキルを持つ人材は慢性的に不足しており、Google Cloud監視における大きな課題となっています。

人材不足を解消するためには、社内での教育・研修を通じてGoogle Cloud監視スキルを持つ人材を育成することが重要です。

また、Google Cloud監視の運用を専門業者にアウトソーシングすることで、運用負荷を軽減し、人材不足を補うことも有効な手段となります。

Google Cloud運用監視ををアウトソーシングするメリット

Google Cloud監視の課題と解決策

Google Cloud運用監視をアウトソーシングすることで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。

運用負荷の軽減

Google Cloud運用監視は、24時間365日体制で継続的に行う必要があり、アラート対応やログ分析など、多くの時間と労力を要します。特に、専門知識や経験が必要なため、社内リソースの確保が難しい場合もあります。

アウトソーシングにより、これらの負担を軽減することが可能です。専門知識を持つプロフェッショナルチームが監視業務を代行するため、社内担当者は本来の業務に集中できます。

また、夜間や休日の監視も任せられるため、担当者の負担軽減やワークライフバランスの向上にもつながります。

障害発生時の迅速な対応

Google Cloud運用監視をアウトソーシングする最大のメリットの一つは、障害発生時の迅速な対応です。

専門知識と経験豊富なプロフェッショナルチームが24時間365日体制で監視を行い、障害をいち早く検知し、迅速に対応します。

社内での対応では、担当者の不在やスキル不足により、対応が遅れる可能性がありますが、アウトソーシングにより、障害発生時の対応時間を短縮し、システムのダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。

これにより、ビジネスへの影響を軽減し、顧客満足度の向上にもつながります。

コア業務への集中

Google Cloud運用監視をアウトソーシングすることで、企業は本来の事業活動であるコア業務に集中することができます。

監視業務は専門知識やスキルが必要で、リソースを割かれることも少なくありません。アウトソーシングにより、これらの業務を外部に委託することで、社内リソースを開発、マーケティング、顧客サポートなど、企業の成長に直結するコア業務に集中させることが可能になります。

これにより、競争優位性を高め、ビジネスチャンスを最大限に活かすことが可能です。

Google Cloud運用監視の事例2選

ここでは、Google Cloud運用監視を実際に導入している企業の事例を2つ紹介します。

株式会社バンダイナムコオンライン

株式会社バンダイナムコオンライン

株式会社バンダイナムコオンラインは、オンラインゲーム事業に特化し、「アイドリッシュセブン」や「GUNDAM EVOLUTION」などの作品を展開しています。

同社は、ゲームの安定稼働を重視し、以前は国内クラウドでサーバーを運用していましたが、コスト削減と拡張性を求めてGoogle Cloudへの移行を決定しました。

当初の課題課題解決
物理サーバーの運用コストが高いGoogle Cloudへの移行により、コストを大幅に削減
リアルタイムでの容量変更が難しい開発や運用を停止することなく、短期間で拡張性の高い環境に移行
サーバー移行後も高精度な運用監視を維持したいJIG-SAW OPSの導入により、24時間365日の監視体制と迅速な障害対応を実現

結果、運用を停止することなく、わずか半年弱でサーバー移行を完了し、コストメリットと拡張性を兼ね備えた新たな環境での運用を開始しました。

株式会社バンダイナムコオンライン様の導入事例を詳しく見る

インフォコム株式会社

インフォコム株式会社

インフォコム株式会社は、情報システムの企画・開発から運用・管理までを支援する企業です。同社は、高齢化社会のニーズに応えるため、介護事業所と利用者、ケアマネジャーをマッチングするクラウドサービス「ケアリン」を開発しました。

当初の課題課題解決
将来のデータ分析を見据えたプラットフォーム選定ビッグデータ解析サービス「BigQuery」の活用を視野に入れ、Google Cloud Platform を採用
モバイルアプリ開発における技術的な課題・JIG-SAWの支援により、Firebase を活用したチャットツールの開発を効率化・JIG-SAWによるシステム監視と障害対応、テクニカルサポートにより、安定稼働を実現

結果、β版リリース後も大きな問題なく運用されており、Google Cloudのコスト効率と拡張性を活かし、将来的なビッグデータ活用や新サービス展開への期待が高まっています。

また、JIG-SAWの技術サポートにより、開発・運用負荷を軽減し、コア業務に集中できる環境を構築しています。

インフォコム株式会社様の導入事例を詳しく見る

まとめ

本記事では、Google Cloud監視の基礎から、効果的な監視体制の構築、運用、課題解決、アウトソーシングまで、幅広い情報を解説しました。

Google Cloud監視は、システムの安定稼働、パフォーマンスの最適化、セキュリティの確保に不可欠であり、ビジネスの成長を支える重要な要素です。

適切な監視ツールを選定し、監視指標を明確化し、ログ分析を活用することで、障害の早期発見と予防、迅速な対応を実現できます。

また、アウトソーシングも有効な選択肢の一つであり、運用負荷の軽減、障害発生時の迅速な対応、コア業務への集中など、多くのメリットがあります。

Google Cloud監視の重要性を理解し、本記事で紹介したポイントを実践することで、安定稼働と効率的な運用を実現しましょう。

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