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ネット・書籍にない難問を解く、初のAI「Grok 4」登場 ━ 世界最強のAIモデルと称される

2025年7月10日、xAIは、Xの公式アカウントで最新大規模言語モデル「Grok 4」を発表した。これはGrok 3のリリースからわずか数カ月でのモデル刷新で、驚くべきスピードだ。

xAIを率いるイーロン・マスク氏は、Grok 4を「インターネットや書籍に存在しない難問も解ける、世界初のAI」とコメント。xAIはXの公式アカウントにてGrok 4を「世界で最も強力なAIモデル」と評している。

本記事では、公開されたGrok 4のデモンストレーション動画の内容に基づき、その性能と今後の展望をレポートする。

参考:xAI「Grok 4 Demo Livestream」

未知の問題にも対応可能な「Grok 4」

発表された動画は、xAIが開発した次世代AI「Grok 4」がこの夏に登場することを告知するものだ。Grok 4は、従来モデルを上回る速度、知能、性能を持つAIと位置付けられている。

その知能は人間の学習速度をはるかに凌駕するとされ、例えば米国の大学進学適性試験(SAT)では、初見の問題でも毎回満点を獲得できるレベルにあるという。さらに、大学院レベルの試験(GREなど)においても、人文科学から言語、数学、物理学、工学といったあらゆる分野で、ほぼ完璧に近い結果を出す能力を持つと説明された。

これは、Grok 4がインターネット上には存在しない未知の問題に対し、複数の学問分野で大学院生を超える知能を同時に有することを示す。

トレーニング手法の革新で、推論能力が向上

Grok 4の性能向上は、トレーニング手法の革新によって支えられている。Grok 2からGrok 4への進化において、トレーニング量は100倍に増加した。この計算リソースの増強は、知識量の増加だけでなく、AIの推論能力そのものを向上させることに重点が置かれている。

この大規模トレーニングを可能にするのが、10万台のH100 GPUで構成されるスーパーコンピューター「Clauses」である。動画では、将来的にはこれを20万GPUへと拡張し、前例のない規模の強化学習を行う計画も明らかにされた。

このアプローチにより、AIは第一原理から思考し、自らの間違いを修正する能力、すなわち真の「推論能力」を獲得するに至った。

ツール連携が大幅に強化、将来的にはAIと現実世界の連携も可能か?

Grok 4は、単体での問題解決能力に加え、外部ツールをネイティブに活用する能力が大幅に強化された。Grok 3もツールの利用は可能だったが、それは汎化能力に依存するものだった。対してGrok 4は、トレーニング段階からツールの利用を組み込むことで、より信頼性の高いツール活用を実現した。

将来的には、有限要素解析や計算流体力学といった高度なシミュレーションツールとの連携も視野に入れる。さらに、ヒューマノイドロボット「Optimus」とGrokを組み合わせ、AIが現実世界と直接相互作用しながら仮説検証を行うという展望も語られた。

マルチエージェントで問題を解決する「Grok 4 Heavy」

今回の発表における大きな注目点の一つが「Grok 4 Heavy」である。これは単一のエージェントでタスクを処理するのではなく、複数のエージェントが並行して独立に作業し、結果を比較検討して最適な答えを導き出すアーキテクチャを持つ。

この協調動作は、あるエージェントが見つけた問題解決の糸口を他エージェントと共有するもので、単なる多数決ではない。このマルチエージェントアプローチにより、単独では解決が難しい問題でも、過半数を超える正答率を達成できるという。

デモンストレーションで示された実力

xAIの公式Xにて公開されたGrok 4のデモンストレーション動画では、Grok 4およびGrok 4 Heavyの能力を示すデモンストレーションがいくつか実施された。以下に概要を記す。

デモ内容概要
数学問題の解決人間には難解な圏論に関する数学の問題を、Grok 4が思考プロセスを提示しながら正確に解答した。
ブラックホールの可視化2つのブラックホールが衝突する様子の視覚化を生成。物理学のテキストを参照し、一部単純化しつつも、主要な現象をほぼ正確に再現した。
X(旧Twitter)連携曖昧な自然言語指示に基づき、インターネット上の公開情報のみを検索し、文脈を理解して的確な結果を提示した。
未来予測予測市場のデータを分析し、ワールドシリーズの優勝チームの確率を自ら計算。複数の情報源を比較分析する能力を示した。

音声モードを改善、リリースと同時にAPIも提供

Grokのユーザー体験に関するアップデートも発表された。

音声モードはレイテンシーが半減し、より自然で応答性の高い会話が可能になった。また、新たにイギリス英語の「Eve」と、特徴的なトーンを持つ「Sal」という2つの音声が追加された。

開発者向けには、Grok 4のリリースと同時にAPIが提供されることが明らかにされた。このAPIは256Kのコンテキスト長に対応しており、Grok 4の推論能力を外部のアプリケーションに組み込むことが可能となる。

実世界での応用と今後の展望

Grok 4はすでに、ビジネスシミュレーションのベンチマークにおいて、他の最先端モデルの2倍以上の純資産を生み出すなど、具体的な成果を上げている。生物医学研究センターでの研究フロー自動化といった早期導入事例も紹介された。

Grok 4のデモンストレーション動画では、今後のロードマップとして、以下の開発に注力することが示された。

開発項目内容提供時期の目安
特化型コーディングモデル高速かつ高性能な、コーディングに特化したモデル。数週間以内
マルチモーダル機能の改善画像・動画・音声の理解能力を抜本的に向上させる。次世代モデルで対応
ビデオ生成モデル10万台以上のGPUを使用し、高品質なビデオ生成モデルのトレーニングを開始する。3〜4週間以内にトレーニング開始

これらの進化により、AIによるビデオゲーム開発や映像コンテンツ制作といった応用が現実味を帯びてくる。

まとめ

今回の発表で明らかになったGrok 4は、その高い推論能力、強化されたツール連携、そしてAPIを通じたアクセス性により、情報生成AIの枠を超え、実世界の課題解決を担うパートナーへと進化する可能性を示す。特に、複数のエージェントが協調するGrok 4 Heavyや、現実世界のツールと連携するビジョンは、システム運用や開発のあり方を根底から変える潜在力を持つ。

開発者や運用担当者は、Grok 4 APIの仕様を確認し、自らの業務における具体的な活用方法を検討することが求められるだろう。これまで自動化が困難とされてきた複雑なタスクへの応用も視野に入ってくる。

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