サーバー運用の仕事内容や必要なスキル、キャリアパスを徹底解説!
サーバーが正しく稼働し続けるためのさまざまな作業を担うサーバー運用は、監視や障害対応、バックアップ、セキュリティ対策など、幅広い知識を必要とする仕事です。サーバー運用の仕事に興味を持っているものの、具体的にどのような業務を担当するのか分からないという方も多いでしょう。
本記事では、サーバー運用の詳しい仕事内容や必要なスキル、キャリアパスや1日の仕事の流れを紹介します。サーバーエンジニアとして働いてみたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
サーバー運用とは
サーバー運用とは、サーバーが正常に稼働し続けるために必要な一連の業務を指します。具体的な業務としては、サーバーの監視、障害対応、定期的なバックアップ、セキュリティパッチの適用、リソースの最適化などが挙げられます。
サーバーの運用担当者は、自社内のサーバーのパフォーマンスを維持し、トラブルを未然に防ぐために日々の監視とメンテナンスを行います。恒常的な維持・管理により、企業や個人が利用するシステムやWebサイトを安定して稼働させ、ビジネスの信頼性を確保できます。
サーバー運用は企業のビジネスにとって不可欠
サーバー運用は、企業のビジネスにとって不可欠です。その理由は主に以下の3点に集約されます。
まず1点目は、サーバーは企業の情報基盤を支える重要なインフラであり、安定稼働がビジネスの継続性を支える鍵になります。ダウンタイムが発生すると、業務の停止や顧客対応の遅延など、直接的な損失につながります。
2点目に次に、セキュリティの確保が挙げられます。サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクに対して、定期的なセキュリティパッチの適用や監視を行うことで、企業の信頼性を守ることが大切です。
最後3点目に、リソースの最適化も、サーバー運用を行う重要な理由のひとつです。サーバー運用により、必要なリソースを効率的に管理して、コスト削減やパフォーマンス向上を図れます。リソースの最適化を徹底することで、企業は市場における競争力を高められます。
サーバー運用業務の将来性
サーバー運用業務の将来性は、極めて高いと考えられます。
デジタル化の進展に伴って、企業や個人が利用するシステムやサービスはますます増加しています。これにより、企業で運用されているサーバーの数も増えており、効率的に運用・管理するための運用担当者の需要が高まっています。
また、クラウドコンピューティングの普及により、オンプレミスのサーバーに加えて、クラウドベースのサーバー運用が重要性を増しています。これにより、サーバー運用担当者にはクラウドの知識やスキルが求められるようになり、専門性の高い仕事としての価値が向上しています。
さらに、サイバーセキュリティの脅威が高まり続ける中で、セキュアなサーバー運用の重要性は今後も増大していくでしょう。このことから、セキュリティ対応を含むサーバー運用業務の需要は引き続き高水準を維持すると予想されます。
上記の理由から、サーバー運用業務は技術の進化とともにますます重要になっていくと考えられます。
サーバー運用の仕事内容
サーバー運用では、具体的にどのような業務を行うのでしょうか。ここでは、サーバー運用の仕事内容を詳しく解説します。
監視業務
サーバー運用の仕事のひとつに、サーバーが常に正常に稼働しているかを確認する監視業務があります。
監視業務では、リアルタイムでサーバーの稼働状況を監視し、異常が発生した場合には速やかに対応してダウンタイムを最小限に抑えることが求められます。
一般的に、監視には専用のツールを使用し、CPUやメモリの使用率、ネットワークのトラフィック、ディスクの容量など、多種多様なパラメータをチェックします。異常を検知した際には担当者に自動でアラートが通知され、担当者が迅速に初動対応に取りかかれる体制を整えることが重要です。
ユーザー管理
ユーザー管理は、サーバー上のアカウントやアクセス権限を適切に管理する業務です。新しいユーザーの登録、既存ユーザーの権限変更、不要なアカウントの削除などを中心に行います。
適切なユーザー管理を行うことで、高水準のセキュリティを確保し、データへの不正アクセスを防止できます。また、ユーザーごとにアクセスできるリソースを制限し、内部からの情報漏洩リスクを低減することも大切です。
ユーザー管理の担当者は、定期的なアカウントの見直しと監査を通じて、権限が適切に設定されているかどうかを確認する必要があります。
障害対応
障害対応では、サーバーに発生したトラブルを可能な限り迅速に解決するために尽力します。サーバーがダウンしたり、想定外のエラーが発生したりした際に、速やかに原因を特定して復旧作業を行います。
障害対応のスピードがビジネスに与える影響を左右するため、迅速かつ正確な対応が求められる業務です。
また、発生した障害の原因を分析し、再発防止策を講じることで、同様のトラブルが起こる可能性を未然に防ぐことも重要です。
定期メンテナンスとアップデート
定期メンテナンスとアップデートは、サーバーのパフォーマンスを維持し、セキュリティを強化するために不可欠な業務です。運用担当者は、ハードウェアやソフトウェアの状態を定期的にチェックし、必要に応じて修正や改善を行います。
また、メーカーから提供されるセキュリティアップデートやバグ修正のパッチを適用し、サーバーが最新の状態で運用され続けるように管理するのも、サーバー運用の仕事です。
適切なメンテナンスによってサイバー攻撃の脅威を低減し、システムの信頼性を高められます。一般的に、メンテナンス作業はビジネスに影響を与えない時間帯に計画的に実施されます。
バックアップ管理
バックアップ管理は、サーバー上のデータを安全に保護するために行う業務です。定期的にサーバーのデータをバックアップし、災害やシステム障害など、何らかのトラブルが発生した際に迅速にデータを復旧できるように準備する役割を持ちます。
通常、バックアップは普段データが保存されている場所とは異なる端末やネットワークに保管します。また、バックアップのスケジュールや保管期間を管理し、定期的にバックアップデータの整合性を確認するのも重要な仕事です。
セキュリティ対策
サーバー運用担当者は、サーバーを外部からのサイバー攻撃や内部の脅威から守るためのセキュリティ対策も実施します。
高度なセキュリティ水準を維持するためには、ファイアウォールの設定、侵入検知システムの導入、アクセス制御の強化など、多層的な防御策を講じることが大切です。また、定期的なセキュリティ監査を行い、脆弱性の発見と修正を迅速に行うことも求められます。
セキュリティを高めるためには、適切なポリシーの策定と遵守を徹底し、運用担当者だけでなく、全社員がセキュリティ意識を持つことも重要です。これにより、サーバーの安全性を高め、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減できます。
サーバー運用に必要なスキルと知識
サーバー運用には、さまざまなスキルと知識が求められます。ここでは、運用担当者として働くにあたり、身に着けておきたいスキルと知識を紹介します。
OSの知識
サーバー運用には、LinuxやWindows Serverなど、使用するオペレーティングシステム(OS)に関する深い知識が求められます。
OSのインストール、設定、トラブルシューティングはもちろん、ファイルシステムやプロセス管理、システムログの解析など、さまざまな操作を行うために必要なスキルです。
特に、Linuxは多くのサーバーで使用されており、シェルスクリプトの作成やコマンドラインでの操作が重要になります。OSの理解は、サーバーのパフォーマンス最適化や障害対応の際に不可欠です。
ネットワークの基礎知識
ネットワークの基礎知識も、円滑なサーバー運用には欠かせません。IPアドレスの割り当てやDNSの設定、サブネットマスクの理解、ルーティングの基本など、ネットワークの基本概念を理解していることが求められます。
また、ネットワークトラフィックの監視やトラブル対応も日常的な業務に含まれるため、突発的に発生する問題を迅速に解決できる対応力が必要です。
セキュリティスキル
セキュリティスキルは、サーバーを守るために最も重要なスキルのひとつです。ファイアウォールの設定、侵入検知システムの導入、パッチ管理、暗号化技術の利用など、さまざまな手法を駆使して、サーバーを外部からの攻撃や内部の脅威から守る必要があります。
さらに、脆弱性スキャンやログ分析を通じて、セキュリティインシデントを未然に防ぐスキルも求められます。最新のセキュリティ動向を常に学び、サーバーの安全性を維持するための知識をアップデートし続けることが大切です。
自動化ツールの知識
自動化ツールの知識は、サーバー運用の効率化に大いに役立ちます。AnsibleやPuppet、Chefなどのツールを使用して、サーバーの設定や管理を自動化することで、ヒューマンエラーを削減し、作業時間を短縮できます。
また、定期的なメンテナンス作業やバックアップ、モニタリングの自動化によって、運用効率の向上も可能です。自動化ツールの活用により、運用担当者はより戦略的な業務に集中できるようになります。
コミュニケーション能力
サーバー運用には、技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力も欠かせません。運用チーム内での情報共有や、他部署との連携、クライアントとのやり取りにおいて、円滑なコミュニケーションが求められます。
特に障害発生時には、迅速かつ正確な情報伝達が問題解決のスピードに直結します。また、技術的な内容を分かりやすく説明する能力は、非技術者との協力をスムーズに進めるために重要です。卓越したコミュニケーション能力は、サーバー運用の成功を支える重要な要素となります。
サーバーエンジニアのキャリアパス
サーバーエンジニアは、将来的にインフラエンジニアやクラウドエンジニア、プロジェクトマネージャー・リーダーなどを目指せる可能性があります。ここでは、代表的な3つのキャリアパスを紹介します。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーだけでなく、ネットワーク機器などを含めたインフラ全般の設計、構築、運用、保守を担います。
サーバーエンジニアとしてのキャリアにおいて、物理サーバーや仮想化技術、ネットワークの基礎知識を深め、システム全体の安定性と効率性を向上させるスキルを習得します。この経験が、インフラエンジニアとしての業務に役立ちます。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、AWSやAzure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームを利用して、インフラの設計・構築・管理を行う仕事です。オンプレミスからクラウドへ移行作業や、クラウド上でのリソース管理、コスト最適化、セキュリティ対策などが主な仕事です。
クラウドエンジニアとしてのスキルを身につけることで、最新技術に精通し、柔軟かつスケーラブルなインフラを構築する能力が得られます。
市場におけるクラウド技術の需要は高まっているため、サーバーエンジニアからクラウドエンジニアへのキャリアチェンジは、技術者としての市場価値を大きく高められる可能性があります。
プロジェクトマネージャー・チームリーダー
プロジェクトマネージャーやチームリーダーは、サーバーエンジニアとしての豊富な経験を活かして、プロジェクトの進行管理やチームの指導を行う仕事です。
プロジェクト全体を見渡し、リソースの最適な配分、進捗管理、クライアントとの折衝を担当するため、技術的な知識に加えて高いコミュニケーションスキルが求められます。
さらに、チームメンバーの育成やモチベーション管理も重要な業務です。マネージャーやチームリーダーには、プロジェクトの成功を通じてリーダーシップを発揮し、組織の成長に貢献することが期待されます。
サーバー運用業務の1日のイメージ
ここからは、サーバー運用業務の1日のイメージを紹介します。
(1) 朝のシステムチェックとステータス確認
出社後、朝一番で行う業務は、サーバーのシステムチェックとステータス確認です。前日からの稼働状況を確認し、異常がないかをチェックします。
ログを確認して、エラーや警告が発生していないか、システムのパフォーマンスが正常かを確認します。一連の確認作業により、問題が発生している場合には迅速に対応する準備を整えることができます。
システムチェックとステータス確認は、サーバーの安定運用を維持するための重要な作業です。
(2) 障害対応・トラブルシューティング
日中に発生する可能性のある、サーバーの障害対応やトラブルシューティングも重要な業務です。サーバーがダウンしたり、サービスに問題が発生したりした場合、原因を特定し迅速に解決する必要があります。
ユーザーやサービスに影響を与えるトラブルを最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保するためにも、速やかな対応と原状復帰が求められます。
(3) 定期メンテナンスとバックアップ作業
障害対応やトラブルシューティングが発生していない場合は、必要に応じて定期メンテナンスやバックアップ作業を行います。定期的にシステムのアップデートやパッチ適用を行い、脆弱性を解消する作業は、サーバーの安定稼働を確保する上で重要です。
また、データのバックアップを定期的に実施し、万が一のデータ損失に備える作業も欠かせません。バックアップは通常時の保存先とは異なる安全な場所に保管し、復元テストも行うことで、非常時に備えた体制を整えられます。
(4) セキュリティ対策と監視
セキュリティ対策と監視は、サーバー運用において最も重要な業務のひとつです。ファイアウォールの設定や侵入検知システムの監視を通じて、社内外の脅威からシステムを守ります。
また、ログをリアルタイムで監視し、異常なアクセスや不正な活動が検出された場合には、直ちに対応策を講じます。定期的なセキュリティ監査やパッチ適用を行い、常に最新のセキュリティ状態を維持することも重要です。
(5) ユーザーサポート
ユーザーサポートは、システムを利用するユーザーからの問い合わせ対応やトラブルシューティングを行う業務です。ユーザーが抱える技術的な問題を解決したり、システム利用に関する質問に回答したりします。
時には、ユーザーの権限設定やアクセス許可の管理を行うこともあります。迅速かつ丁寧な対応を継続することで、ユーザーの満足度向上に繋がります。ユーザーとのコミュニケーションを通じて、システムの改善点や新たなニーズを把握する役割も担います。
(6) レポート作成とドキュメント更新
1日の業務の最後には、レポート作成とドキュメントの更新を行います。その日の作業内容や発生した問題、対応状況を記録し、運用状況を報告書としてまとめます。
また、必要に応じてシステムの構成情報や手順書、トラブルシューティングガイドなどのドキュメントを最新の状態に更新します。常に最新の状態を保つことで、情報共有をスムーズに行えるようになり、次の作業担当者へ業務を円滑に引き継げる体制が整います。
(7) 翌日の作業計画と引き継ぎ
レポート作成と併せて、翌日の作業計画を立てる必要があります。シフト交代が発生する場合には、引き継ぎを確実に行い、次の担当者がスムーズに業務を開始できるようにしなければなりません。
引き継ぎでは、当日中に未解決の問題や翌日対応が必要なタスクを詳細に伝え、情報の抜け漏れがないように意識しましょう。適切な引き継ぎ作業によって、継続的なサーバー運用が滞りなく行われ、チーム全体で安定したシステム稼働を維持することができます。
サーバー運用に役立つ資格
サーバー運用に役立つ資格として、LPICやCCNA、CCNPなどがあります。ここでは、特に注目の5つの資格を紹介します。
LPIC
LPICは、Linuxの知識とスキルを証明する資格で、サーバー運用の専門性を証明するために有用です。Linuxのインストール、設定、管理、トラブルシューティングなどの実践的な能力を評価します。
サーバー運用でLinuxを使用する場合、LPICの取得に向けて学ぶことで、システムの効率的な運用や問題解決能力の向上が期待できます。
LPICにはLPIC-1からLPIC-3までの段階があり、各試験を順番にクリアすることで、基礎から高度な技術までを習得し、業務に直結するスキルを証明できます。
CCNA
CCNAは、ネットワークの基礎知識を証明する資格です。ネットワークの設計、設定、管理、トラブルシューティングに関するスキルを身につけられます。
CCNAを取得することで、サーバーとネットワーク機器との連携をスムーズに行い、ネットワーク関連の問題を解決する業務に役立ちます。CCNAは、ネットワークエンジニアとしてのキャリアをスタートさせるための基礎資格であることから、サーバー運用でも有効です。
CCNP
CCNPは、CCNAの上位資格で、より高度なネットワークの知識とスキルを証明します。資格試験を通して、ネットワークの設計や実装、トラブルシューティングなど、複雑性の高い業務に対応できるスキルを身につけられます。
サーバー運用においては、大規模なネットワーク環境やクラウド環境の管理を行う際に、CCNPの知識が有用です。CCNP資格を持つことで、ネットワークインフラの専門家として、より高度な技術を必要とするプロジェクトに携わる機会を得られる可能性が高まります。
マイクロソフト認定資格
マイクロソフト認定資格は、Windows Serverの運用に必要なスキルを証明する資格です。サーバーのインストール、構成、管理、トラブルシューティングに関する知識を体系的に学ぶことができます。
特に、Windows環境でのサーバー運用を行う企業では、マイクロソフト認定資格が専門知識を証明する証となります。また、Azureなどのクラウドソリューションのスキルを証明する資格もあり、クラウド運用を含む幅広い業務に対応できるようになります。
AWS認定
AWS認定は、Amazon Web Services(AWS)のクラウド技術に関する知識とスキルを証明する資格です。AWS環境でのインフラ構築や管理、セキュリティ設定、スケーラビリティの確保など、さまざまな運用業務に必要なスキルを学ぶことができます。
AWS認定を取得することで、クラウドエンジニアとしての信頼性が向上し、最新の技術動向に対応する力が身につきます。クラウド環境でのサーバー運用が増加している現代において、非常に有用な資格のひとつです。
まとめ
サーバー運用は、サーバーが正常に稼働し続けるために必要な作業を行う仕事です。サーバー運用にはさまざまなスキルが必要であり、OSやネットワークの知識、セキュリティスキル、自動化ツールの理解、優れたコミュニケーション能力などが求められます。
必要に応じてLPICやCCNA、AWS認定などの資格を取得することで、サーバー運用のプロとしての信頼性を高め、技術の進化に対応したスキルを身につけることが可能です。
サーバー運用は企業のビジネスにおいて不可欠な業務であり、その重要性は今後も増していくと考えられます。企業のシステム運用を安定させて信頼性を高める役割を持ち、多くの現場で活躍が期待できる仕事といえるでしょう。