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システムにおける最新のセキュリティ脅威とその対策!抑えるべきポイントも紹介

システムにおける最新のセキュリティ脅威とその対策!押さえるべきポイントも紹介

現代のデジタル社会において、システムのセキュリティ対策はますます重要性を増しています。日々進化するサイバー脅威に対抗するためには、最新の技術と知識を駆使した包括的な対策が不可欠です。本記事では、システムに求められる最新のセキュリティ対策とその重要な要素について詳しく紹介します。

セキュリティとは

セキュリティとは

初めに、そもそもセキュリティとは何か、その概要についてご紹介します。

セキュリティの4要件

セキュリティにおいて最も重要な基本概念のひとつが「セキュリティの4要件」です。セキュリティの4要件には、機密性、完全性、可用性、真正性が含まれています。

1. 機密性(Confidentiality):

機密性とは、許可された者だけが情報にアクセスできる状態を維持することです。暗号化やアクセス制御などの技術を用いて、機密情報が不正に閲覧されないようにします。

2. 完全性(Integrity):

完全性は、情報が正確で改ざんされないようにするための要件です。データの整合性を保つために、ハッシュ関数やデジタル署名といった技術が使用されます。

3. 可用性(Availability):

可用性は、必要なときに情報やシステムにアクセスできる状態を保証することです。システムの冗長化やバックアップ、災害復旧計画を実施することで、サービスの中断を最小限に抑えます。

4. 真正性(Authenticity):

真正性は、情報やアクセス元が本物であることを確認する要件です。認証技術やデジタル証明書を用いて、送信者や情報の信頼性を確認します。

これらの4要件を満たすことで、システムは多様な脅威に対して堅ろうなものとなり、信頼性の高い運用が可能になります。

サイバーセキュリティと情報セキュリティ

セキュリティに関して、「サイバーセキュリティ」と「情報セキュリティ」という2つの言葉を聞かれたことがあるかもしれません。これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

サイバーセキュリティ

サイバーセキュリティは「インターネットやネットワークに接続されたシステムやデジタル資産を守る」ことを目的とします。マルウェアやハッキング、フィッシング攻撃、ランサムウェアなどのサイバー攻撃からシステムを守るために、サイバーセキュリティを強化します。具体的には、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、アンチウイルスソフトウェア、ネットワーク監視などの技術を利用します。

情報セキュリティ

情報セキュリティは「情報全般のセキュリティを守る」ことを目的とします。情報セキュリティの範囲には、デジタルデータだけでなく、紙の書類や口頭でやりとりするような情報も含まれます。たとえば、個人情報や機密情報の保護においては、PC上のファイルだけでなく、個人情報を印刷した紙の取り扱いにも注意しなければなりません。情報セキュリティでは、データの暗号化やアクセス制御、情報管理ルールの整備、教育などを通して、情報漏えいや情報改ざん、不正アクセスなどから情報を守ります。

システムにおいてセキュリティ対策が必要である理由

システムにおいてセキュリティ対策が必要である理由

なぜ、システムを運用する際にはセキュリティ対策を行わなければならないのでしょうか。その理由は、以下のようなリスクを避けるためです。

直接的・間接的な被害を防止するため

セキュリティ対策は、システムやデータへの直接的な影響だけでなく、そこから派生する間接的な被害を防ぐために必要です。たとえば、サイバー攻撃によってシステムがダウンした場合、業務の停止やデータの消失といった直接的な被害が発生します。さらに、攻撃が成功してしまうと、攻撃者が別のシステムやサービスにアクセスしやすくなるという間接的な被害も考えられます。これらの被害を未然に防ぐために、しっかりとしたセキュリティ対策が求められます。

レピュテーションリスクを避けるため

セキュリティ対策を怠ると、企業の信用や評判に大きな影響を与える可能性があります。顧客情報や機密データが漏洩(ろうえい)した場合、その情報が悪用されるリスクが高まり、顧客や取引先からの信頼を失うことになります。これにより、企業のブランドイメージが損なわれ、市場での競争力が低下することも考えられます。信頼性を維持し、企業の評判を守るためにも、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

他企業への波及を避けるため

セキュリティ対策が不十分なシステムは、他の企業や組織に対してもリスクを生じさせる可能性があります。サプライチェーンを共有する企業同士では、一社が攻撃を受けると、その影響が他社にも波及してしまいます。たとえば、取引先のシステムが攻撃を受けた場合、その取引先と連携している企業のシステムにも影響が及び、業務停止やデータ漏えいといった被害が広がる可能性があります。このような波及効果を防ぐためにも、各企業がしっかりとしたセキュリティ対策を講じることが重要です。

最新のセキュリティ脅威

最新のセキュリティ脅威

以下では、IPA(情報処理推進機構)が年次で公開している情報セキュリティ10大脅威も参考にしつつ、最新のセキュリティ脅威についてご紹介します。

※参考:情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2024」

ランサムウェアによる被害

<概要>

ランサムウェアとは、企業が所有するシステムやデータを暗号化して人質に取り、復旧のための身代金を要求するサイバー攻撃です。企業としての業務継続が困難になるだけでなく、機密情報を外部に公開されてしまうリスクもあり、非常に危険性の高いセキュリティ脅威といえるでしょう。

<対策>

ランサムウェアの機密情報感染経路としては、フィッシングメールや標的型攻撃、不正なウェブサイト経由によるものなどが一般的です。対策のためには、定期的なシステムおよびファイルのバックアップ、フィッシング対策、セキュリティパッチの適用、従業員への教育・研修などが重要となります。

サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃

<概要>

調達から販売、業務委託などの一連のサプライチェーンにおいて、セキュリティ対策が甘い組織を対象に攻撃し、サプライチェーンを構成する他の企業へ攻撃対象を広げていく手法です。

<対策>

サプライチェーン攻撃の対策を行うためには、自社はもちろん、サプライチェーンを構成する他の企業のセキュリティ対策状況をチェックすることもポイントとなります。委託先を選定する際には、委託先が実施しているセキュリティ対策内容をチェックしましょう。

内部不正による情報漏えい等の被害

<概要>

従業員や元従業員など、内部犯による機密情報漏えいにも注意が必要です。内部の従業員は重要情報にアクセスしやすいため、悪意をもって情報を外部に提供してしまうケースがあります。内部不正による情報漏えいは、組織の信用失墜や損害賠償による経済的損失を引き起こします。また、他組織にて不正取得した情報を社内に持ち込まれてしまうと、自社も損害賠償の対象となる可能性がある点にも注意が必要です。

<対策>

情報取り扱いポリシーの作成や、内部不正者に対する懲戒処分等を規定した就業規則等を整備することがポイントです。また、社内のデータ資産の把握や対応体制の整備、物理的な管理の実施の他、情報リテラシーやモラル向上のための教育・研修も必要となります。

標的型攻撃による機密情報の窃取

<概要>

特定の標的に対して、メール等を利用してPCにウイルスを感染させ、組織内の情報を盗んだり、システムを破壊したりする攻撃方法です。メール本文や件名などをあたかも取引先のように偽装し、対象とする標的を安心させる手法がとられます。もしくは、標的となる組織が頻繁に利用するWebサイトを攻撃者が改ざんし、標的組織の従業員や職員がそのWebサイトにアクセスした際に、PCがウイルスに感染するといった手法が利用されることもあります。

<対策>

最も重要なのは従業員への教育です。不審なメールは開かないこと、開いてしまったとしたら、速やかに社内のIT部門へ通報を行うことなどを徹底します。新入社員など新たに加わるメンバーに対しても、継続的な教育を行うことがポイントです。

ゼロデイ攻撃

<概要>

明らかになったセキュリティに対する脆弱性の修正プログラムや回避策が自社システムに適用される前に、脆弱性を悪用した攻撃が行われることがあります。これをゼロデイ攻撃といいます。

事業やサービスの停止など、多くのシステムやユーザーに被害が及ぶため、脆弱性対策情報が公開された場合は、早急な対応が求められます。

<対策>

脆弱性対策情報が公開されたら、即時対応することが最大の対策となります。事前に社内で利用しているソフトウェア、サーバー、ネットワーク機器などを把握したうえで、それらに対するセキュリティ上の脆弱性が公開されたらすぐに対応できる体制を整えておきましょう。

システムにおけるセキュリティ対策のポイント

システムにおけるセキュリティ対策のポイント

最後に、セキュリティ対策のポイントについてご紹介します。

対策方針の定義

セキュリティ対策の第一歩は、自社のセキュリティ対策方針の明確化です。企業全体のセキュリティポリシーを策定し、管理層から現場のスタッフまで一貫してポリシーを理解したうえで、対策を実行できるようにします。具体的には、リスク評価の実施方法や緊急事態対応計画などを定義します。

セキュリティ要件の定義

全体方針を前提に、個別のシステムについてのセキュリティ要件を定義します。具体的には、アクセス制御、データ暗号化、認証プロトコルなど、技術的および運用上の要件を定めます。定義された要件は、開発プロセスの初期段階からリリース、運用まで、システムの開発・運用フロー全体にわたって一貫して適用することがポイントです。

人材育成・人材獲得

セキュリティ対策の効果を最大限にするためには、専門知識を持った人材の育成と獲得が不可欠です。社内の従業員に対する定期的なセキュリティ研修を実施し、最新の脅威と対策についての知識をアップデートします。また、外部から専門的なスキルを持つ人材を採用し、自社のセキュリティ対策スキルを強化することも検討すべきです。

セキュリティ診断の実施

継続的なセキュリティ診断を実施し、既存のシステムや新しく導入された技術の脆弱性を評価することも必要です。診断結果に基づいて、早急に修正を行い、再評価を繰り返すことで、セキュリティレベルの維持と向上を図ります。具体的にはペネトレーションテストやセキュリティ診断などの手法を活用し、潜在的な脅威を未然に防ぎます。

まとめ

この記事では、企業におけるセキュリティ対策の重要性と具体的な手法について解説しました。システムにおけるセキュリティ対策が不十分であると、データ漏洩やシステム停止といった直接的な被害だけでなく、他の企業へ被害が拡大したり自社の評判が失墜したりと、間接的な様々な被害を引き起こします。十分に予算・人員を割き、必要なセキュリティ対策を行うべきでしょう。

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