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AWS運用代行サービスは何をしてくれる?サービス導入時の流れや注意点を解説

この記事は約12分で読めます。

AWSの運用に課題を感じている企業にとって、運用代行サービスは強力なサポートとなります。

本記事では、AWS運用代行サービスが具体的にどのようなサポートを提供するのか、導入の流れや注意点について解説します。運用の効率化やコスト削減を目指す企業が、代行サービスを利用する際に知っておくべきポイントを紹介します。

AWS運用の主な業務内容

AWS運用担当者は、設計、構築されたシステムやアプリケーションを安定稼働させるために日々の業務を行います。主な業務は以下のようなものが挙げられます。

  • 災害や障害時のトラブル対応、復旧作業
  • OSやミドルウェアのアップデート
  • システムバグ修正のバッチ処理
  • コスト面、運用面でのシステム最適化
  • 定期的な運用状況の報告

それぞれの業務の詳細については、別記事でも解説していますので、そちらも合わせて御覧ください。

自社にAWSの知見がある人材がいない場合の対処法

自社で、AWS運用に関して詳しい人材がいて、運用体制が整っている場合は、問題なくシステム運用ができます。しかし、企業によっては、社内にAWSの知見がある人材がいなかったり、運用を担当する人材が不足している場合があります。その場合の対処法を2つ紹介します。

経験がある人材を採用する

まずは、自社でAWS運用担当者を採用することを検討しましょう。AWSの専門知識を持つ人材の採用は、自社内にノウハウを蓄積し、長期的な視点でAWSを活用していく上で最も確実な方法です。

採用活動の際は、AWSの知識のみを考慮するのではなく、自社の業種・分野の知識があるかも重視しましょう。AWSの知見がある人材を採用することで、他の社員へAWS知識が共有できるなど相乗効果もあります。

AWS運用代行サービスを利用する

2つ目の方法は、AWS運用代行サービスを利用することです。AWS運用代行サービスは、AWSの専門知識を持つ企業に、システムの構築、運用、管理を委託するサービスです。自社で人材を雇用するコストや、専門知識を習得するための時間を削減できます。

また、AWSの最新技術やセキュリティに関する知見を、常に最新の状態で提供してもらうことが可能です。ただし、サービス内容やコストは各社によって異なるため、複数の企業を比較検討し、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが大切です。

AWS運用で用いられるサービス

AWSでは、運用の効率化や自動化をサポートするサービスが数多く提供されています。ここからは、AWS運用でよく利用されているサービスについて解説します。自社リソースでAWS運用を行う場合は、これらのサービスを積極的に活用しましょう。

AWS CloudTrail

IAMの操作履歴を取得し、「いつ、誰が、どのリソースに、どのような操作をしたか」が確認可能なサービスです。不正ログインの検知や監査レポートの作成が可能です。履歴は、S3やCloudWatch Logsに保存できます。

AWS Config

AWSリソースに対して、「いつ、誰が、何をしたか」を自動で、継続的に確認できます。最短30日(最長で7年間)Config 上に記録を保存できます。また、対象のリソースがコンプライアンスに準拠しているか評価も可能です。

Amazon CloudWatch

AWSリソースやアプリケーションの監視を行うサービスです。

  • ログの収集、保存、可視化
  • 収集したログの分析
  • イベントや時間をトリガーにした処理の実行

単に監視をするだけでなく、上記のような多くの機能を提供します。

AWS Systems Manager

AWS Systems Managerは、サーバーにSSMエージェントをインストールすることで、EC2やオンプレミスのサーバーも管理下に置くことができるサービスです。

管理下に置くことで、次のような操作が可能になります。

  • Run Command:サーバーにログインせず、AWS CLIからOSやコマンドを実行可能
  • パッチマネージャ:インスタンスへのパッチ適用を自動化する機能
  • セッションマネージャ:Webブラウザからサーバーへのコマンド操作を行う機能

Amazon Inspector

Amazon Inspectorは、EC2の脆弱性診断を行うためのセキュリティ強化のためのサービスです。診断を行うのみのため、別途脆弱性が確認された場合も別途対応が必要です。利用しているサーバーの状況に合わせて次の2つの診断方法を選択できます。

  • ホスト型の診断:EC2内部に、Amazon Inspectorエージェントをインストールする
  • 外部ネットワーク診断:外部ネットワークからEC2の脆弱性を確認する

Amazon GuardDuty

過去の脅威検出時のデータと機械学習モデルを用いた脅威検出サービスです。

  • VPCフローログ
  • CloudTrailのログ
  • Route53のDNSログ

上記3つのログをインプットして脅威解析が可能です。

AWS SecurityHub

AWS SecurityHubは、ここまで紹介してきたようなAWSのリスク分析サービスの情報を集約して、一元管理するためのサービスです。

AWS Backup

AWS Backupは、EC2やストレージ、データベースなど、リソース内の重要なデータをバックアップするためのサービスです。

AWS Budgets

AWS Budgetsは、AWSの利用コストを管理するためのツールです。あらかじめ設定したコスト上限や利用量を超過した場合に、アラートを送信したり、アクションを実行したりすることができます。予期せぬコストの上昇を防ぎ、予算内に収まるようAWS運用の最適化が可能です。

AWS Cost Explorer

AWS Cost Explorerは、AWSのコストと使用状況を視覚化し、分析するためのツールです。過去のデータに基づいて将来のコストを予測したり、コストを削減できるリソースを見つけたりすることができます。

AWS運用代行サービスの対応内容

AWS運用代行サービスは、企業がAWS環境をより効率的かつ安全に利用するための支援サービスです。自社でAWSの専門知識を持つ人員を確保するのが難しい場合や、専門的な運用ノウハウが必要な場合に特に有効です。AWS運用代行サービスでは、以下のような幅広い業務に対応しています。

サーバー・ネットワークの構築と設定

AWS運用代行サービスでは、クラウド環境におけるサーバーやネットワークの構築・設定を行います。専門知識を持つエンジニアが、最適なアーキテクチャを設計し、セキュアかつスケーラブルな環境を構築します。さらに、インフラの冗長化や負荷分散を導入し、可用性の高いシステムの実現をサポートしてくれます。

OS・ミドルウェアの設定と管理

OSやミドルウェアの設定・管理も、AWS運用代行サービスの対応内容です。AWSで安定した運用を行うために、適切なバージョンのOSやミドルウェアを選定し、パフォーマンスやセキュリティの最適化も行ってくれます。

AWS上で、サーバーの運用を行う際は、サーバーのOSやミドルウェアの定期的なアップデートや脆弱性が発見された場合のバッチ対応が必要です。AWS運用代行サービスが、これらの作業を代行し、サービスのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保してくれます。

バックアップの実施と復元

AWS運用代行サービスでは、データのバックアップとその復元作業も包括的にサポートします。AWS運用担当者には、災害時や障害に備えて、企業の重要なデータを定期的にバックアップすることが求められます。

そこで、サービス提供事業者は、バックアップポリシーの策定から実施までを一貫して対応し、データの安全性を確保します。

アプリケーション運用と最適化

アプリケーションの運用と最適化も、AWS運用代行サービスの主要な対応内容です。AWS運用担当者には、日々、システムの各種パラメータを監視しながら、コスト面やパフォーマンス面などあらゆる方面で最適化することが求められます。

運用代行チームは、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、必要に応じてリソースの再選定や調整を行います。また、利用状況やビジネス要件に基づいて、アーキテクチャの最適化やコスト削減を提案してくれます。

セキュリティの強化

AWS運用代行サービスでは、セキュリティの強化にも徹底的に対応します。AWSのようなクラウドサービスを利用するうえで、最も重要視すべきことがセキュリティの強化です。数多くのAWS運用代行サービスが提供されていますが、セキュリティ面に最も力を入れている事業者も多いです。

  • 不正アクセスやデータ漏洩を防止
  • 最新のセキュリティ脅威に対応するための監視体制を構築
  • インシデント発生時には迅速な対応ができる体制を提供

これらのサービスによって、企業は常に高いセキュリティレベルを維持し、安心してクラウドを活用できます。

AWS運用代行サービス導入のメリット

AWS運用をサポートしてくれる代行サービスには、導入するとさまざまなメリットがあります。運用代行サービスを取り入れた場合の主なメリットを解説します。

専門知識がなくてもAWS運用が可能

AWS運用代行サービスを利用すれば、クラウドの専門知識がない企業でも安心してAWS環境を運用できます。社内で専門知識を持った人材がおらず、AWS運用が可能な人材採用に手が回らないような企業でも、AWSの活用ができる点は非常に大きなメリットと言えるでしょう。

運用代行サービスでは、多くのシステムを運用してきた経験豊富なエンジニアが担当します。そのため、人的ミスを最小限に抑え、システムの安定稼働が可能になります。

社内リソースの効率化が可能

AWSは広範なサービスを提供しており、その運用には専門的な知識と経験が求められます。自社の社員のみで運用する場合、これらのスキルを持つ人材を確保したり、既存の社員を育成したりする必要があります。

人材の採用や育成には、時間と費用がかかります。運用代行サービスを利用することで、これらのコストの削減が可能です。また、運用代行サービスを利用することで、運用業務を外部に委託し、社員がコア業務に集中できます。

円建てでの支払いが可能

AWS運用代行を利用せず、企業が直接AWSサービスを利用する場合は、クレジットカードでの支払い、もしくはドル建てでの請求書払いとなります。

企業によっては、日本円建てでの請求書払いのみの制限がある場合もあります。AWS運用代行サービスを利用することで、日本円建てでの請求書払いを選択が可能です。

円高や円安によるコスト変動を避けたい企業にとっても、大きなメリットです。また、支払い手続きが円建てで行えることで、経理業務の簡素化が図られ、会計処理がスムーズになります。

障害対応等の手間を削減できる

AWS運用代行サービスを利用することで、障害対応やメンテナンスの手間を大幅に削減できます。代行サービスの提供者が、24時間365日体制でシステムの監視やトラブルシューティングを行うため、企業は障害発生時の対応に時間やリソースを割く必要がありません。

これにより、システム稼働率の向上と業務の安定化が図れ、社内運用担当者の負担が軽減されます。さらに、迅速な対応が可能になるため、ダウンタイムによる影響を最小限に抑えられます。

AWS運用代行サービス利用時の注意点

AWS運用代行サービスは便利ですが、利用には注意が必要です。以下、3点が許容できるか導入前に検討しましょう。

運用のカスタマイズ性が低下する

運用を代行サービスに任せる場合は、強い権限を持ったルートアカウントをサービス事業者が管理します。そのためAWSの一部機能が自由に使えないなどカスタマイズ性が低下します。AWS運用代行サービスを利用する場合は、自社の要件通りに構築、運用が可能か事前に確認しましょう。

自社に知見が蓄積されない

AWS運用を代行に任せることで、社内に専門知識やノウハウが蓄積されにくくなります。運用をサービス提供者に依存し続けるリスクが高まり、将来的に自社での運用が困難になる可能性があります。

技術者のスキルアップや社内の知識共有が進まないことで、企業競争力が低下する可能性が高いです。導入を検討している企業は、AWS運用代行を利用しつつ、社員教育ができる体制を整えましょう。

代行の人件費がかかる

AWS運用代行サービスの利用には、当然ながらコストが発生します。特に、高度な専門知識を持つ技術者による代行サービスは、費用が高額になる場合があります。

短期的にはコスト削減効果を見込める一方で、長期的には自社での運用に比べて総コストが高くなる可能性があります。

コストを抑えながら運用代行を利用したい企業は、運用を全て代行するのではなく、一部の業務のみ代行が可能か検討しましょう。また、複数社の代行サービスを検討することも総コストを抑えるコツです。

AWS運用代行サービスの導入の流れ

AWS運用代行サービスの導入は、以下のステップで行います。

  1. 運用代行サービスの選定
  2. ヒアリング
  3. 移行計画の策定
  4. 事前導入テスト
  5. 本番運⽤開始

それぞれのステップの具体的な内容について解説します。

運用代行サービスの選定

まずは、各社のサービス内容、料金体系、サポート体制などを比較検討します。カスタマイズが可能か、セキュリティは問題ないかを確認し、総合的にみて導入するサービスを決定しましょう。請求書払いが可能かどうかなど、支払い方法の確認も重要なチェックポイントです。

現状のヒアリング

AWS運用代行サービス事業の担当者が、企業のシステムの現状を把握するためにヒアリングを行います。

ヒアリングでは、企業の現在のIT環境、AWS利用状況、抱える課題などがを確認します対象となります。あらかじめ、社内環境を整理しヒアリング時にすぐに答えられるようにしておくと、導入までスムーズに進行できます。

移行計画の策定

ヒアリングの内容をもとに、サービス事業者が現行システムの構成、運用状況、パフォーマンス、コストなどを詳細に分析し、最適な移行計画を策定します。

移行スケジュールの調整まで完了すると、実際にサービス導入がはじまります。

設定作業・事前導入テスト

実際のAWS環境の構築、既存システムの移行、セキュリティ設定など、サービス事業者が要望に合わせた設定作業を行います。

そして、本番運用を開始する前に、サービス事業者によりテスト環境でシステムの動作確認が行われます。負荷テスト、機能テスト、セキュリティテストなど、さまざまなテストを実施し、問題点を洗い出し、改善がを行われます。

本番運⽤開始

導入テストで重大な問題がないことを確認した後、本番環境への移行を実施します。移行後も、サービス事業者は24時間365日の監視体制でシステムの安定稼働をサポートしてくれます。

運用開始後も、定期的に運用代行サービスを担当している事業者と運用状況の共有を行い、運用方法の修正を行います。

まとめ

AWS運用代行サービスは、専門的なサポートを提供し、運用の効率化やリスク管理を強化します。ただし、サービス導入には運用のカスタマイズ性の低下やコスト面の考慮が必要です。

導入前に十分なヒアリングと準備を行い、自社に最適な運用を実現しましょう。この記事を参考に、AWS運用代行サービスの利点と注意点を理解し、効果的に活用してください。

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